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清山 美恵 院長の独自取材記事

みえeatデンタルクリニック

(宮崎市/宮崎神宮駅)

最終更新日:2022/10/27

清山美恵院長 みえeatデンタルクリニック main

宮崎神宮駅から車で6分ほどの新興住宅地にある「みえeatデンタルクリニック」は2022年6月に移転開業した。移転にあたり患者が来院しやすいよう居心地の良い空間づくりを心がけたそうだ。「院名に『eat』を入れたのは口から食べることをサポートする摂食嚥下リハビリテーションを専門にもしているからです」と清山美恵院長。九州大学歯学部を卒業後、同大学病院口腔外科をはじめ複数の病院に勤務し、摂食嚥下リハビリテーションの分野で研鑽を重ねてきた。その経験を生かし一般歯科に加え、摂食嚥下リハビリテーションに力を入れて診療にあたる。診療の際にはできる限り痛みを感じさせないことや丁寧に説明し同意を得た上で治療を進めることを重視。患者に親身に寄り添うよう努める清山院長に開業の経緯から今後の展望まで幅広く聞いた。

(取材日2022年8月10日)

一般歯科に加え、摂食嚥下リハビリテーションに注力

移転開業の経緯やクリニック名の由来をお聞かせください。

清山美恵院長 みえeatデンタルクリニック1

2018年に宮崎市下北方町で開業し、今年6月に現在地に移転しました。クリニック名に「eat」を入れたのはスタッフのアイデアで当院が口からの食事をサポートする摂食嚥下リハビリテーションを専門としているからです。居心地の良い雰囲気になるよう、内装やトイレにこだわりました。今後、診療室の一部を摂食嚥下リハビリテーション専用の部屋にする予定です。診療はもちろん、付き添いのご家族もリラックスしてお待ちいただけるようなスペースにできたらいいですね。「来て良かった」「また連れて来てもいい」と思ってもらえるクリニックをめざしています。

先生はなぜ歯科医師をめざされたのですか?

最初は医学部をめざしていたのですが受験に失敗し、工学部に進学しました。しかし学生時代に入院中の高校生の家庭教師をしたことがきっかけで医療への思いが募るように。医学部の再受験も考えましたが、所属研究室の教授の勧めもあり、大学院を経て一般企業に就職しました。そこでは医薬機器の開発に携わることになり、医療への思いが再燃。その頃、歯科医師になった友人から「これから歯科は全身状態も診ながら治療するようになる。面白くなるから一緒にやろう」と誘われ、歯学部受験を決意しました。それで通っていた予備校の事務室に行くと母校の九州大学の願書が1つだけ残っていて。これも何かの縁でしょうね。

摂食嚥下の分野を専門にされたきっかけは?

歯学部時代は基礎科目が面白く、研究と臨床どちらの道に進むか悩んでいました。そんな時、集中講義で摂食嚥下リハビリテーションに関する話を聞き、強く惹かれて。「臨床で頑張れる」と思えた瞬間でした。当時九州大学には摂食嚥下を専門とする科がなかったため、指導医や講師に相談し、実際に患者さんに関われる口腔外科に入局。口腔外科では外来や病棟で診療する傍ら、口腔がん患者さんや嚥下障害のある患者さんの飲み込みの評価や指導に携わりました。「いい加減なことをしたら患者さんが命を落としかねない分野だ」と教えられたことは今でも意識しています。3年間の在籍中に多くのことを教えていただきました。

その後宮崎に移り、開業に至ったのですね。

清山美恵院長 みえeatデンタルクリニック2

結婚を機に地元の宮崎に戻りましたが、夫や理解ある先生方に支えられ、宮崎でも摂食嚥下リハビリテーションに携わってきました。開業のきっかけは、患者さんや医療関係者から「開業してほしい」と言っていただいたこと。ただ実際に開業に踏みきれたのは、信頼できるスタッフたちがいてくれたからこそです。

適切な食事介助を行い、口から食べる喜びをサポート

口からの食事を支援するNPO法人の活動にも携わられているようですね。

清山美恵院長 みえeatデンタルクリニック3

理事長を務める小山珠美さんとの出会いがきっかけです。摂食嚥下の分野では著名な方で、摂食嚥下に興味を持ち始めた頃から存じ上げていました。私が窓口となり、ある会で講演をしていただいた際、全国各地で食事介助の実技指導をされているという話を聞き、「宮崎でもぜひ行ってほしい」と直談判。以来、実技セミナーを10回実施したほか、脳神経学の講義や患者さんの状態を可視化して適切なケアに役立てるバランスチャートの研究会も開いていただきました。姿勢からスプーンの使い方まで、医学的な根拠に基づいて食事介助を行うことが小山さんの指導の特徴。私もアドバイザーとして活動に携わっています。

