萬代 喜代美 院長の独自取材記事
こもれびレディースクリニック大阪本町
(大阪市中央区/本町駅)
最終更新日:2026/09/14
大阪メトロ中央線・本町駅から徒歩4分。オフィスビルが立ち並ぶ一角に、「こもれびレディースクリニック大阪本町」はある。2022年に開業した同院の院内は、木目と白を基調としたエレガントで落ち着いた空間が広がり、患者がリラックスして過ごせる環境が整えられている。萬代喜代美院長は、神戸大学卒業後、兵庫県立こども病院の総合周産期母子医療センター立ち上げなどに携わった日本産科婦人科学会産婦人科専門医。幼い頃に手術や治療を経験し、医療に支えられながら成長したことが医師を志す原点となった。「自分の体の声を無視しないでほしい」と語る萬代院長は、痛み止めや睡眠薬に頼るのではなく生活習慣そのものを見直すことの大切さを訴える。女性の生涯に寄り添うヘルスケアに力を注ぐ萬代院長に、診療理念や女性の健康への思いを聞いた。
(取材日2026年8月18日)
女性の生涯に寄り添うクリニックをめざして
医師を志したきっかけから現在までの歩みを教えてください。

幼い頃に大きな病気を経験し、医療に支えられながら成長したことが、医師を志す原点だったと思います。神戸大学卒業後に産婦人科の道へ進んだのは、生まれたばかりの赤ちゃんに最初に関わることができる科だったからです。支えを必要とする子どもたちを救いたいと、この道を選びました。大学卒業後は兵庫県立こども病院の総合周産期母子医療センター立ち上げに携わり、淀川キリスト教病院での勤務を経て、クリニックでの診療に移りました。クリニック勤務になってからも休日にお産のお手伝いに出向いていた時期もあります。現在は母体保護法指定医・産婦人科専門医として日々の診療にあたっています。
どのような思いでクリニックを開業されたのですか。
自分が理想とする、女性のヘルスケアを支えるクリニックを作りたいという思いが開業の出発点です。一般的に産婦人科はハードルが高いと感じる方が多く、日本ではまだ婦人科健診を受けることが当たり前にはなっていません。私がめざしたのは、内分泌やホルモンの働きも含めて女性の体をトータルに診ていけるクリニックです。その方の生活や生き方、何を大事にして生きているかも含めて相談に乗りたいと考えていました。デリケートな悩みもざっくばらんに話せる、そんな場所にしたかったんです。一つの場所でそうした長いお付き合いを大切にしていきたい気持ちも開業を後押ししてくれました。実際に、勤務医時代に出会った患者さんが今もこちらに通ってくださっています。
患者層、院内の雰囲気づくりで工夫された点についてお聞かせください。

本町エリアはオフィス街のため、近隣の企業にお勤めの方に多くご来院いただいています。また近年は高層マンションの建設が進み、周辺にお住まいの若い世代の方々にもご利用いただく機会が増えています。院内の雰囲気づくりで一番意識したのは、初めて来院される方の不安をできるだけ和らげることです。気になることがあって来てくださった方に、少しでも精神的に楽になってもらいたいと感じています。木目と白を基調にした落ち着いた空間にし、リラックスできる音楽やお手洗いのアロマなど細かなところまで気を配りました。初めての受診に緊張される方もいらっしゃると思いますが、来院してみたら思っていたよりも安心できたと感じていただけたらうれしいですね。
心身の不調の根本的な原因に向き合うことが大切
日々の診療の中で、先生が課題に感じていることはありますか。

