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西野 安紀 院長の独自取材記事

にしの腎・泌尿器科クリニック

(大阪市中央区/谷町四丁目駅)

最終更新日:2023/12/05

西野安紀院長 にしの腎・泌尿器科クリニック main

大阪メトロ谷町線の谷町四丁目駅からほど近い医療ビルの6階に開院した「にしの腎・泌尿器科クリニック」。基幹病院などで泌尿器科診療に携わってきた院長の西野安紀先生は、「もっと気軽に相談できる泌尿器科を」との思いで開業。これまでにも多くの男性患者を診てきた西野先生だけに、同クリニックでも「性別や年齢に関係なく、困っている方は誰でも来てほしいんですよ」と話す。つい恥ずかしくなりがちな泌尿器科への受診だが、とびきりの笑顔と気取らない口調でテンポ良く話題を繰り出す西野先生の雰囲気に気持ちがほぐれ、男性でも排尿や性感染症の悩みを素直に話し出すそう。取材ではこれまでの「女性医師による泌尿器科」のイメージとは大きく異なる診療スタイルが生まれた経緯や、同クリニックの診療内容について、楽しく話を聞いた。

(取材日2022年6月15日)

恥ずかしさを感じさせない泌尿器科診療が持ち味

最初に、こちらで開業された経緯を教えてください。

西野安紀院長 にしの腎・泌尿器科クリニック1

大学を卒業後、研修後に近畿大学の泌尿器科医局へ入り、大学病院や主に大阪府南部の関連病院で診療を続けてきました。外科的な治療も好きで、尿路結石の砕石術や膀胱鏡を用いた診療は日常的に行っていたんです。ただ卒業後10年近くがたち、大好きな泌尿器科の診療をどのような形で続けていこうか考えている時期に、内科の友人から「おしっこのことで困っている患者さんは多いのに、病院の泌尿器科はハードルが高いみたいで、気軽に相談できるところがない」との声が。さらに女性医師が診る、一般泌尿器科疾患を専門としたクリニックがほぼないんです。そこで「女性の先生がいる普通の泌尿器科があっても良いのでは?」と思うようになり、開業を決めました。私はもともと天満橋で育ったのでこの辺りは慣れ親しんだ場所ですし、同じビルの8階で母がレディースクリニックを開業しています。「地元」へ帰ってきた心地良さはありますね。

どうして泌尿器科の医師に?

大学卒業時には泌尿器科にまったく興味はなかったんですが、研修医として勤務していた際に、重症の前立腺がんで腎不全を生じた救急患者さんを担当しました。「強面の大阪のおっちゃん」で、最初はまったく相手にしてもらえませんでしたが、私も必死で勉強して治療方針など提案するうちに、仲良く話せるように。残念ながら短期間で症状が進行して亡くなられましたが、病理解剖にも参加させてもらいました。この経験をきっかけに、診断、治療、その後のフォローと、診療の最初から最後まですべて関われる泌尿器科診療が面白いと思ったんですね。指導医や先輩医師にも恵まれましたし、当時、医局に女性の泌尿器科の先生もいらして「女性でもやっていけるんだ」と思えたことも大きかったです。ただ、最終的に泌尿器科に進むと決めた時には、家族も周囲もかなり驚いていました。

確かに、泌尿器科では女性医師そのものが珍しいですね。

西野安紀院長 にしの腎・泌尿器科クリニック2

当時の勤務先では患者さんの大半が高齢の男性で、当初は受け入れてもらえるか不安でした。でも私、黙っていれば女性らしいと言われますが(笑)、実は結構男勝りで、しかもよくしゃべるんですよね。泌尿器科では患者さんはもちろん恥ずかしいですが、医師まで恥ずかしがっていたら話になりませんから、私から「最近はおしっこどう?」みたいにいろんなことを積極的に話します。そして患者さんの話をたくさん聞く。そこで見えてくることが多いんです。私とあれこれ話すうちに困り事が具体的に出てきて、それが治療につながったり悩みの解消になったりして喜ばれることが多く、男性患者さんからも信頼してもらえるようになりました。

前立腺肥大症、性感染症、膀胱炎など幅広く診療

ご開業から1ヵ月、今はどのような患者さんが来られていますか?

