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小日向 聡行 院長の独自取材記事

こびなた在宅クリニック

(さいたま市岩槻区/岩槻駅)

最終更新日:2023/08/23

小日向聡行院長 こびなた在宅クリニック main

近年ますます重要性が高まっている在宅医療。岩槻駅から徒歩3分の場所にある「こびなた在宅クリニック」は、そんな在宅医療を中心に診療しているクリニックだ。心臓血管外科の医師として埼玉県内の病院で経験を積んできた小日向聡行院長が、通院が困難な患者の多さを目の当たりにして、訪問診療に専念すべく2022年4月に開業。以来、医師は非常勤含め4人体制に、看護師も3人に増員するなど医療体制を拡充、地域の在宅医療のニーズに応えている。診療では、患者自身の考えや要望に丁寧に耳を傾け、その願いをかなえるために院内外の多職種連携を強固にし、患者にとっての幸せで穏やかな人生の実現をめざしている。「困っている人たちを誰かが何とかしないといけない」と語る小日向院長に在宅医療への思いなどについて聞いた。

(取材日2023年7月31日)

通院が大変な患者に常時対応するクリニック

開業のきっかけやコンセプトについて教えてください。

小日向聡行院長 こびなた在宅クリニック1

私は心臓血管外科の医師として、埼玉県内で長年診療してきました。開業直前は春日部中央病院に勤務していましたが、担当の患者さんが次々に通院が難しい状態になり、何とかしたいと考えたのがきっかけです。命に関わる疾患を治療するための薬を飲んでいる方が腰を痛め、通院を中断したために1週間服用ができなかったケースもあり、解決すべき切実な問題だと思ったのです。岩槻区は春日部市と隣接しており、区内には長年外来を手伝ってきた丸山記念総合病院もありますので、土地に縁を感じてこちらに開業しました。当院は本来通院が必要であるものの、さまざまな理由で受診できなくなってしまった方や、入院ではなくご自宅で療養をしたいと希望する方などを診る在宅医療専門のクリニックです。健康寿命を過ぎた高齢の方に、その後の余生を住み慣れた場所で安心して暮らしてほしい。そんな想いのもと、訪問診療に取り組んでいます。

訪問診療の対象となる人や主な診療内容について教えてください。

対象者は厳密に定められているわけではなく、「一人で通院するのが難しい」かどうかが基準になります。加齢や認知症、待ち時間がつらいなど、理由はなんでも構いません。ご本人が通院に難儀するようになったら訪問診療の対象です。比較的お元気な方以外にも、末期がんのため緩和ケアを受けていて、最期を自宅で迎えたい方や、在宅酸素療法(HOT)など医療措置が必要な方にも対応しています。診療内容は外来診療とさほど変わらず、薬の処方や点滴がメインです。がんの転移などによって、腹水や胸水がたまっている場合には、腹水・胸水穿刺という水を抜くための処置も可能です。検査も大がかりな装置が必要なもの以外は実施しており、採血や尿検査、心電図、超音波検査などをご自宅で受けていただけます。

在宅専門のクリニックだからこその強みはありますか?

小日向聡行院長 こびなた在宅クリニック2

在宅医療は毎月定期的にご自宅を訪問して診療するため、わずかな体調の変化に気づきやすく、病気の重症化を未然に防ぐことにつながります。定期的な訪問診療のほか、急に具合が悪くなったときなどは24時間365日体制で往診も実施しています。現在当院には常勤医師が私一人しかいませんので、持続可能なシステムを構築するために市内の3つのクリニックと連携し、夜間、休日は当番制で診療しています。また在宅医療は、病状が悪化した場合に入院先を見つけるのが大変であるということがありますが、私は丸山記念総合病院や春日部中央総合病院の先生と面識があるため、急に入院が必要になった場合に患者さんをスムーズにご紹介できるのが強みです。

患者の人生を請け負うからこそ、病気よりも人を診る

多職種のスタッフさんも活躍されていますね。

小日向聡行院長 こびなた在宅クリニック3

看護部門や医療相談・事務部門、診療マネジャー部門があり、開業時からの初期メンバーの中には在宅医療の経験者もいます。訪問診療では院内だけでなく、訪問看護ステーションやケアマネジャー、薬局といった院外との連携も非常に重要ですので、新人のスタッフには経験者がコミュニケーション面の指導を行っています。またチームで診療するにあたり、お互いの顔が見えたほうが仕事がスムーズに進みます。そこで初めて訪問診療を行う際には、その患者さんに携わるすべての方が集まれる場を設けるよう努めています。さらに病院を退院する方に訪問診療を実施することが決まったら、退院前に病院に出向き、そこの主治医や看護師も含めて全体会議を開くようにしています。

患者さんと接する際に大切にしていることは何ですか?