根拠に基づいた適切な介助が大切なのですね。

エビデンスに基づいて行うため、他職種の方やご家族にもご理解いただきやすいのが特徴です。食べることには全身状態も関係するため、トータルなアプローチが大切。他職種の方々との連携はもちろん、高齢化が進む今、一般の方も食事介助を行えるようになることが理想です。それで適切な介助について指導する一般向けの食事サポーター講座も開き、介助者の育成にも取り組んでいます。お口から食べることで精神的に満たされる患者さんが増えていくことが私の願い。咀嚼(そしゃく)したり飲み込んだりする力が弱まると誤嚥性肺炎を発症しやすくなります。リハビリの結果、上手に食べられるようになると、肺炎のリスクが下がり、入院期間も短くなるという報告もあるんです。患者さんがお口からおいしく楽しく食べられるようサポートしていきたいです。

印象に残るエピソードは?

清山美恵院長 みえeatデンタルクリニック4

あるご高齢の認知症患者さんのことが特に印象に残っています。嚥下機能評価をした上で姿勢なども事細かに指導し、ご自身でも食べられるようになっていたのですが、一部は介助が必要な状態でした。ある時私が手を添えて食事をしてもらっていると娘さんから、「清山先生は母が食べているかのように介助してくださいますね」とおっしゃっていただきました。介助者は患者さんが食べるのをお手伝いするだけというのが、これまで学んできた手技。手を添えて食べさせる際も介助者の手が見えないようにするなどの配慮が必要なんです。ただただその手技で行っただけなのにとても喜んでいただけて。食事介助であれ歯科治療であれ、患者さんの尊厳を守ることは大切です。当院でも自分がされて嫌なことは患者さんにもしないよう心がけていますね。

一人ひとりの患者に寄り添う丁寧な診療を心がける

診療の際にはどんなことを心がけていますか?

清山美恵院長 みえeatデンタルクリニック5

歯学部時代、「歯科治療で大切なのは患者さんに痛みをできるだけ感じさせないこと」と教わりました。痛みが強いと患者さんは歯科が嫌いになりますよね。ですから、できる限り痛みを感じさせないよう細心の注意を払っています。また当院ではインフォームドコンセントも重視。患者さんにきちんとご説明し、ご納得いただいてから治療を進めるよう心がけています。私自身歯科が苦手でしたので、不安なお気持ちはよく理解できます。歯科を受診し、毎日ケアをするにはかなりの努力が必要。患者さんに親身に寄り添い、お一人お一人の努力を褒めることも心がけていますね。

休日はどのようにお過ごしですか?

移転開業したばかりですので休日に事務作業をすることも多いですね。もちろん時には仕事から離れる時間も大切だと感じています。テニスやマラソンをしたり、温泉やドライブに行ったりもしたいのですが、なかなか時間が取れなくて。ただ仕事をすることは嫌ではないですね。「仮に大金を手に入れたら仕事を辞めて南の島にでも行くだろうか?」と考えた時、「それはない」と思いまして。歯科医師の道を選んだことに今は後悔はありません。

今後の展望についてお聞かせください。

今後は加齢による身体機能の低下を意味する「フレイル」の対策や、介助者の育成に力を入れていきたいです。スタッフ向けの栄養学の勉強会を月1回開いているのですが、最近ではスタッフ以外にも興味を持つ方が参加してくださっています。また今年の春には適切な食事介助について指導する食事サポーター講座を高齢者施設の職員さん向けに実施。一般の方々にも対象を広げていきたいと考えています。ゆくゆくは地域の方々にもご参加いただきたいですね。近日中に障害のあるお子さんのいるご家族を対象に、オンラインで食事介助の実技指導を行うことも計画しています。

読者に向けたメッセージをお願いします。

清山美恵院長 みえeatデンタルクリニック6

私も治療を頑張りますのでまずはご来院ください。往診を依頼された場合も患者さんのご状況を実際に診て処置が必要かどうかを判断することが大切と考えているので、できるだけ迅速にお伺いするよう努めています。患者さんが歯科を受診するのは痛みなどの症状があるから。おつらい症状が少しでも和らぐようサポートしたいと思っていますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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