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浦上 達彦 院長の独自取材記事

浦上小児内分泌・糖尿病クリニック

(千代田区/御茶ノ水駅)

最終更新日:2024/11/06

浦上達彦院長 浦上小児内分泌・糖尿病クリニック main

「浦上小児内分泌・糖尿病クリニック」は、JR中央線・御茶ノ水駅、東京メトロ千代田線・新御茶ノ水駅からそれぞれ徒歩約3分、国の重要文化財ニコライ堂の隣のビル6階にある。院長の浦上達彦先生は長らく日本大学病院の小児科に勤務し、2022年3月に教授および小児科科長を定年退官後、同年5月に同クリニックを開院した。大きな窓から自然光が差し込み、明るく清潔感のある受付・待合室ではキャラクターや動物モチーフのオーナメントが患者を出迎える。子どもの糖尿病や内分泌疾患のスペシャリストである浦上院長は、糖尿病に関する専門知識を持つ看護師らスタッフとともに、小児期から成年期へと移行する患者を見守りながら、患者と同じ目線に立ち、継続的に診療にあたっている。クリニックの特徴や理念について、浦上院長に話を聞いた。

(取材日2023年11月22日)

患者に合わせた治療で1型糖尿病でも制限のない生活を

こちらのクリニックを開院された経緯を教えてください。

浦上達彦院長 浦上小児内分泌・糖尿病クリニック1

私はこれまで、日本大学病院の小児科で、小児の糖尿病や内分泌疾患の診療にあたっていました。2022年3月で同病院を退官しましたが、大学病院時代から診ていた患者さんの治療を継続して担当できればと思い、同年の5月に当クリニックを開院しました。内分泌疾患や糖尿病といった慢性疾患は、治癒するものというよりも生涯を通じて管理していく病気です。小児の患者さんはもちろん、小児期から成人期に移行する患者さんもこれまで多く診てきましたので、成人の患者さんを含めて引き続きフォローしていきたいと思っています。また、糖尿病に関連して循環器や腎臓、目などにも疾患をお持ちの場合、専門の診療科と併診して合併症にも対応する必要がありますが、その場合も大学病院と連携しておりますので、スムーズな併診が可能です。

小児に多いのは、1型糖尿病と呼ばれる疾患ですね。

1型糖尿病は、肥満などが原因となる2型糖尿病とはまったく違う病態と考えていいと思います。1型糖尿病は、体の中にインスリンが欠乏している状態ですから、外からインスリンを補充することが必要になります。1型糖尿病は、2型糖尿病と同様に運動や食事を制限しなければならないというイメージで語られることもあるのですが、私が強調しているのは、インスリンさえ補うことができれば、ほとんど生活に制限はいらないということです。新生児期から乳幼児期、思春期、成人期と、患者さんそれぞれのライフステージに合わせて、その時々に適した治療を提供することが大事だと考えます。

患者さんの生活にマッチした治療を行うことが重要なのですね。

浦上達彦院長 浦上小児内分泌・糖尿病クリニック2

昔は1型糖尿病の治療のために、食事や運動など生活に制限をかける発想が強かったと思います。しかし、例えば、活発に運動したい人であれば、そのライフスタイルに応じて補うインスリンの量を調節すればいい。患者さん自身にとって望ましい生活の仕方に、治療を合わせるということです。現在はインスリンポンプなど先進的な機器を用いて、その都度インスリン供給量を調整することも容易になっていますからね。また、受験や就職に際しては患者さんの生活も乱れがちになりますが、受験を重視したい時期ならば少し血糖値が高くなっても夜食はきちんと取るなど、本人にとって大切なことを優先していいんです。それに合わせて、インスリンの補い方をどのようにオーダーメイドしていくかが重要なんですね。

患者と同じ目線に立ち、良き相談者に

診療にあたって心がけているのはどのようなことですか?

