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北川 直孝 院長の独自取材記事

おおいずみ内科ハートクリニック

(富山市/大泉駅)

最終更新日:2022/10/11

北川直孝院長 おおいずみ内科ハートクリニック main

2022年6月に開院した、富山市中心部からも車でほど近い静かな住宅街にある「おおいずみ内科ハートクリニック」は、内科と循環器を専門とする地域のかかりつけ医院だ。院長の北川直孝先生は、大学病院や基幹病院で数々の経験を積んだ循環器内科の専門家。中でも心不全の緩和ケアについては、強い思いを持っている。「病気を診るのではなく、人を見る」をモットーに、信念を持って医療に臨みながらも、受ける印象は穏やかでとにかく話しやすい。大泉エリアの「よろず診療所」として地域医療に尽くしたいと話す北川院長に、クリニックの理念やこだわりの建物に込められた想いをたっぷりと語ってもらった。

(取材日2022年8月24日)

気軽になんでも相談してもらえる場所でありたい

こちらのエリアで開院されたきっかけやご経緯をお聞かせください。

北川直孝院長 おおいずみ内科ハートクリニック1

まず、僕の自宅がこの近くなんです。そして、この大泉地区は市内の中心部から車で5分くらいの便利な立地ではあるのですが、近くに医療機関がないエリアだったんです。ですので、ここにクリニックがあると地域の方のお役に立てるのではないかと思い開院に至りました。ここは通りから見える場所ではないので、認知されるかどうかは心配でしたが、意外と前の道を生活道路として利用している人が多く、建設している段階から「何ができているんだろう」と興味を持っていただいているようでした。ただ、クリニックができると思っていた人はほぼいなくて「何ができるのが楽しみにしていたら、お医者さんだったのね」と言われることが多いですね(笑)。

確かに医療機関とは想像しにくい外観ですね。どのようなコンセプトで造られたのですか?

パッと見て「いかにも診療所」という空間にはしたくありませんでした。理由の1つは、患者さんが緊張する場所にしたくなかったこと。もう1つはスタッフや僕自身も心地良く働ける空間にしたかったからです。そして、患者さんとの関係性を医療者と患者というだけのものにしたくありませんでした。気軽に来院してもらい、なんでも相談していただける場所でありたいと考えています。その想いをこの「らしくない」建物で示しました。ですので、医療設計をしている会社ではなく、僕の自宅を建築した工務店に依頼しました。基本設計には福井のクリニック建築でグッドデザイン賞を受賞した建築設計事務所にお願いしました。木をふんだんに使ったデザインは工務店さんと設計事務所さんのテイストを取り入れた結果です。また、隣の薬局も当院のコンセプトに賛同いただいて、同じテイストで建築してもらいました。

どのような患者さんがいらっしゃっていますか?

北川直孝院長 おおいずみ内科ハートクリニック2

開院当初から、この辺りにお住まいのお年寄りの方が「近くに診療所ができてありがたい」と言って来てくださっています。循環器内科を専門に打ち出しているので、腎臓や心臓などの循環器疾患をお持ちで、地域のかかりつけ医を探してらっしゃった方が多いですね。あとは、高血圧症などの生活習慣病をお持ちの方や、睡眠時の無呼吸検査を受けたいと来てくださる方もたくさんいらっしゃいます。意外だったのは、30代から50代ぐらいの女性の患者さんが多いことでした。主訴としては、動悸や貧血などが多く、あとは更年期障害の症状なのか、心臓の症状なのかをはっきりさせたくて、受診される方もいらっしゃいます。

「ここに来て良かった」と思ってもらえるクリニックに

診療で心がけていることは何ですか?

