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大園 清信 院長の独自取材記事

おおぞのクリニック

(鹿児島市/上伊集院駅)

最終更新日:2022/08/23

大園清信院長 おおぞのクリニック main

鹿児島市春山町、春山交差点から南西に進んだところにある「おおぞのクリニック」。豊かな自然に囲まれ、昔ながらの住宅はもちろん、新しい住宅も立ち並ぶ新興住宅地として、ファミリー層の人口も増えている。大園清信院長は現役の鹿児島県議会議員であり、2023年4月の任期終了後は医療に尽力したいという考えで開業に至った。学校医や訪問診療、夜間診療をしながら、夜間急病センターにも勤務する大園院長。まさしく多忙の一言に尽きる生活だが、仕事が趣味という大園院長は、インタビュー中にも疲れた顔を見せず、終始にこやかな笑顔。むしろ医療に対する熱い思いを語り、今後の医療を少しでも良いほうに変えていきたいと話す。「心に寄り添う医療」をめざす大園院長は、理念を体現している人物であることが伝わってきた。

(取材日2022年6月1日)

医療人として地域のためにできることを

現役の県議会議員と兼務されているとのことですが、なぜ今開業しようと思われたのですか?

大園清信院長 おおぞのクリニック1

議員の任期を終えてから開業しようか葛藤しました。ただ春山の医療がずっと気がかりだったので、動けるうちに開業しようと決心したんです。ここ春山は子どもたちと川づくりなどの交流を通し、議員としても力を注いできた、私自身好きな場所でもあります。春山には病院やクリニックといった医療機関が少なく、地域の方が不便を訴える声も多く聞いてきました。当院が建っている場所も元は病院だったこともあり、これからこの地域の医療のために土台作りをしていきたいと思ったのがきっかけです。

地域柄、やはり高齢の患者さんが多いのでしょうか。

そうですね。高齢の患者さんも多いです。通院が難しい患者さんも少なくないので、できるだけ往診や訪問診療も行っていきたいと思っています。しかし往診や訪問診療についてはまだまだ情報不足なので、今後状況を把握していくつもりです。私自身話すことが好きなので、患者さんとおしゃべりしたり、話を聞いたりすることは楽しみの一つでもあるんです。特に訪問診療については、患者さんやそのご家族のテリトリーにお邪魔している立場である、ということを忘れずに診療するよう心がけています。例えば患者さんの薬がどこにあるかわからないといったこともありますから、ご家族も把握できるような置き場所を作るなど、協力をいただくこともあります。患者さんの生活背景を知りながら信頼関係を築き、診療していくことも医師の務めだと考えています。

学校医もしていると伺いました。

大園清信院長 おおぞのクリニック2

地域の小学校で学校医をしています。春山小学校には600人近い児童がいるんです。まだまだ新しい住宅が建つ予定もあるので、子どもは増えていくでしょう。春山にクリニックを構えた以上、子どもたちへの診療は必要だと感じています。小児科分野についてはこれからたくさん勉強していきたいと考えているんです。知り合いの先生に教えていただきながら、また、実際に患者さんと接して学ぶことも多いです。今後しっかり体制も整えていきたいですね。

地域医療の質を上げ、充実させていきたい

鹿児島市の夜間急病センターで診療を続けてこられたんですか?

大園清信院長 おおぞのクリニック3

毎週水曜の休診日には夜間急病センターで診療をしています。これまでも議員をしながら、25年間勤務してきました。具合が悪くなった患者さんが頼るのは、やはり病院であり、医師です。夜間に症状が悪くなることも多いため、夜間救急に関しては力を入れている部分でもあります。患者さんが不調を訴えれば医師は当然対応しますが、夜間や休日は担当している医療機関や医師に対する負担が大きいんです。患者さんが頼る医師が疲弊していたら、できることもできなくなってしまいます。そんな状況を変えていくためにも、当院で何ができるかを今後考えていきたいと思っています。

患者さんと接する上で心がけていることを教えてください。

患者さんが納得して帰っていただけるような医療を提供したいです。そのためには患者さんと向き合うことが必要です。当院は変則的な診療時間なので、スタッフに無理をさせてしまっている部分も多いのですが、検査などを看護師に任せられるおかげで、私は診療に注力することができます。受付も看護師も、私はいいスタッフに恵まれました。また、基本的に患者さんを断ることはしませんが、当院での診療が難しいと判断したときにはすぐ他院へ紹介しています。患者さんの利益をまず考えることが医師の責任です。

先生は麻酔科が専門だそうですが、麻酔を専門分野に選んだ理由は何だったのでしょう。

大園清信院長 おおぞのクリニック4

私が小学6年生の時に、母がリウマチで亡くなったんです。医師をめざしたのもこのことがきっかけで、人の痛みに対して敏感になったといえます。日常的に痛みがあるというのはストレス。痛みを取ることはつまりストレスを取り除くことであり、ストレスが少ない生活は生活の質を上げると私は考えます。痛みを取る方法は痛み止めの注射であったり点滴であったり、内服薬などさまざま。ただ当院でできることは限られています。そういうときは他院としっかり連携を取り、患者さんの不利益にならないよう動くことを大切にしています。これまで多くの症例を見てきたからこそ、クリニックの範囲内でできることを精一杯やっていきたいと思いますね。

患者にとって何が良い選択かを常に考える

医療人として、仕事のやりがいを教えてください。

大園清信院長 おおぞのクリニック5

医師にとってのやりがいは、やはり患者さんの回復です。診療の1週間前と1週間後、ほんのわずかな変化だとしても、そこに改善の兆しが見えた時、医師というのはやりがいを感じますし、私自身もそうです。常に患者さんにとって何が最善かを考えて診療していますので、たとえそれが自分の診療の結果であっても、他院との連携の結果であっても、患者さん回復の役に立てたのであれば、どちらも喜ばしいことです。

お休みの日はほとんどないと思いますが、趣味などはありますか?

物作りは好きですね。田舎で育ちましたから、草刈りのような、山や川の整備をすることも好きです。議員としても山に行ったり川を整備したりしていますから、そう考えると子どもの頃から変わっていませんね。それから一番の趣味は仕事です。医療の仕事も議員の仕事も、楽しみながら取り組んでいます。日々勉強ですし、新しい問題や課題を発見したら、どうやったらそれを解決できるか考えるんです。もう癖になっているというか、物事を考えることは毎日のルーティンですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

大園清信院長 おおぞのクリニック6

自分の健康は自分で守る、というのが基本です。しかし自分でできることは限られています。そのために、何かあれば気軽に相談できるかかりつけ医をつくることが必要です。そして医師も、患者さんに頼られたら真剣に、全力で応えることが大切だと考えています。私は現在議員の仕事もしており、当院の診療時間も変則的ですから、スタッフが不在時の病院にかかってきた電話はすべて私の携帯電話に転送されるようにしています。患者さんに対して真剣に向き合いたいですからね。これまで議員としてあちらこちらに出向いて話を聞き、広いネットワークが形成されました。医師としてもそのネットワークは心強い味方ですし、活用できる資源です。体や健康について不安なこと、困っていることがあればなんでもご相談いただければと思います。

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