浦上達彦院長 浦上小児内分泌・糖尿病クリニック3

患者さんと同じ目線に立って話をすることですね。医師と患者という関係で指導や治療を「与える」のではなく、良き相談者としてアドバイスをしていくことが大事だと思っています。また、必要に応じて患者さんの周囲の方々を連れて来ていただいて話をすることもできます。女性の患者さんが成人期になってパートナーができて結婚される場合、例えば、計画妊娠の重要性や妊娠中のインスリン治療はどうするかといったことを結婚相手の方にお話ししたり、入学やクラス替えのタイミングで患者さんの通う学校の先生に治療の説明をするといったこともできます。糖尿病を持たない人と同じような生活をするために、周りの人たちにも必要なことをお伝えすることを心がけています。

小児の患者さんも多くいらっしゃると思いますが、どのようにコミュニケーションを取っていますか?

高校生くらいになった患者さんでしたら、可能ならば一人で来院するようにお伝えしています。親御さんがおられると、その目を気にしてしまって言えないこともあったりしますし、同じ目線で話がしづらくなる場合もあります。大切なのはその患者さんの生活習慣やパーソナリティーを知って、適切な治療方針を立てること。先進的な治療としてインスリンポンプやCGM(持続血糖モニター)を用いることは多いのですが、以前からインスリンのペン型注入器を使ったり、自分で血糖測定をする習慣がついていて、そちらのほうが勝手がいいのならば、無理に治療方法を変えたりはしません。継続的な治療ですから、患者さんが一番やりやすい方法を見つけていくことが大切です。そのためにも時間をかけて、本人の周辺環境や心理的な状態などもしっかり聞くようにしています。

糖尿病の他に、小児の内分泌疾患や低身長などの診療もされていますね。

浦上達彦院長 浦上小児内分泌・糖尿病クリニック4

お子さんの甲状腺疾患や副腎疾患といった病気も、大学病院時代から専門に診てきました。また、低身長や思春期早発症・思春期遅発症、つまり二次性徴が早い、もしくは遅いといったことについては、なかなか本人としても相談しづらいんですよね。あるいは医療機関にかかっていても、ひとまず様子を見ましょうと言われて結局看過されていることも多いようです。当院では、そうしたご相談があったときには病態についてゆっくり説明をして、適切な治療方法を一緒に考えていくようにしています。

糖尿病の専門知識を持つ看護師による充実のサポート

看護師さんによるサポートも充実しているそうですね。

浦上達彦院長 浦上小児内分泌・糖尿病クリニック5

当院で働いている看護師は、私が大学病院にいたときから小児科で一緒に勤務していた、経験豊富な人たちです。糖尿病に関しても専門的な知識を持っている看護師たちですから、糖尿病治療や生活習慣についての悩みを聞いたりアドバイスをしたりすることにも長けています。また、患者さんからすれば医師の私に対してはなんとなく話しにくいことも、看護師には気軽に伝えられるということもありますよね。患者さんの声を傾聴することにかけては、私よりも看護師のほうが能力が高いんです。看護師を通じて患者さんの状況がわかれば、より適した治療や助言を行うこともできますから、気軽に相談してみてください。

ところで、休日などはどのように過ごしていますか?

実はバンドを組んで、ボーカルを担当しているんです。ギター中心の編成でフォークソングなどをやっているバンドで、年に何度かライブもやったりしています。それから、高校と大学を通じて美術部にいましたから、今は機会が少なくなりましたが油絵を描いたり美術館へ行ったりもしていますね。あまり家でゴロゴロしているというのが好きではない性格なので、読書をしたり映画を観に行ったり、家内と旅行をしたり食事に行ったりして時間を過ごしていますね。

読者へのメッセージをお願いします。

浦上達彦院長 浦上小児内分泌・糖尿病クリニック6

糖尿病の治療はもちろん、内分泌疾患やなかなか相談しにくいような低身長、二次性徴についての悩みなど、患者さんと同じ目線に立って一緒に考え、解決していくことをモットーにしています。何か困っていることがあれば、ぜひお気軽に来院してみてください。

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