北川直孝院長 おおいずみ内科ハートクリニック3

症状はもちろんですが、患者さんが心配・不安だと思われているところをつかむことを心がけています。検査後に疾患が見つかれば治療につながりますが、症状があるのに「大丈夫」と言われると患者さんは不安ですしスッキリしません。検査で異常がないとわかっても、だからといって症状が消えるわけではありませんからね。ですので診療では、そういった不安とどうやって向き合っていけばいいのかまでお話しするように心がけています。また、「薬がないからこれでおしまい」ではなく、治療ではなくても、生活上の改善できる点をできる限りお伝えするようにしています。

地域の人たちに知ってほしいクリニックの特色は何でしょう。

まず時間帯予約制にしていること。患者さんの大切な時間を無駄にしないようシステムを整えて、予約の患者さんを優先して診療しています。次に、患者さん一人ひとりとしっかり向き合う診療を行っていること。病気や体の不調は、その方の生活習慣やライフスタイルが原因となっている場合もありますから、適切な診断・治療のためには、患者さんの背景を知る努力を惜しみません。そして3つ目。かかりつけ医として最期まで責任を持って診させていただくということ。僕はこれまで循環器を専門に経験を積んできました。ご高齢の心不全患者さんなどは、症状緩和を図りながら看取りを行う、緩和ケアにシフトすることも数多くありました。もしそういった患者さんが、自宅で過ごすことを希望される方には、できる限り入院が回避できるよう力を尽くしたいと考えています。僕が診ることによって、その人らしい生活が送れるようにお手伝いできたらと思っています。

スタッフさんに大切にしてほしいこと、伝えていることはありますか?

北川直孝院長 おおいずみ内科ハートクリニック4

「来て良かったなと思ってもらいたい」、ご自分の大切なご家族に「ここに行けばいいよ」と言っていただけるようなクリニックになりたい、その想いを持って僕はこのクリニックを開院しました。ですので、患者さんへの接遇は、特に気を配ってほしいと思っています。当院は心も体も癒やされるような空間づくりにこだわって建築しました。この空間で人の対応が悪いと逆に残念な印象になってしまうと思います。僕の想いは、開院前にスタッフにもしっかり伝えているので、皆共感してくれていると思います。

モットーは「病気を診るのではなく、人を見る」

先生は心不全患者の緩和ケアに力を注いでらっしゃるとお聞きしました。活動のきっかけをお聞かせください。

北川直孝院長 おおいずみ内科ハートクリニック5

心不全は、血液のポンプの役割を持つ心臓の筋肉が弱まり、全身の循環が悪くなる病気です。先ほどもお話ししたように、高齢の患者さんでは難治性となり、入退院を繰り返し、最期は病院で亡くなるケースが少なからずあり、急性期医療の現場で循環器内科の医師として担当させていただきました。そんな中「ご本人の希望はどこにあるのか」と考えるようになったのです。ご本人の確認も取れないまま病院のベッドで過ごすことが、ご本人の幸せにつながっているのだろうかと。僕は、何が幸せか決めるのはご本人だと思っています。ですので、最期はご本人が過ごしたいように過ごすことをゴールにして「病気を診るのではなく、人を見る」ということをめざしたいと思います。そしてそれは、大規模病院ではなく地域のクリニックのほうが実現可能ではないかと考え、開院に至りました。

緩和ケアを通して印象に残るエピソードはありますか?

そうですね、ご本人からお聞きすることはかなわないのですが、ご家族から「最期まで本当に良くしてもらった」と、感謝の言葉をかけていただくことがとても多いです。僕は、ご高齢の心不全の患者さんには、アドバンス・ケア・プランニングを早い段階からタブー視せずに行ってきました。アドバンス・ケア・プランニングとは、将来の変化に備え、将来の医療およびケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセスのことです。自宅で過ごしたいとおっしゃる方には、在宅医療の先生と連携をとりますし、「最期は不安だから入院で」と言われるのであればプランを変更しても良いのです。その都度話し合いながら、最期はその方が過ごしたいように過ごせるようお手伝いができればうれしいですね。

では最後に、今後の展望についてお聞かせください。

北川直孝院長 おおいずみ内科ハートクリニック6

ここで出会う患者さんたちとはこれから長いお付き合いになるかと思いますので、その関係性の中で、治療だけではなくその方の生活や家族背景なども含めたアドバイスをさせていただけるようになりたいですね。生活習慣の見直しの提案など、医療者と患者との関係だけではない一歩踏み込んだ関わり方ができればと思っています。

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