樋口 麻子 院長の独自取材記事
新大久保にじいろおやこクリニック
(新宿区/新大久保駅)
最終更新日:2023/04/10

新大久保駅から徒歩約7分、韓国料理店など各国の飲食店や雑貨店が立ち並ぶ大通りから少し離れた閑静な住宅街に「新大久保にじいろおやこクリニック」はある。自身も3人の子を育てた母親として、子育て中の家族をサポートしたいと、2022年4月に樋口麻子院長が開院した小児科クリニックだ。勤務医時代に培ってきた医療知識をもとに、予防接種や乳幼児健康診査はもちろん、一般的な小児科疾患に加えて、低身長など内分泌疾患の相談など専門的な診療にも対応。発熱対応を含め、体調不良時の親と子を同時に支えている。「私自身が子育てで苦労した経験があるからこそ、今の親御さんたちには子どもがいて良かったと思えるように手助けしていきたい」と優しい笑顔で語る樋口先生に、クリニックのコンセプトや取り組みについて詳しく話してもらった。
(取材日2023年3月20日)
子どもたちと家族の元気と笑顔をまとめてサポート
まずはクリニックの概要を教えてください。

小児科、0歳児からの予防接種、子どもの定期健診に加え、子ども・大人の両方を対象とした発熱の外来も開設。さらに、専門分野である小児の内分泌の診療も行っています。低身長や思春期が早い遅いなど、子どもの成長に関する心配事もご相談ください。また、子どもが元気に育つには、まずは親が心身ともに元気であることが大切ですので、子どもの風邪などがうつってしまった方や、花粉症、手荒れなどに悩む親御さんも一緒に診察したり、子育ての相談に乗ったりもしています。親が不調だと、子どもの体調に影響を及ぼすことがありますからね。家族全員のサポートを行っているので、ぜひ頼っていただけたらうれしいです。
開院からもうすぐ1年となりますが、どのような患者さんがいらしていますか。
近隣にお住まいだったり、近くの園に在籍していたりする子とそのご家族が中心ですが、お子さんの思春期早発症、低身長などに悩む方で、遠方から来られる方も少なくありません。いわゆる保育園デビューにあたって次々に感染症に罹患するケースや起立性調整障害などでの受診も多いです。保育園の園医をしていることをきっかけに受診に至られるケースや、予防接種・健康診断での受診も増えています。近所を歩いていると「先生〜!」と声をかけてもらえる機会も増えてうれしく思う反面、この辺りは転勤族も多いエリアで、今春にお別れとなってしまうファミリーも多く寂しくも感じています。
乳児の予防接種や健診を受ける先で悩む親御さんも多いようですね。

特に1人目のお子さんであれば、地域の小児医療に初めてふれる機会となりますから。そうした意味で、当院では特に2ヵ月健診に力を入れています。1ヵ月健診はお産をした産科で受け、3〜4ヵ月健診は自治体の集団健診となりますが、新生児から3ヵ月までの赤ちゃんは日々変化が大きい段階にあり、戸惑いや悩みを抱える親御さんも多いのです。ちょうど予防接種も始まるタイミングですので、ワクチンデビューと合わせて時間を取り、腎臓の超音波検査を行うとともに、時間をかけて相談をお受けしています。徐々に個性が出始める赤ちゃんの「寝ない」「吐く」といった悩みに医療的観点から寄り添うとともに、見逃されがちな異常をチェックする機会になればと考えています。
思春期早発や肥満・低身長などの小児内分泌疾患も診療
ご専門の小児内分泌ではどのような相談を受けていらっしゃいますか。