病気はその人のほんの一面でしかないので、患者さんである前に一人の生活者として向き合っています。在宅には画一的でない医療も大切なため「病気ではなく人を診る」ことを心がけていますね。それには患者さんの人となりや、ご本人にとって何が幸せであるのかを知る必要があり、現役時代のお仕事など病気に関係のない話をあえてするようにしています。心を開いてもらった状態でお話しいただいた情報が、診療に有益に働く場合もあるんです。クリニックの外来や病院では、受診する側の患者さんは「アウェー」であり、つい遠慮して言いたいことを言えずじまいになってしまうこともあるでしょう。しかし訪問診療は「ホーム」ですので、遠慮せずなんでもご相談いただきたいです。

訪問診療ならではの喜び・やりがいを教えてください。

小日向聡行院長 こびなた在宅クリニック4

勤務医時代、心臓血管外科で診ていた患者さんとのお付き合いは基本的に入院から手術、退院までの数週間です。その後の外来でも多くの患者さんを効率良く診る必要があるため一人ひとりに多くの時間を割くわけにはいかず、病気だけにフォーカスせざるを得ません。どちらが良い・悪いという話では決してないのですが、訪問診療には患者さんの人生をトータルで請け負うというやりがいがあります。プレッシャーも感じますが、だからこそ人間的な部分まで深く踏み込む必要があると考えており、患者さんに「この先生に最後まで診てもらいたい」と思っていただけるような人間関係を構築するのが理想です。

みんなが幸せになれる仕事で地域に貢献したい

先生が医師を志した理由や、勤務医時代の経験も伺います。

小日向聡行院長 こびなた在宅クリニック5

子どもの頃、身内が長い闘病生活を送っていたり、また、別の身内が急に倒れて翌日に亡くなったりという経験をしました。子どもながらにそれらの出来事はとてもショックで、健康が何よりも一番と強く思いました。そんな思いがずっとどこかで続いていたのでしょう、自然と医療の道に進んでいました。大学を卒業後は、自身の手によって病気に直接アプローチできる点に魅力を感じ、外科領域を専門にしました。中でも心臓血管外科は、治療の結果がダイレクトにわかってしまう分野です。シビアな世界ではありましたが、手術の腕を磨けばそれだけ助けられる患者さんが増えると考え、日々研鑽を続けました。そんな環境に身を置いてきましたので、医師としての胆力がつき、現在は何が起きても動じずに対応できるようになりました。

今後の展望をお聞かせください。

開業後、患者さんの増加に伴って非常勤の医師や常勤看護師を増員してきましたが、まだまだ足りない状況です。今後もさらに人員体制を充実させる予定です。また、世の中の在宅医療への認識はまだまだ低いと感じているため、啓発活動も行っていきたいですね。まだまだ「こんなに便利な仕組みがあるのを知らなかった」というお声を聞くことも少なくありません。患者さんの中には「もっと早くに訪問を開始すれば、より良いかたちで介入ができただろう」と感じる方もいるかもしれないので、さらなる普及が必要だと考えています。かつての私もそうでしたが、医療従事者の間でも訪問診療は十分に理解されていない印象ですので、講演会などを通じて発信できたらいいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小日向聡行院長 こびなた在宅クリニック6

訪問診療と聞くと、皆さんは「寝たきりの方や末期がんの方が受けるもの」というイメージを抱くかもしれません。しかし実際に利用できる患者さんはもっと多く、「病院に行くのが大変」程度の動機であっても訪問の対象になります。車いすで無理して通院している高齢の方もいらっしゃいますが、在宅で対応できますのでぜひご利用ください。また「在宅だと消極的な医療しか提供できない」とも思われがちです。確かにCT検査やMRI検査は難しいものの、現在はさまざまな技術が進歩し、超音波検査や心電図などもご自宅で実施でき十分な医療を提供するための体制を取っていますので、通院に負担を感じている方は気軽に当院へご相談ください。

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