西野安紀院長 にしの腎・泌尿器科クリニック3

場所柄か、男性では20代前半から働き盛り世代が、性感染症の検査や治療を希望されて驚くほど大勢来られます。カップルもいますよ。女性では20代、30代の膀胱炎が半数以上です。それから、若いお母さんがお子さんのおちんちんのことで相談に来られることも。実は、開業に関するPRでは女性医師であることはあえて強調しませんでした。これまでの診療経験から、男性も女性も、どんな年代の方にも気軽に受診してほしかったのです。ただ今は何でも検索できるので、女性医師の泌尿器科であることは調べればわかります。それでも若い男性が近くにできた泌尿器科だからと受診してくれるのはうれしいですし、女性の方からも、同性として安心して受診できると言ってもらえることもとてもうれしいです。病院とは違う役割が果たせているなどの手応えもありますね。

ちなみに、力を入れている治療はありますか?

泌尿器科は医師自体が少なく、しかも病院にはいろんな患者さんが来られるので、泌尿器科で扱う病気は一通り診療できます。中でも高齢男性の排尿の悩みや前立腺肥大症は多数診てきたので、患者さんのお気持ちや生活上の困り事も、より詳しく想定しながら診察できると思います。例えば買い物に出かけたときにトイレをいつも探す、バス旅行で尿漏れしないか不安だ、夜中にトイレで何度も起きてしまう、おしっこの切れが悪くなった、といった悩みは、男性でも実はとても多いんですね。でもご家族には話しにくいし、女性と違って男性同士では話題になりにくい、そして大きな病院にわざわざ行くのはハードルが高い……。「まずはここで、これまで誰にも言えなかったおしっこや泌尿器の悩みを話してみましょうよ」というスタンスでいます。

検査機器など設備について、こだわったことは?

西野安紀院長 にしの腎・泌尿器科クリニック4

おしっこの量や勢いを測る検査は排尿に関する病気を調べる上で欠かせないので、その機能がついたトイレを導入しました。普段どおりにトイレで排泄すれば、検査データが印刷されて出てくるので、誰にも見られることなく検査が受けられます。普通のトイレとして、検査なしで使うこともできるんですよ。また、尿道から細いカメラを入れて膀胱の中を観察する膀胱鏡も用意しました。膀胱がんは一度発症すると再発率が高く、術後は3ヵ月に1回ずつ膀胱鏡での経過観察が必要です。今、大きな病院ではこの検査を受ける患者さんが急増しているので、経過観察をここで引き継ぎ、患者さんにも通院の負担を軽くしてもらえればと思っています。尿道などのカテーテルの定期交換も当院で可能です。

諦めないで、まずは気軽に相談を

病院まで行かなくても、いろんな治療やケアが受けられるのですね。

西野安紀院長 にしの腎・泌尿器科クリニック5

泌尿器科の病気で、例えば膀胱炎などは、内科や産婦人科でも抗生物質で治療できますけれど、繰り返したり、お薬が効きにくくなったりすることも。泌尿器科で原因を調べてより適した抗菌薬を使い、予防法なども聞いて、再発を防いでほしいですね。また前立腺肥大症や頻尿の飲み薬は種類が増えていて、クリニックでも治療ができます。もしより精密な検査や手術が必要になれば、大手前病院や大阪医療センター、大阪国際がんセンターなどにご紹介しますし、術後のサポートはこちらでも。それから近くには整形外科や眼科、耳鼻咽喉科、内科、そして母の婦人科など各科のクリニックがあり、お互いにご紹介しやすいですし、患者さんも1回の通院で必要な治療が受けやすい便利な環境です。

ところで、プライベートではどのようにリフレッシュを?

旅行や飲み歩きがとても好きで、一人旅も楽しんでいました。異業種の友人が多くて、患者さんのご家族と全然別の機会に仲良くなったことも。ただ、今はちょっと難しいので、家でゆっくり飲んでいます。それから最近は犬を飼い始めて、今はその子を溺愛しています(笑)。同じ犬種の飼い主さんと仲良くなったりして、新たな楽しみになっています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

西野安紀院長 にしの腎・泌尿器科クリニック6

おしっこは1日に何回も出ますから、そこに気がかりや悩みがあるのはとてもつらいこと。でも恥ずかしさや受診へのハードルから、特にご高齢の方では年齢を理由に諦めている人がとても多いんです。ですが、今は治療法が充実していますし、本当に「みんなそんなもの」なのか調べることで、気持ちが軽くなる患者さんとたくさん出会ってきました。私は「明るい泌尿器科診療」がとりえですから、性別、年齢関係なく、そして「こんなことぐらい」と思わず、まずは気軽にお話をしに来てほしいですね。

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