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宮本 信宏 院長の独自取材記事

出雲漢方クリニック

(出雲市/出雲市駅)

最終更新日:2022/11/02

宮本信宏院長 出雲漢方クリニック main

出雲市今市町、出雲市駅からも近い、市内の中心部エリアに「出雲漢方クリニック」はある。院長の宮本信宏先生は大学病院の胸部外科で長年診療してきたが、漢方と出会い、専門分野を変更。島根大学医学部附属病院で外科と漢方を組み合わせた診療部門を立ち上げるなど経験を積んだ後、漢方の処方をメインにした同クリニックを2022年5月に開業した。院内は白を基調としたシンプルかつ清潔感にあふれた空間。取材にやわらかい笑顔で応じる宮本院長は、頭痛や倦怠感、生理や月経の不定愁訴などの些細な悩みも安心して相談できそうな雰囲気だ。そんな宮本院長に、宮本院長が考える漢方のメリットや、利用者が増えているというオンライン診療など、同院の取り組みについて幅広く話を聞いた。

(取材日2022年9月20日)

外科から転身。漢方メインのクリニック開業へ

まずは宮本先生のご経歴を教えてください。

宮本信宏院長 出雲漢方クリニック1

父親が胸部外科の勤務医だったので、子どもの頃から自然と将来は医師になるつもりでした。そのため私も胸部外科の医師になりました。若い頃は心臓と肺の手術を数多く担当し、2004年ミネソタに留学。移植外科で研鑽を積み、帰国後は島根大学の呼吸器外科で診療を行っていました。そして、漢方に興味を持ち、島根大学で漢方医学を学んだ後、2017年、大学病院としても珍しい外科と漢方を組み合わせた診療部門の立ち上げに携わりました。2022年5月に当クリニックを開業したのですが、島根大学には現在も籍を置いており、連携体制ができています。

漢方に興味を持ったきっかけは何ですか?

手術を受けたことがある方ならわかると思いますが、手術の後、医師は採血やエックス線検査で経過を観察し、臓器がきれいにくっつくのを確認していきます。感染などがあったら抗生物質を使いますが、基本的には自然治癒を待って退院のOKが出せるのを待つ。ですが術後は患者さんの免疫が落ちていますから、さまざまな病気や疾患のリスクが上がっている状態です。外科医としてそれがわかっていたので、患者さんのために何かできないかと思っていた時に、漢方でアプローチしていく可能性について考えたのがきっかけです。西洋医学と東洋医学のハイブリッド、西洋医学で及ばないところを東洋医学でカバーしていくという考え方のもと、漢方を徹底的に勉強しました。そんな時、島根大学で新しい外来を立ち上げることになり、外科と漢方、両方の知識があるという点が評価され、外科と漢方を組み合わせた診療部門が誕生したんです。

西洋医学の外科医が、東洋医学の持つ力に魅力を感じたと。

宮本信宏院長 出雲漢方クリニック2

漢方に代表される東洋医学は飛鳥時代に日本に輸入され、江戸時代に確立した日本の総合医療です。科学の進歩とともに西洋医学が発達しましたが、人の体は5000年前と大きな違いはなく、古代中国医学を基礎として日本人向けに発達した東洋医学は決して古臭いものではありません。保険診療内で出せる漢方は150種類ほどあり、実は意外と漢方も現代医療に溶け込んでいるんですよ。15年ほど前から日本の医学部でも和漢診療の授業が行われていますし、WHO(世界保健機関)が定める「国際疾病分類」に「伝統医学」として漢方をはじめとする東洋医学が導入され、国際的にも広く認められるようになっています。そんな状況の中で、「地域の中で、もっと気軽に専門的な漢方や東洋医学による診療が受けられる場所をつくれたら」と、当院を開業するに至りました。

オンライン診療で全国の患者に漢方内科の診療を

クリニックではどのような診療を行っているのですか?

