オーダーメイド治療を支える
理学療法士によるリハビリテーション
もりのみや整形外科
(大阪市中央区/森ノ宮駅)
最終更新日:2023/02/09


- 保険診療
症状の改善や身体機能の回復をめざすリハビリテーション。整形外科では主に、専用の機器を使う物理療法と、理学療法士(PT)がストレッチや運動機能訓練を行う理学療法を実施する。近年では開業クリニックでもリハビリテーション室を備え、理学療法士によるリハビリを行うところが増えており、「もりのみや整形外科」でも、黒田有佑院長と3人の理学療法士が患者に適したリハビリを提供。脊椎疾患に精通する黒田院長は、人の手を介したリハビリに注目し、あえて物理療法は使わず、理学療法のみを行っているとのこと。「腰痛や肩凝りはもちろん、頑固なしびれや痛みが起きやすい脊椎疾患にも、理学療法は適しています」と話す黒田院長に、治療におけるリハビリの目的や、同院で行う理学療法について解説してもらった。
(取材日2023年1月17日)
目次
状態を適切に評価できるのもリハビリの強み。脊椎疾患のしびれでは、症状に応じた治療法の見極めも重要
- Qリハビリは、整形外科の治療でどのような役割を担っていますか?
-
A
▲穏やかな口調で丁寧に説明してくれる黒田院長
整形外科の治療全体を見ますと、病気や症状に対して根本から改善を図るという点では、やはり手術が重要な役割を果たします。ただ残念ながら、すべての病気や症状が手術で治るわけではないですし、手術だけで以前と同じような機能を取り戻すことも困難です。そこで薬剤を使うこともありますし、リハビリによって改善を図るケースも非常に多いです。特に理学療法では理学療法士が患者さんの体に直接触れて施術を行うため、エックス線検査では把握しきれない筋肉の硬さや体の使い方の癖が明らかになり、症状の程度評価につながります。これらの情報は適切な診断の情報源になりますし、個々の患者さんに適した治療の選択に欠かせないと考えています。
- Q具体的には、どのような方がリハビリの対象になるのでしょうか。
-
A
▲広々としたリハビリテーション室
腰痛や肩の痛みなどは、1回の診察では原因を特定しにくく、症状が続きやすい。こういった方にもリハビリは有用。痛みへのアプローチはもちろん、理学療法士が繰り返し施術を行う中で患部の状態がよくわかり、そこから原因が見えてくることも多いのです。もちろん人工関節置換術などの手術を受けた方や、骨折や捻挫で患部を固定していた方も対象です。人工膝関節を入れた方は術後なるべく早くから膝を曲げ伸ばしする訓練を始め、日常生活でも曲げられる膝をめざします。また患部を固定していると、骨や腱は治っても周囲の筋肉や関節は硬くなってしまうので、リハビリで動かす機能の取り戻しを図っていきます。
- Q肩の痛みや腰痛では、治療やリハビリをどのように行うのですか?
-
A
▲さまざまな治療法を融合させて治療方針を提案している
まずは問診で症状や経過をお聞きし、エックス線などの画像検査も行います。推測される原因に応じて、痛みの軽減を図る内服薬やブロック注射、炎症抑制を図る注射、リハビリ、時には手術が必要なこともあり、さまざまな治療法を融合させて治療方針をご提案します。「手術や注射は避けたい」といった患者さんのご希望もお伺いしていますよ。当院では理学療法士は担当制で、患者さんの状態や変化を見ながらリハビリを行い、気になる点は医師へフィードバック。この繰り返しから痛みの原因が見えてくることも多く、リハビリで評価を重ねて治療内容を改良していきますし、多彩なアプローチによる施術を行いながら回復をめざしています。
- Q脊椎疾患の治療やリハビリについて教えてください。
-
A
▲一人ひとりに合うリハビリテーションを常に考えて取り組んでいる
脊椎や脊髄に問題があると神経が圧迫され、手や首、肩から腕、また足腰にしびれや痛みが生じることが多いです。そこで診察や画像検査を行って、原因と治療方針をご相談します。脊椎脊髄疾患では手術を勧められることも多いのですが、私は勤務医時代に脊椎疾患を多数執刀した経験に基づき、手術で症状改善が見込まれるのか、あるいは期待するほど成果が得られないのか、その見極めを大事にしています。例えば、しびれは手術では取りにくい症状だと思いますし、脊柱管狭窄症は、画像では狭窄が重度でも自覚症状はとても軽いという方も。当院では痛みの強い時期を神経根ブロック注射などで軽減を図り、服薬とリハビリで改善をめざすこともあります。
- Q理学療法士によるリハビリにはどのような利点がありますか?
-
A
▲コミュニケーションを深め、リラックスした状態で施術を行う
症状からリハビリが有用だと考えられる患者さんには、理学療法をご提案します。リハビリは原則1回20分で、患者さんの症状に応じて時間を延ばすこともできます。術後などは詰めて通っていただきたいですが、症状が落ち着いていれば、月に1回コンディションチェックを兼ねた施術をお勧めすることも。理学療法士は現在男性が3人。それぞれの経験を生かしながら、明るい雰囲気で対応しているので、患者さんもリラックスしているようですし、そうした会話の中から原因や治療のヒントが見つかることも多いんです。物理療法を行っていないことに驚かれる方もいますが、まずは理学療法の意義やその効果を知っていただければと思います。