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村尾 託朗 院長の独自取材記事

新大久保こころのクリニック

(新宿区/新大久保駅)

最終更新日:2023/10/25

村尾託朗院長 新大久保こころのクリニック main

JR山手線の新大久保駅より徒歩2分の場所にあるのが「新大久保こころのクリニック」。ストレス社会といわれるこの時代に、なくてはならないクリニックだろう。院長の村尾託朗先生は、京都大学医学部卒業後、東京都立松沢病院や総合病院などで臨床を重ね、2022年4月1日にクリニックを開業。うつ病や不安障害、大人と子どもの発達障害、統合失調症、認知症、精神科の救急医療にも携わってきた幅広い経験を生かし、患者の悩みに寄り添った診療を心がけている。また精神科では数少ない児童精神科を扱っているのも特徴の一つ。多少敷居が低くなってきたとはいえ、精神科への受診に不安を感じてしまいがちだが、「いろいろな人と出会って話をするのが好きなんです」という村尾院長になら、些細な悩みでも相談できそうだ。

(取材日2022年5月12日)

誰でも受診しやすいよう雰囲気づくりとシステムを採用

どういった患者さんが来院されますか?

村尾託朗院長 新大久保こころのクリニック1

新型コロナウイルス感染症流行による環境の変化や、孤独などをストレスに感じている人が増えているという実感があります。例えば不眠や原因不明の不調などで来院されたとしても、よくよく話を聞いてみると、背景に「実家に帰れない」「旅行できない」といった感染症に関連した影響が隠れていることも少なくありません。また当院は児童精神科を扱っているので、小学生から高校生まで、不登校などの悩みで来院されるケースや、大人や子どもの発達障害に関する相談も多い傾向にあります。

いざ受診となると、どんなときに行けば良いのか迷ってしまいます。

「こんなことで来院して良かったんでしょうか」とおっしゃる初診の患者さんは意外に多いのですが、どんな些細な症状でも、気になることや悩みがあるならば、気軽に来院して良いのが精神科です。症状に対する治療の必要性の有無や、その人にとってどの診療科が適切であるかということを見極め、医療でできることを提示するのが医師としての役割ですから、何か気になることがあれば気軽に来院していただきたいと思っています。また、周囲から自分のおかしな点を指摘されて悶々と悩んでいるという方、1人で悩みを抱え込んでいるという方にもぜひいらしていたただきたいですね。幅広い主訴に対応できるよう、当院には心理士が多数在籍しているので、カウンセリングや各種心理検査も受けることができます。

誰でも受診しやすいような工夫をされているそうですね。

村尾託朗院長 新大久保こころのクリニック2

以前に比べると、精神科を受診することに抵抗を持たない方が増えてきたように思いますが、まだハードルの高さはあると思います。当院では、まず院内の雰囲気づくりにこだわりました。白を基調として、ポイントカラーにグリーンを施し、待合室の一角にカフェのようなカウンター席と大きな窓を設置して、閉塞感を持たせない造りにしました。また、ウェブとメッセンジャーアプリの両方で診療の予約をできますが、同時に問診票に症状や悩みを入力して送っていただいています。電話をする勇気がない、電話で自分の症状をうまく説明できる自信がないという患者さんにとって利用しやすいようで、初診の方の大半は利用されていますね。

患者の人生に適切な距離感で寄り添っていきたい

どんな治療法があるのでしょうか?

村尾託朗院長 新大久保こころのクリニック3

大きく分類すると、薬物療法と精神療法があります。精神科の薬は種類が豊富なので、患者さんと相談しながら、症状に合う薬を探して見極めていくように心がけています。精神療法では、心理士さんと1対1で、50分以上かけて行う精神分析療法や認知行動療法などのカウンセリングが代表的です。医師の診察でも、気持ちが楽になっていくように支持的精神療法を基盤に行いますが、それで解決できない問題の場合は、さらに心理士による精神療法が必要になることもあります。また、症状から病気の傾向を見つけていくための心理検査も実施しています。こちらは簡易的なものから、数時間かけて心理士と進めていく詳しい検査までさまざまです。

先生が得意とされている精神科の分野はありますか?

