山川 達也 理事長の独自取材記事
みそら訪問クリニック箕面
(箕面市/箕面船場阪大前駅)
最終更新日:2026/04/20
消化器外科の医師として経験を積んだ山川達也理事長が開設した「みそら訪問クリニック箕面」は、住み慣れた自宅での療養を願う患者やその家族に対して、在宅医療を行うクリニックだ。多くの医師が在籍し、さまざまな疾患に対応する総合内科的アプローチや在宅での輸血や腹水ろ過濃縮など、高度な医療を提供しているという。また、遅延のない細かな情報共有が医療連携には不可欠であると考え、訪問看護や介護、ケアマネジャー、薬局などとの緊密な連携を重視しながら、患者や家族に迅速で総合的なサービスを届けている。取材では、山川理事長にクリニック設立の背景や診療方針、大切にしていることなどを聞いた。
(取材日2025年7月29日/情報更新日2026年3月23日)
在宅医療を利用した経験から訪問診療の道へ
まずは、訪問診療を専門にしようと思った経緯をお聞かせください。

きっかけは家族ですね。私が医師2年目の時に家族が肺の病を患い、発病後3年目には寝たきりの状態になってしまいました。私のきょうだいは皆バラバラの場所でそれぞれ仕事をしていたものですから、誰が介護するかという問題に直面したんです。医師としての道を諦めなきゃいけないのかな、という思いもよぎりました。結局、サービスつき高齢者住宅にお世話になることになり、その時に在宅医療の先生や訪問看護・訪問介護のスタッフさんが、自分たちの代わりにすべてサポートしてくれたのです。お世話になった先生や看護師への感謝がとても大きく、自然と訪問診療の道を選んでいましたね。
開業しようと思ったきっかけは何ですか?
約10年間の勤務医時代、消化器外科の医師として多様な診療に携わっていました。その際、手術を行っても再発してしまう患者さんが多い事実を目の当たりにしたのです。また、外来には多くの患者さんが訪れることから、1人に3~4分程度の時間しかかけることができていませんでした。患者さん一人ひとりに寄り添うことができていない状況に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたね。その後、そうした思いを抱いた状態で両親の墓参りに行った時に、ふと「独立しよう」と思い立ちました。そして、周囲に迷惑をかけながらも準備を進め、無事に開業へ。当時は本当に1人からのスタートだったんですよ。
こちらでは、開業当初からどのような理念を掲げているのでしょうか?

「利他の精神を胸に、慈愛・安心・希望の医療を届け続ける」ことを掲げていますね。特に、「届け続ける」というところが重要だと考えています。一時的ではなく永続可能な体制を構築し、誰しもが不幸ではない、疲弊を感じない体制をつくることを大事にしているのです。利他というのは、患者さんやご家族、地域の急性期病院といった患者さんを支えるさまざまな職種の関係者を含んでいて、「三方良し」となる状態を継続していきたいと思っています。
断らない姿勢で子どもから高齢者まで多様な患者に対応
こちらのクリニックが地域で果たす役割は何でしょうか?

当院の役割は「地域医療」だと考えています。そもそも在宅医療とは、障害や疾病があるなど、患者さんがどのような状態であれ、住み慣れた場所で過ごせるように支えること。多職種で連携して支えるため訪問看護ステーションや薬局、介護ステーション、歯科医院など、さまざまな事業所が関係してきます。患者さんを中心に連携の輪をつくる際に、われわれが事業所間の空白を埋められる存在になれたらうれしいなと思います。また、当院は「インフラ」の一つになることをめざしています。以前、認知症を患っている方が外で転倒してケガをしたことがありました。その際、「認知症を理由に救急搬送を断られたらどうしよう」と家族が悩み保健所に電話したところ、当院に往診依頼することを勧められたそうで、実際に連絡を受けたことがあります。このようなケースがあると、インフラの一つになれているのかなと感じますね。
クリニックの診療方針を教えてください。
当たり前のことを当たり前に、患者さんのために続けていくことです。加えて、われわれは在宅クリニックの中ではいろんなことに対応している点も、大きな特徴かなと思っています。輸血は赤血球と血小板の両方に対応していますし、腹水穿刺や腹水ろ過濃縮再静注法(CART)も在宅で実施可能です。当院の幅広く対応できる診療体制は、ひとえに患者さんとご家族の通院の負担を減らしたい思いから取り組んできた結果です。「在宅医療だからこれはできない」とは考えず、「何かチャレンジできる方法があるはずだ」と、これからも追い求めて行こうと思います。
具体的にどのような症例に対応しているのでしょうか?

当院は、時間や症状、患者さんの年齢などを理由にお断りすることはありません。どんな困難な症例でも、しっかりと向き合えば解決すると信じているからです。輸血症例や人工呼吸器の管理が必要だったり、重度の障害があったりと、受け入れ先がなかなか見つからない方や重症度の高い方にも対応していますので、頼りにしていただけましたら幸いですね。こうした充実した診療を提供するために、現在常勤の医師と多数の非常勤の先生たちで訪問診療を行っています。24時間365日、いつでも患者さんのもとへ駆けつけられる体制を整えていますよ。
患者や家族の気持ちに寄り添ったサポートを行う
先生が患者さんやご家族と接する中で心がけていることは何ですか?

患者さんやご家族に対して寄り添うことです。在宅療養に移行する患者さんはもともと状態があまり良くないこともあり、それを自宅で24時間介護するご家族は大きな不安を抱えていらっしゃるでしょう。その気持ちに寄り添い、当院では一件一件の訪問時間は長めに取っています。また、患者さんやご家族の話を否定せず、まずは受け入れることも重視していますね。中には問題の解決が難しいケースもありますが、しっかりと寄り添うことで、患者さんやご家族の苦しみを少しでも減らせるのではないかと考えてのことです。さらに、ご家族が疲れていたら介護というのは成り立ちませんので、ご家族の様子も見て、すぐに気づける集団になりたいですね。
今後の展望をお聞かせください。
1つ目の目標は、介護つき有料老人ホームの設立です。ご家族による介護が限界でおうちでは過ごせないという方に対して、ちゃんと理念のこもった受け入れ先をつくりたいと思っています。2つ目は、当院の分院展開を年に1ヵ所ペースで進めていき、より多くの方々に在宅医療を提供していくことです。そして3つ目は、当院の社会的存在意義を継続していくことですね。例えば、私が引退しても患者さんのために「みそら」が存続して、100年以上続いていくようなグループになっていくのが私の夢です。加えて、2040年問題を見据え、在宅医療を通じて社会保障費の抑制を担うこともわれわれの役割の一つだと考えています。誰も望まない入院を減らし、高齢の方や疾病の方々を在宅で治療することで、現役世代や未来を担う若い人たちの負担軽減につなげたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私がかつて経験したように、家族の介護をしなければいけない現実に直面した時、夢を諦める人が出てほしくないなと思っています。ですから、みそらグループでは、医療と介護の肩代わりを担っていけるように努めているのです。患者さんとご家族、それぞれのご希望を実現できるように全身全霊で対応することをお約束します。気になることや悩みがあるときは、ぜひお気軽にご相談ください。お待ちしています。