日々感じているのは、ご自身の体にもっと関心を持ってほしいということです。具合が悪くなったら薬をもらえばいいと考えている方は少なくないのですが、私はそれでは根本の解決にならないと思っています。「どうして痛みが出ているの? 眠れないの?」と原因を考えることが大切なんです。例えば、貧血が長く続いている方の中には、実は過多月経が原因であるケースも。また、食事や生活習慣の見直しが体調の変化につながることもあると考えています。痛み止めや睡眠薬でしのぐのではなく、食事・睡眠・運動といった生活習慣そのものに目を向けることが大事です。当院では患者さんの普段の生活をお聞きしながら、できることから一歩ずつ一緒に見直していくようにしています。
具体的にはどのような診療を受けることができるのでしょうか。
女性はライフステージによってさまざまな悩みや疾患が生じやすいものです。当院では思春期から閉経後まで女性のヘルスケアを幅広くサポートしています。婦人科では月経に関するトラブルや月経前症候群(PMS)、不正出血・生理不順などに対応しており、妊活サポートや更年期のご相談も受けています。予防接種や婦人科健診も行っていますので、症状がないときでも定期的に受診していただけたらと思います。産科では妊娠10週過ぎまでの妊婦健診や乳房のトラブルにも対応しています。原因がわからない不調でも、婦人科の視点で診てみると背景が見えてくることがあります。女性ならではの観点で体全体を診ていけるのが婦人科の役割だと考えています。なお、土曜午後には小児科の診療も行っています。
現代の女性へ伝えたいことはありますか。

子宮内膜症など婦人科の疾患は、ほとんどが症状のないまま進行します。10年単位で少しずつ悪化し、気づいた時には妊娠しにくくなっていたり、生理が終わってからも痛みが続いたりするケースもあります。だからこそ、症状がなくても年に1回の子宮頸がん検診や、定期体に超音波検査で子宮や卵巣の状態を確認することも大切だと思います。異常が早めに見つかれば対応できることはたくさんあります。でも、病気になってからでは遅いことも多いんです。普段から自分の体のサインに気をつけて、体の声を無視しないでほしいとお伝えしたいですね。年齢を重ねるほど体への負担は大きくなっていきますので、不調を感じた時に「どうしてだろう」と一歩立ち止まること、定期的に婦人科を受診することが、ご自身を守る大切な一歩だと思っています。
一人ひとりの価値観や生活を尊重してサポート
患者さんと向き合う際に大切にしていることを教えてください。

大切にしているのは、その方の価値観や生活を一番に尊重することです。生活習慣の見直しをお勧めすることはありますが、無理強いはしません。ご自身で気づいていただくことが何より大事だと思っているので、お話を聞きながらその方のペースで一緒に考えていくようにしています。また、日々の診療は私一人では成り立ちません。受付スタッフや看護師の存在はとても大きくて、特に看護師が私の言い足りなかったことを患者さんの立場で丁寧に補足してくれることには本当に助けられています。スタッフには来院される方の顔を覚えてほしいとよく伝えていて、来院してからお帰りになるまで一人ひとりに目を配ることを大切にしています。ホテル業のホスピタリティーを参考にさせてもらっているんですよ。
先生ご自身が健康のために心がけていることはありますか。
心がけているのは、まず早寝早起きです。食事は、豆類や野菜、魚、海藻類などを積極的に取り入れる「まごわやさしい」を意識した和食が中心です。休日には1週間分の常備菜を作り置きし、忙しい日でも栄養バランスを保てるようにしています。出汁を取るところから手作りするのがこだわりです。毎日5分の室内運動も欠かさず、続けられることを選ぶのがポイントですね。自分ができないことを人に勧めてはいけないと思っているので、まず自分で実践して、それを患者さんにお伝えするようにしています。食べること、寝ること、体を動かすこと、すべてはつながっています。0歳から100歳まで、お迎えが来る前日まで自分の足で歩いて自分で食べて過ごせること、それが私の理想です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

診療を通じて、日本の女性は頑張りすぎてしまう方が本当に多いと感じています。とても素晴らしいことですが、気づかないうちに自分を犠牲にしてしまいがちなところが気がかりです。体のことも精神面のことも、どうか自分を一番に大切にしてください。やることはやる、でも主張すべきことは主張して、休むべきときはしっかり休む。それが当たり前になってほしいと心から思います。特に一度も婦人科を受診したことがない方には、勇気を出して最初の一歩を踏み出していただきたいと思います。婦人科は病気になった時だけ行く場所ではありません。自分の体について気軽に相談できる、生涯付き合えるかかりつけ医を見つけてほしいですね。

