QOL向上のため整形外科で行う
関節リウマチの包括的治療
中野タカハシ整形外科クリニック
(中野区/中野駅)
最終更新日:2025/08/13


- 保険診療
昨今、運動器の痛みや動かしにくさを感じた際に、ネットやAIにより自己流で判断したり、接骨院など医療類似行為を行う施設を訪れたりする人が少なくない。日本専門医機構認定整形外科専門医として患者の運動器の悩みに向き合ってきた、「中野タカハシ整形外科クリニック」の高橋祐成院長は、こうした傾向に懸念を抱いている。「整形外科医がどんなに医学的に適切な診療をしていても、その重要性がこれまで患者さんへ十分伝わっていなかったと思います。とくに関節リウマチは、早期から整形外科医が関わることで、病気の治療だけでなく、現在の症状や将来の生活の向上を図れる病気だということを知ってほしい」という。そんな高橋院長に、関節リウマチについて、整形外科医の視点から詳細に語ってもらった。
(取材日2025年6月30日)
目次
関節リウマチ専門家による根拠に基づく診療。薬物治療のほかリハビリテーションなど多方面から治療を支える
- Q関節リウマチとはどんな疾患でしょうか。
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A
▲関節リウマチ治療やリハビリに精通し、予防ケアにも注力する院長
原因として遺伝子に何らかの異常か、ウイルス・細菌など微生物への感染などが考えられていますが、完全にはまだわかっていません。自分の体を誤って異物として認識し、排除しようとする免疫系の異常反応により、身体の各部位に炎症を生じます。30~40歳代の女性に多く見られますが、最近では比較的高齢の方に発症するタイプも注目されています。初期の症状として、手足等の腫れ・痛みや、朝などに動かし始める際のこわばりがみられることが多いです。症状が進行すると、関節構造が崩れて変形が生じたり、関節を動かせる範囲が狭くなったりします。また疲れやすさや食欲低下、体重減少などの全身症状がみられることもあります。
- Qどのように治療をすすめていくのでしょうか。
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A
▲中野駅近くに位置し、幅広い整形外科疾患に対応する同院
関節が腫れる病気はたくさんあり、これさえ満たせばリウマチと診断できるという明確な基準はありません。そこで、症状がある関節の数、血液検査による抗体や炎症反応などの値、症状が続いている期間をもとに、関節リウマチとして分類されるものに対して、速やかに治療を開始します。まず患者さんの年齢や持病、現在内服中の薬などに応じて、病気そのものの活動性をおさえるのに役立つ薬を選択し使用します。同時に、現在ある痛みや発熱症状をおさえるために、鎮痛剤の内服や関節内注射を行うことがあります。近年さまざまな薬が登場し、炎症の制御が見込めるようになり、病気の活動性が停止している状態まで目指せるケースが増えてきています。
- Qそもそも何科を受診したらよいか迷いそうですが。
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A
▲血液検査だけでなく、超音波検査や身体機能評価も
内科や整形外科、あるいはリウマチ科など、受診の入り口で迷うことはありそうですね。薬物治療としては、初期治療は標準化されているため、どの科でも安心して治療を受けられます。しかし、関節周囲の軟部組織である靱帯・腱・半月板などの損傷や関節内の感染症が生じた際は、整形外科でないと対応できません。とくに注射に関しては、超音波診断装置を用いるだけでなく、手術経験で得られた解剖学的知見も生かし正確に行うよう心がけています。また投薬に加えてリハビリも行いながら、必要な方へは手術治療のタイミングについても判断しています。その意味で、整形外科で包括的に治療する意義は大きいと考えます。
- Q関節リウマチのリハビリについて教えてください。
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A
▲患者に合わせたリハビリプログラムを理学療法士が提供する
理学療法や装具療法により、筋力強化や関節可動性の維持、機能の代償、また手術に至った方への前後のフォローも行います。当院には経験豊富な理学療法士や義肢装具士が在籍しております。実際に負荷を調節しながら行う運動などは、自分自身で行うのは難しいものですが、理学療法士と一緒に行うと上手くすすめやすくなります。義肢装具士は外反母趾のような足変形に対して足底板の作製などを行っております。また温熱治療や電気治療が可能な物理療法機器や、高齢の患者さんへはマシンを用いて筋力や姿勢を改善させるためのパワーリハビリも行います。身体的な機能回復だけでなく、日常生活や仕事・社会生活への復帰を見据えた治療が大切です。
- Q症状の進行を防ぐために大切なことは何でしょうか。
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A
▲患者のモチベーション維持に注力し、治療意欲の継続を願う院長
関節リウマチは炎症により全身的に消耗します。このため睡眠を十分確保することが重要です。疲れたら休憩をとり、心身のストレスを減らすように心がけましょう。食事も大切です。栄養素をバランスよく摂取することで、適切な体重や筋肉量を維持し、生活活動性の低下を防ぎます。また料理や掃除などの家事では、関節に負荷をかけないような動作の工夫が必要です。治療のゴールは血液検査結果の安定だけでなく、筋力や生活動作能力などを反映したQOL(生活の質)の改善です。当院ではリハビリに力を入れており、合併症の一つである骨粗しょう症の検査・治療にも対応可能です。薬物療法以外のアプローチも可能な整形外科での治療をお勧めします。