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石垣 達也 院長の独自取材記事

おまもりクリニック

(川崎市宮前区/宮前平駅)

最終更新日:2022/07/11

石垣達也院長 おまもりクリニック main

東急田園都市線・宮前平駅南口からすぐ。尻手黒川道路沿いに立つビルに入居するクリニックモールの一画に「おまもりクリニック」はある。日本精神神経学会精神科専門医として主に精神科病院で診療を続けてきた石垣達也院長が、2022年6月に開院した心療内科、精神科のクリニックだ。非接触型ボタンが採用されたエレベーターで3階に上がり、エントランスを抜けると、駅近を忘れさせゆったりとした空間が広がる。白を基調に木目とダークカラーを効果的にあしらったスタイリッシュなインテリアの院内で、診療を終えたばかりの石垣院長が明るく迎えてくれた。「病院での経験を生かし、今後は地域で患者さんにより近く寄り添う診療を手がけていきたい」と語る石垣院長に、クリニックにかける思いや今後の展望について語ってもらった。

(取材日2022年7月1日)

安らぎを与え、力を引き出す“お守り”のような医院に

「おまもりクリニック」とはすてきな院名ですね。

石垣達也院長 おまもりクリニック1

クリニック名を考えるにあたり、「メンタル」や「こころ」「心療内科」といったワードや地域名はあえて入れたくないという思いがありました。院名に適切な言葉を探るうち、「お守り」という存在に思い当たりました。お守りは私たち日本人に身近な存在ですが、魔除けといったかたちで古今東西さまざまなものが存在してきたユニバーサルなものでもあります。お守りは手元にあるだけで何か身を守ってくれるような安心感が得られ、受験の際など実力が発揮できる気がする不思議な存在です。当院もお困りの患者さんのそばにあって、心に安らぎをもたらすようなクリニックでありたい。そして、治療の主体である患者さんが本来持つ力を引き出せるような存在でありたいとの思いから、「おまもりクリニック」と名づけました。

クリニックのコンセプトを教えてください。

「どうしたいか?」「どのように病気を受け止めて、何を目標に治療していきたいか?」といった患者さんの意向を軸に診療を進めるクリニックです。精神科病院の現状として、どうしても医師主体で治療を押しつけるかたちの強制治療が中心になっているという問題があります。状況によってそうした対応が必要となることはもちろんあります。しかし、当院ではあくまで患者さんの意向や希望を中心に据えた診療を行っていきたいと考えています。

診療内容はどのようなものになりますか?

石垣達也院長 おまもりクリニック2

うつ病、躁うつ病、不安症や統合失調症、アルコールや薬物などの依存症、認知症といった病気や、知的障害や発達障害などの神経発達症、パーソナリティー障害に伴う情緒障害など幅広く診療しています。一般的な心療内科と比較して、やや重度の統合失調症や躁うつ病にも対応していることが特徴で、持続性注射薬剤(LAI)による治療も行っています。これは統合失調症の症状を抑えるための薬剤を筋肉注射により投与するもので、必要な薬を適切に体に届け、再発や症状悪化の不安の軽減を図る方法です。依存症では川崎市にある依存症回復支援施設と連携しており、飲酒欲求低減のための薬を処方できる体制です。ADHDの方への薬の処方も可能です。

健康的な側面に焦点をあて、それを膨らませる診療を

どのような患者さんが多くいらしていますか?

石垣達也院長 おまもりクリニック3

地域の病院で長く診てきた患者さんのフォローアップももちろん行っていきますが、新たに受診される方では10代から20代、30代といった若い世代の患者さんが圧倒的に多くなっています。学生や社会人、子育て中の主婦の方などで、ほとんどが近隣にお住まいの方。時期的に、環境が変わったことによる適応障害で症状が出ている方や、うつ病で登校・出勤が難しい方などからのご相談も多く受けています。地域での精神科・心療内科受診を望んでいながら、これまで他院では予約が取れないなど受診が難しかったという方が多く、地域での潜在的需要の高さを再確認しています。

治療について教えてください。

要望に応じて薬を処方しますが、薬は使いたくないという方の相談も受けています。漢方薬を処方することもよくあります。カウンセリングが必要と思われる方には、地域で公認心理師の先生が展開しているカウンセリングルームへの相談をお勧めすることもあります。現状では院内で本格的な認知行動療法を行うことは難しいですが、ゆくゆくは対応していくことも考えています。

診療の際に心がけていることがあれば教えてください。

石垣達也院長 おまもりクリニック4

患者さんは病気を持っていると同時に、必ず健康的な側面も持っています。そうした健康的側面を取り上げ、できないことではなくできていることに焦点をあてて、診療を通してそれを膨らませていくように心がけています。病気で症状があるのはつらいことですが、それが患者さんの人生のすべてではありません。各自が持っている病気やストレスを跳ね返す力、レジリエンスを高めていければと思っています。そのためには、自分を信じてその力を自覚すること、本人も見いだせていない部分をともに引き出すことが大切と考えています。

ライフワークは依存症治療、回復支援施設立ち上げにも

クリニックのこだわりについてお聞かせください。

石垣達也院長 おまもりクリニック5

とにかく、患者さんが快適に通えるクリニックづくりを心がけました。多少コストがかかっても駅近で十分な広さが確保できることにこだわり、通信速度が速い無線LANを導入するなど、待ち時間も快適に過ごせる空間としました。インテリアは10代の頃から大好きな北欧風のシンプルなものとし、デンマークのデザイナーによる家具などを配しています。近年ではスマホとカード入れのみ持って出かけるという方も多くなっていますので、手ぶらで受診していただけるようキャッシュレス決済システムも導入しました。

精神科の医師をめざされたきっかけは何ですか?

小学校時代、友人宅に遊びに行くといつも家にいてアイスや麦茶を出してくれる優しいお父さんがいました。後に彼がアルコール依存症であることを知り、それまで持っていたイメージとはまったく違ったことに驚き、依存症についてもっと知りたい、学びたいと医学部に進みました。静岡の出身で大学・大学院と地元で進学しましたが、別分野での研究と並行してアルコール依存の専門病院にも勤務。依存症がライフワークであると公言していたことから、川崎市の依存症回復支援施設の立ち上げの際に声をかけていただき、相談役のようなかたちで関わっています。依存症は本人の意思ではどうにもならない、制御不能な病気として、自助グループ参加などの適切な治療・リハビリにつなげることが重要です。

休日の息抜きや気分転換には何をしていらっしゃいますか?

石垣達也院長 おまもりクリニック6

ギターやベースなどの楽器を演奏し、シーケンサーという機械を使ってトラックを作っては、気の合うドクターとバンドを組んで病院の夏祭りなどで披露してきました。新型コロナウイルスが流行してからは、そうした機会も減少してしまいましたが、今でもR&Bや90年代を中心としたヒップホップ、ジャズなどの音楽を聴いて楽しんでいます。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

まだ開院したばかりではありますが、いずれは医師を増員して、ニ診体制でより多くの患者さんを診られるクリニックにしていきたいと考えています。地域の社会福祉施設などとも連携し、病院とはまた違う小回りの利く拠点として地域に貢献していきたいですね。初めて精神科・心療内科を訪れたという方も多くお迎えしており、「こんなことで病院にかかって良いものか不安だった」という声もよく聞きます。悩みや不安がある方は、お話ししていただくことで心が軽くなることもあると思います。いずれにせよ病気でもそうではなくても、早めに対応することすることが大切。当院では患者さんの希望や要望を中心に治療方針をともに考え、皆さんの健康的な側面を膨らませる診療を心がけています。まずはお気軽にご相談ください。

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