いわゆるホルモンに関わる疾患が対象です。女の子では7歳代で乳房が膨らみはじめたり、10歳の前半に生理が始まるなど、男の子では11歳までに声変わりが始まるといった症状がある思春期早発症の相談が多いですね。低身長や肥満も内分泌疾患に分類されますが、これらは比較的診療している小児科が多いこともあり、当院では私が女性ということもあってか、女児の思春期早発のご相談がメインとなっています。
子どもだけでなく大人も診る発熱者専用の外来も行っていらっしゃいますね。
はい。発熱枠でご予約いただき、こちらからお電話をして受診のタイミングを決定しています。発熱からの時間が短いと検査結果が不正確になるので受診のタイミングはとても重要です。抗原検査・PCR検査で新型コロナウイルス感染症やインフルエンザウイルスなどの感染有無を調べます。この辺りは共働きのご家庭が多いこともあって、即日結果が提供できる検査を導入しています。即日結果がわかれば、翌日からの仕事の手配なども早々に対応できますから。また、空間が限られたクリニックですが、クリニックの外のスペースも活用し、空気洗浄機を設置したり、消毒やマスク・フェイスシールドの着用なども徹底して院内感染症対策にも努めています。また、ウェブ問診やウェブ予約を活用し、とにかくお待たせしないよう、院内でお過ごしいただく時間をなるべく短く済ませるように工夫しています。
機器や設備について教えてください。

腹痛や甲状腺疾患など、さまざまな症状に対応できるポータブル超音波機器を導入しています。超音波はエックス線のような被ばくのリスクがないため、安心して検査を受けてもらえると思います。また、当院では吸入器を貸し出して、各ご家庭で対応してもらうスタイルを採用しています。何度も来院する手間が省けますし、必要に応じて親御さん自身で処置ができるきっかけになるのではないでしょうか。初めてでも使えるようにしっかりとサポートするので、安心していただければと思います。
子育て中の貴重な時間を大切に、ニーズに応える医療を
診療するにあたって大切にしていることは何ですか?

診療にしても子育てにしても、アドバイスではなく提案を心がけています。アドバイスは「これをやりなさい」と指示に近いイメージであるのに対し、提案は「こういう選択肢があるよ」と、あくまでも親御さんに選んでもらえるようにするイメージがあると思うのです。自分で考えて子どものために選択できるようになってほしいと思っているので、そのためにもしっかりと丁寧に説明をさせていただきます。
診療時間外に相談会をされているとか。
そうなんです。毎週土曜日の14時から14時30分と短い時間ですが、2階のカフェスペースを使って「おしゃべりtime」を開催しています。私やいらっしゃった親御さん同士でコミュニケーションを楽しんでいただく目的で始めました。医師と患者というより、同じ親として対等にお話しさせていただくので、診療の時よりも話しやすく感じてもらえるでしょうし、お子さんのより自然な姿を拝見できます。発育や発達に関することなど、診療で話せなかったことがある時や、誰かと話したいと思う時にぜひご利用ください。現在は密回避のために予約制にしていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
今後の展望を教えてください。

患者さんからのご要望に応えて、花粉症などのアレルギーに対する舌下免疫療法を始める予定です。今後も地域で子育てをする親御さんとお子さんのニーズに応える医療を提供しながら、皆さんが地域とのつながりを持つきっかけづくりをできる拠点として機能していければと思っています。子どもの成長を親御さんと一緒に見守らせてもらい、来ていただいた方に「ここがあって良かったな」「ここがあったから頑張れた」と思ってもらえる場所にしたいですね。そのために、今の親御さんたちは何を求めているのかを詳しく聞き、ニーズに合わせてクリニックも変わっていこうと思うのです。
最後に、読者や患者さんへのメッセージをお願いします。
予約制を採用しており、待ち時間なく時間どおりに受診できることをめざしています。もちろん、お子さんの事情で予定どおりにならないこともあるかと思いますが、ママパパの貴重な時間を一刻たりとも無駄にしないよう、できる限りのやりくりに取り組んでいます。また、25年以上医療に携わってきた医師として、また、3人の子育て経験がある親としてさまざまな経験を積んできましたので、「頼りたいな」と思ったらいつでも来てください。私やスタッフを含め当院に集うみんなが、お互いを信頼し合って何でも話せる家族のようにつながれたらうれしいですね。