宮本信宏院長 出雲漢方クリニック3

雨の日の頭痛や、肩凝り、腰痛、生理痛、更年期や思春期のむくみ、慢性的な下痢・便秘、病後の疲労倦怠感など、患者さんが訴える幅広い症状を診ています。普通の病院で診てもらってもなかなか改善が見られないという方に、漢方を用いたアプローチを提案しています。肥満に伴う高血圧症といった生活習慣病に対しては、むくみにアプローチする漢方薬の処方と食生活指導から始めるなど、患者さんに合わせて漢方薬を探していきます。患者さんは地元だけでなく、山陰両県からもいらっしゃいます。山陰で漢方を前面に打ち出しているクリニックがあまりないからかもしれませんね。最近は感染症対策として「対面診療は30分に1人のみ」というふうに診療枠を制限して他人との接触をなるべく減らすことに努めています。

対面診療と並行してオンライン診療も取り入れていますね。

なかなか病院に行けないという方や遠方にお住まいの方に向けて、専用アプリとSNS、2種類のツールを使ってオンライン診療を行っています。処方した漢方薬はお近くの薬局か自宅配送で受け取っていただきます。オンラインは大阪や京都、東京、神奈川など関東・関西の大都市圏の方が多いです。今は対面診療よりオンライン診療のほうが忙しいぐらいですね。私の時間的な都合に応じて早朝や深夜も対応可能ですから、その便利さも喜んでいただけているのではないかと思います。また、新型コロナウイルス感染症の対応でも、発熱がある方は外の駐車場に設置しているスペースでSNSを通して診察し、薬をお渡ししています。

診療の際に心がけていることは何でしょうか。

宮本信宏院長 出雲漢方クリニック4

目の前の患者さんがどういう方かなと考えながら診るようにしています。その人がどういう人かわからないと薬は処方できませんから。体つきや話し方、全体の雰囲気などを見ながら、性格や考え方などを探っていきます。オンライン診療の場合は画面の背景に映るものの様子を見ることも。お部屋が華やだったり、少しちらかっていたり、もしくは背景を見せたくなかったり。それも情報です。また、診療では必ず舌の状態もチェックします。舌診(ぜっしん)とは、舌を見ることでその人の体質や内臓の状態を読み取るという東洋医学の診断方法の一つ。患者さんのキャラクターと舌診から総合的に判断し、適した薬を処方します。症状はあくまで一つの材料でしかなく、なぜその症状が出ているのか、その方がどういう人かを見た上で、その人に応じた薬を選ぶようにしています。

漢方は先端医療の弱点を補う頼もしい存在

ほかにクリニックとしての特徴はありますか?

宮本信宏院長 出雲漢方クリニック5

漢方薬に「苦い」「飲みにくい」というイメージを持たれている方も多いと思います。当クリニックでは医療用エキス剤と呼ばれる粉薬を処方していますが、粉薬が苦手な方には錠剤もご用意しています。基本的な漢方には錠剤もありますし、もちろん子ども用の錠剤も準備しているのでお子さんもご安心ください。詳しい問診票に記入した後に悩んでいる症状を話していただき、舌の状態とおなかの状態を確認して、その方に合った漢方薬を処方していきます。また、薬に頼るだけでなく、生活習慣や食事、入浴、睡眠の指導も行うことで総合的にサポートしていくことも大切にしています。

宮本先生は漢方の研究会の代表も務めていますね。

私が島根大学にいた時に、出雲市内の医師や医学部生などで結成した大学発の医療コミュニティーです。講演会や勉強会の開催、オリジナル漢方茶を作っての試飲会などに加え、2021年には地元産の雲州人参を使った商品を作って雲州人参の普及と産地振興のお手伝いをしています。こうした活動が少しずつ認知されてきたのか、最近は勉強会のシンポジウムに招いていただくことが増えており、漢方についての講演も行っています。西洋医学で及ばない部分を東洋医学が補っていくハイブリッドでのアプローチのメリットがもっと広く知られるようになればと考えています。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

宮本信宏院長 出雲漢方クリニック6

東洋医学について、聞いたことはあるけど詳しくは知らない、どんなものか今一つよくわからないという方は多いと思います。ですが、皆さんがイメージしているほど難しいものではありません。今や漢方は「ひと昔の医療」から「先端医療の弱点を補う日本の伝統医学」へと役割を変えており、25年以上も外科医だった私が外科をやめて漢方のクリニックを開業したというところに、東洋医学の信頼性を見出していただければと思っています。オンラインでも診療ができますから、病院で診てもらってもなかなか良くならないと悩んでいる方はぜひ当クリニックで漢方を取り入れてみてはいかがでしょうか。どうぞお気軽にご相談ください。

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