加藤 大也 院長の独自取材記事
たいや内科クリニック
(豊田市/浄水駅)
最終更新日:2024/04/17
上豊田駅から南西方向に自動車で約5分。逆台形を組み合わせたようなモダンな外観が個性的な「たいや内科クリニック」がある。2022年5月に同院を開業した加藤大也(かとう・たいや)院長は、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)大学院修了後、同大学病院およびJA愛知厚生連加茂病院(現・豊田厚生病院)に勤務。糖尿病および甲状腺疾患を専門分野として診療を行ってきた。中でも重症の糖尿病患者を数多く診察した経験から、早期に治療を開始することで一人でも多くの患者を減らしたいと開業を決断。診療と並行して早期治療の重要性を啓発するための活動にも力を入れている。「人と人とのつながりを大切にし、関わる人すべてに安心と幸せを届けたい」と診療理念を語るたいや院長に、自身のことや診療についてさまざまな話を聞いた。
(取材日2022年6月22日/情報更新日2024年4月12日)
専門的な知識を生かした糖尿病と甲状腺疾患の治療
まずは、開業した動機や経緯などを教えていただけますか?
藤田医科大学に8年、豊田厚生病院に17年ほど勤め、糖尿病、生活習慣病及び甲状腺疾患を中心に専門に診てきました。その中で、糖尿病の合併症がかなり進行してしまってから治療を始める患者さんも少なくありませんでした。眼科からの紹介で来られた失明寸前の方や、皮膚科からの紹介でいらしたときには足がすでに壊死を起こしていた方もいらっしゃいました。そういった患者さん本人やご家族が悲嘆に暮れる姿を何度も目にしたことで、少しでも早く治療に介入することで、合併症の進行を防ぎ、患者さんやご家族が楽しい人生を送れるようにしたいと思い、開業に踏みきりました。まだ開業したばかりですが、スタッフの皆さんがたいへん頑張ってくれているおかげで、順調なスタートを切ることができました。スタッフの皆さんにはたいへん感謝しています。
この場所を選んだ理由と、地域として特徴があればお聞かせください。
私自身は名古屋市の出身ですが、父の実家が豊田市にあり、また豊田厚生病院に長く勤めていたことから、ここ豊田市には第二の故郷のような愛着を感じています。名古屋市に比べると牧歌的な印象もありますが、やはり自動車会社のイメージが強く、会社ぐるみでの健康診断などにも積極的に取り組まれている印象があります。自動車関連企業に勤めるブラジルの方が4000人くらい住んでおられる団地も診療圏内にあり、日本語が話せない方もいらっしゃるので、月曜と木曜の午前中はポルトガル語の通訳さんに来てもらっています。ポルトガル語のあいさつも勉強していますが、発音がなかなか難しいですね(笑)。
診療の内容や方針について、クリニックの特色を教えてください。
私は日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会総合内科専門医の資格を持っており、糖尿病、生活習慣病及び甲状腺疾患を中心に専門的な治療を行っています。現在の患者層としては、豊田厚生病院で診ていた患者さんが多いですね。診療内容の特徴の1つとして、水曜日はインスリンポンプ療法を専門とする外来にあてています。インスリンポンプの導入に関しまして大きな病院に入院しないとできないことが多い治療ですが、当院では外来で行うことが可能です。診療の際に電子カルテを入力する担当のシュライバー(医療クラーク)が在籍しているのも特徴ですね。また、2024年4月から毎週土曜日は二診制になりました。藤田医科大学から、内分泌や糖尿病を専門とするドクターが来ています。土曜日は患者さんをお待たせすることも多かったのですが、より効率的に充実した診療が受けられるような体制になりました。
患者一人ひとりに合った「テーラーメイドの医療」
クリニックとしての理念やモットーがあれば教えてください。
「人と人とのつながりを大切にして、関わる人すべてに安心と幸せを届ける」ことを診療理念として、「患者さんの想いを聴き、応え、患者さん目線でテーラーメイドの医療を届けること」を心がけています。患者さんの病気の状態だけでなく、基本的な性格や生活背景なども考慮しながら、その人にとって最適な治療をめざします。特に糖尿病治療においては、医師だけではなく専門のスタッフによるチーム医療が重要です。そのため当院では、日本看護協会糖尿病看護認定看護師及び経験豊富な医療スタッフと連携し、1つのチームとして診療します。それぞれの持ち場では医療スタッフが、医療のプロフェッショナルとして、その力を最大限に生かせるように心がけています。医療スタッフがお互いに信頼して、楽しく同じ目標に向かって仕事ができる環境をとても大切にしています。
先生が診察する上で心がけていることはありますか?
