岸本 広志 院長の独自取材記事
きしもと内科クリニック
(寝屋川市/寝屋川市駅)
最終更新日:2022/12/01
寝屋川市駅から徒歩12分に位置する「きしもと内科クリニック」は、内科・循環器内科を標榜するクリニックだ。院長の岸本広志先生は2008年に関西医科大学医学部を卒業後、関西地域周辺の大学病院、総合病院などで研鑽を積み、日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医などを取得。2022年4月に同クリニックを開業した。住宅街や中小企業のオフィス、工場などに囲まれた同クリニックには、さまざまな年齢層の患者が来院する。クリニック2階には有料老人ホームがあり、往診に出向くこともあるという。今回は「地域住民の健康維持、健康増進をめざしたい」と語る岸本院長に、同院開業までの経緯や診療の特色、自身が大切にしていることなどについて語ってもらった。
(取材日2022年10月26日)
さまざまな症状を抱える患者を広く受け入れたい
まずは開業までの経緯についてお聞かせください。
医学部卒業後は京都市立病院で初期研修を受け、母校である関西医科大学へ戻り、大学病院や関連する総合病院で循環器内科の医師として経験を積んできました。循環器内科という診療科を専門に選んだのは、心臓という人の命に直結する部分を診られることに魅力を感じたからですね。大学病院や総合病院の循環器内科は、朝から晩まで緊急で処置をしなければならない患者さんが運び込まれてくるため、とにかく体力勝負で、緊張感のあるハードな勤務でした。しかし、重症疾患で運び込まれてきた患者さんの治療ができると、とてもやりがいを感じたものです。13年間勤務医としてさまざまな経験をさせていただき、その経験を生かしたいという想いから、クリニックの開業を決心しました。
開業にあたって、立地や内装などで重視したことはありますか?
立地については、広い視野で検討していたのですが、ご縁があってこの地をご紹介いただきました。母校からも近く、私の地元である大東市にも近いので、なじみがあって気に入っています。また同じ建物の2階に有料老人ホームが入っていますので、往診を行うなど、入居者さんたちの健康も支えたいですね。内装で特にこだわったことは、バリアフリーと感染症対策。車いす同士でもすれ違えるようにするなど、設計士さんとよく相談して造り上げました。また、発熱症状のある患者さんを隔離できるスペースを作ったり、患者さん同士、患者さんとスタッフとの交差を極力少なくできるよう、動線を工夫しました。検査機器についても心電図、心エコー、エックス線といった一般的な検査、動脈硬化の度合いを調べるABI(足関節上腕血圧比)も即時行えるよう取り入れました。検査の結果、必要と判断したら、連携した近隣の総合病院へご紹介します。
開業から半年ほどがたちますが、現在の所感について教えてください。
患者層としては、中学生くらいのお子さんから高齢の方まで幅広い層の患者さんが来てくださっています。近隣にお住まいの方はもちろんですが、近くに企業のオフィスや工場も多いので、仕事帰りにスーツや作業着でお越しになる方もいます。特に多いのは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症など、生活習慣病をお持ちの患者さんですね。私の専門は循環器内科ですが、日本内科学会総合内科専門医の資格も取得していますので、さまざまな患者さんを広く受け入れて、必要であれば適切な診療科の受診を促すこともあります。また当クリニックでは発熱者の外来も行っていて、それを機にクリニックのことを認知してくださった方も多いように思います。
地域住民の健康寿命を延ばすために
クリニックのめざすものは何でしょうか。
地域の方々の健康維持や健康増進をめざして診療を行っています。体や心に不調があると、気持ちに不安が生じ、生活も不安定になってしまう方が多いのではないでしょうか。そこで私たちは、それを解消するためのサポートを少しでも行いたいという気持ちで、日々の診療にあたっていますね。また患者さんの不安な気持ちを少しでも和らげ、「ここへ来てよかった」と思っていただけるように、まずは私を含めたスタッフ全員が「優しさ」を大切にしています。病院は緊張感のある場所で、どうしても慌ただしくなりがちですが、私たちはどんな時でも患者さんの目を見て挨拶をする、ゆっくり丁寧に話をする、スタッフ同士も優しさを持って接することを大切にしているんです。特に医師である私は患者さんに指導する機会も多いので、優しさのこもった伝え方を意識しています。
クリニックの診療の特色についてお聞かせください。
まずは私の専門である循環器疾患の診療に特に力を入れています。例えば、高血圧症の方であれば、血圧をコントロールして動脈硬化の進行を防げるよう、薬物療法はもちろんのこと生活指導など患者さんが取り組みやすい手段を模索しながら、提案していきます。また不整脈、心臓弁膜症、狭心症などの心臓病の中には、早期発見、治療が大切なものもあります。これまで勤務医として、治療が遅れて重症化してしまった患者さんを多く診てきたので、そうなる前に予防できるようにしていきたいですね。症状があれば受診していただきたいのはもちろんですが、症状がなくても年1回の健康診断を受け、結果に応じて医療機関を受診していただきたいと思っています。
漢方薬を用いた診療にも力を入れているそうですね。
はい。西洋医学に有効な治療があればよいのですが、それでもよくならない場合や西洋医学では有効な治療がない場合などには、漢方薬で次の一手を打つこともあります。もともと関西医科大学の学部生だった頃に東洋医学研究会に所属し、漢方薬の勉強をしていました。そのバックグラウンドもあり、医師になって数年たった頃から診療に漢方薬も取り入れるようになったんです。東洋医学は西洋医学とは診断の方法などが異なるため、少し取っつきにくいと感じる先生も多いのですが、私はたまたま学生時代に勉強していたので、始めてみたらなじみやすく、現在の診療にも活用しています。原因のわからないめまいや自律神経に関する不調などでお悩みの方などに処方することもあります。
心身の不調があれば気軽に相談を
先生は文系大学卒業後に医学部に入られたそうですね。
はい。高校卒業後、一度は文系大学に入学して社会学について学んでいたのですが、勉強しているうちに人と関わる仕事がしたいと思うようになり、医療関係の職業に興味を持つようになりました。初めはカウンセラーや臨床心理士なども検討したのですが、チーム医療のリーダーとして患者さんとより深く関われる「医師」の仕事に憧れを持ち、大学卒業後2年半ほど勉強して医学部へ入学しました。受験勉強含め、勉強はとても大変でしたが、今こうして医師としてさまざまな患者さんと関われるようになり、頑張って良かったと思っています。
今後の展望についてお聞かせください。
開業からまだ半年程度なので、しばらくは地域の方々に認知していただけるよう、日頃の診療を丁寧に行いながら、一般の方向けの勉強会なども力を入れていきたいですね。実は、すでに何度か地域自治体の方向けの高血圧などに関する講演会を実施しました。実際にこのような講演会を実施してみると、参加者も多く、質疑応答も非常に盛り上がるので、地域の方々の健康に対する関心の高さが伺えてうれしいです。これからもこのような取り組みは続けていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
心や体に不調を感じた時は、放置せずに当クリニックを受診してほしいです。中には「どの診療科を受診すればよいかわからない」など、受診を悩んでしまう方もいるかと思いますが、来ていただければ、医師が判断して適切な治療、あるいは適切な診療科の受診を提案いたしますので、まず相談していただけるとうれしいです。また当クリニックでは、健康診断や予防接種なども各種行っていますので、健康を守るためにさまざまな用途で活用いただければ幸いです。