当院で診察できる、うつ病・不眠症・発達障害・適応障害・社会不安障害・パニック障害・強迫性障害・自律神経失調症・統合失調症・双極性障害(躁うつ病)・認知症・依存症に関しては、さまざまな病院で満遍なく臨床に携わってきました。中でもかなりの症例を診てきたのは、まだ対応できる医師が少ない大人の発達障害です。大人の場合は、診断がつくことで自分に自信を持てるきっかけになることも多いんです。また当院は児童精神科も扱っていますので、遠方から来院される患者さんも多いですね。精神疾患は再発を繰り返す病気で、ある意味では慢性疾患のような側面があります。初めて精神科にかかる人が多い中で、症状から正しい病気を見極め、より専門的な治療につなげていくことが重要だと考えています。

診療する上で心がけているのはどんなことですか?

村尾託朗院長 新大久保こころのクリニック4

自然体で、やわらかな雰囲気で患者さんと接することです。しかし精神科の医師の場合、患者さんとの関係性が近くなりすぎてしまうこともあるので、気をつけています。心の治療はゴールが見えにくく、時としてゴールがない場合もあるものです。もちろん通院の必要がなくなるケースもありますが、長期の通院によって安定を図る場合もありますし、薬物療法を卒業して定期的に報告をしに来ることで落ち着いた状態をめざすこともあります。いずれにしても患者さんの人生に、適切な距離感でずっとお付き合いしていくという診療をしていきたいというのが私の方針ですね。治療後も、相談役や居場所として、医療機関とつながっていることが、心の病気には重要だと考えています。

どんな小さな悩みでも気軽に来院してほしい

なぜ医師をめざそうと思ったのですか?

村尾託朗院長 新大久保こころのクリニック5

もともと人を観察したり、出会って話したりするのが好きでした。精神科医になりたいと思い始めたのは高校生くらいの頃でしょうか。心理学や脳科学にも興味があって「これからは心の悩みの解決が大事になるだろう」と思っていましたが、特に大きなきっかけや動機があったわけではありません。私自身は東京の出身ですが、京都大学医学部に入学し、大学卒業後は、東京都立松沢病院で勤務した後、京都大学大学院医学研究科精神医学教室に入局しました。ギャンブル障害などについて学びながら、奈良県のクリニックで大人と子どもの発達障害を主とした臨床に携わっていました。

人が好き、という性格を診療に生かしている面はありますか?

どうでしょう。私としては、必ずしも患者さんにあれこれ聞きすぎることが良いとは考えていませんし、不調の原因を最初から突き止めていく必要もないと考えています。通院していく中で自然と原因が見えてくれば良いと思いながら診療しています。もちろん初診でわかることもありますが、逆にあれやこれやと詮索しすぎることが適切でないケースもあるので、当たり前のことですが、やはり患者さんの性格や性質をよく見極めて治療方針を考えていかなければなりません。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

村尾託朗院長 新大久保こころのクリニック6

今までの経験を生かしながら臨床を重ね、より良い診療スタイルを身につけていきたいと思っています。地域住民の方はもちろん、外国人の方なども含めてさまざまな患者さんにいらしていただきたいですね。どんな症状でいらしても話を聞きますし、しゃべるのが苦手ならしゃべらなくていいし、ただお顔を拝見するだけでも大丈夫です。とにかく医療と関わりを持つ、つながりを持つということが心の病気には重要で、ひいては近年増加している自殺などの予防にもなると考えています。周囲の人が気づいてあげるということも重要ですが、誰にも悩みを打ち明けられない、クリニックに行く勇気もない、という方にこそ来院していただきたいです。敷居の高い場所ではありませんので、どうぞ気軽にいらしてください。

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