できるだけ患者さんと向かい合い、目を見ながら話すように心がけています。先ほど話に出た、シュライバーにカルテを入力してもらっているのもそのためです。豊田厚生病院では電子カルテに自分で入力していましたが、患者さんのほうをなかなか見ることができず、患者さんから不評だったばかりでなく、私としても不本意に感じていました。そのため当院では、カルテへの入力はシュライバーに任せて、私は患者さんとしっかり向き合ってお話ができるようにしました。患者さんのさまざまな表情が見れて、とても有意義に診療ができています。
クリニックの設計や設備でこだわったところはありますか?
豊田厚生病院で行っていたチーム医療と同じ体制で診療できるように、クリニック内部を同じ構造に設計してもらいました。管理栄養士の部屋には、栄養指導のために患者さんの指導用のさまざまなフードモデルがあります。スタッフルームは居心地が良いように琉球畳を敷き、ベランダはバーベキューもできるように広く作りました。待合室にはデジタルサイネージの映像で情報を発信し、待ち時間に退屈しないように無料で使用可能な無線LANも入れています。検査機器としてはエックス線、エコー、心電図など、必要なものはそろえてあります。そのほか、体内の水分・筋肉・脂肪・タンパク質・ミネラルなどの量が即時にわかる体成分分析装置を導入し、栄養指導やフレイルの評価に活用しています。またHbA1c(ヘモグロビンA1c)や甲状腺ホルモンといった検査の結果は、その場でお伝えし、結果を知るためだけに再来院しなくても良いようにしています。
これからも安心と幸せを地域の人々に届けたい
先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。
両親が薬剤師で薬局を営んでいたので、小さい頃から医療が身近な存在でした。両親が仕事をしている姿を近くで見ていたことと、人の役に立つ仕事がしたいと思ったことが、医師をめざした大きな理由です。子どもの頃から、とても不器用で人の2~3倍努力をしないと何事もついていけなくて、たいへん苦労してきました(笑)。大学には医科以外にも看護やリハビリテーションなどいろいろな学部があって、看護師や臨床検査技師の職種をめざす学生とも交流があり、多職種間で協力し合って1つの目標に向かう意識が養われました。それが現在行っているチーム医療の基礎になっています。
社会貢献活動もされているとお聞きしました。
もう17年くらいになりますが、東海3県内の小学校3年から中学校3年までの1型糖尿病患児を対象に行っているサマーキャンプのボランティアスタッフとしてサポートをしています。子どもの他に医師、看護師、栄養士、薬剤師など総勢200人くらいが参加し、子ども同士や保護者も含めた仲間づくりと、自己管理に必要な知識と技術の取得などを目的に、4泊5日の共同生活を行っています。また院内でも、多目的ルームを利用した糖尿病教室を積極的に開催して、地域の皆さまに早くから病気に対して啓発して、安心と幸せを届けられるようにしていきたいと思っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
まだ開業して日が浅くまだまだシステム的に改善の余地があるので、もう少しシステマチックに医療の質を担保しつつ、できるだけ多くの人を診ていけるようにしていきたいですね。現在もスタッフはインターカムを装着し、即時に情報を共有できるようにしていますが、そういったIT技術を積極的に採り入れながら、各自の負担ができるだけ少なくて済むような診療システムを完成させたいと思っています。当院での受診の結果、より詳しい検査や専門的な治療が必要な場合は、高次医療機関との連携を取り、より良い診療をご提案します。これからも皆さんに安心と幸せを届けられるような医療をめざしていきますので、健康に不安のある方はぜひ相談にいらしてください。