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吉沢 亮平 院長の独自取材記事

そらいろファミリークリニック

(所沢市/新所沢駅)

最終更新日:2022/08/19

吉沢亮平院長 そらいろファミリークリニック main

新所沢駅西口から徒歩3分の場所に、2022年4月オープンしたのが「そらいろファミリークリニック」だ。自然を基調としたおしゃれなカフェのようなくつろげる待合室が印象的な同院は、病気だけでなく人も診る家庭医療を提供するクリニックとして、内科や小児科を含めた総合診療や訪問診療に対応。患者の生活背景や社会背景なども見渡し、ライフステージやライフイベントにも配慮しながら、一人ひとりに合った医療やケアを提供することをめざしている。そんな同院の院長を務め、「温かい笑顔は周りに伝染するんです」と優しい笑顔で話す吉沢亮平院長に、家庭医療のことや同院の取り組みなどについて話を聞いた。

(取材日2022年4月28日)

「あなた」を最もよく知り、寄り添うクリニックに

こちらはどのようなクリニックですか?

吉沢亮平院長 そらいろファミリークリニック1

当院は、今年の4月に開院した家庭医療を提供するクリニックです。病気だけでなく人を診ることを大切にしており、治癒を目的に受診するだけでなく、来ただけでさらに元気に、笑顔になれるようなクリニックをめざしています。クリニックの名前を「青空」ではなく「そらいろ」にしたのは、天気にも晴れや曇り、雨などいろいろな空模様があるように患者さんの心や体も移り変わりがすごくあって、いつも青空の状態というわけではありません。そういったどんな状態の方にも寄り添っていきたいという願いを込めて「そらいろファミリークリニック」とつけました。

すてきな院内ですがこだわったことはありますか?

私が小さい頃の病院のイメージは、決して明るいものではありませんでした。それは、おそらく皆さんにも同じような印象があるかなと思いますし、気軽に病院に行こうとはならないと思うのです。ですから、できるだけ病院を意識するような物は置かないようにしました。それに、私はすごく自然が好きで、患者さんも草や木々を感じられると気持ちが穏やかになったり、癒やしを感じたりすると思うので、自然を基調にしたデザインにして待合室や診察室からは中庭が見えるようにしました。待合室にはアロマの香りが広がり、少しでも晴れやかな気持ちになってもらえたらと思い空色の照明を設置しました。院内はバリアフリーにしてトイレも広くし、転んでも痛くないようマットを敷いたキッズスペースや授乳室もあります。また、日中なら患者さんを預かることができるケアルームも用意しています。

家庭医療とはどのようなものなのですか?

吉沢亮平院長 そらいろファミリークリニック2

家庭医療は、日本ではあまりなじみのないものですが、欧米諸国では、内科や外科、皮膚科などと同じように一般的です。わかりやすく言えば、体調が悪い時、どんな症状でも最初に相談できるかかりつけ医のようなものです。さらに、病気だけでなく患者さんの社会背景や生活背景なども見渡し、幼年期や成人期、老年期などのライフステージや就職や結婚、出産、退職などのライフイベントもそれぞれの患者さんで違いますから、そういうところまで配慮しながら、一人ひとりに合ったケアをするのが家庭医療です。

患者や家族との心のつながりを大切に

診療科を気にせず相談して良いのですか?

吉沢亮平院長 そらいろファミリークリニック3

もちろん大丈夫です。現在の医療は進歩して、診療科も細分化されて、それによって助かる命は多いです。一方で、どの科に受診するかは、患者さんが自分で判断しないといけないところがあります。それは、医療知識のない人たちからするととても難しいことで、例えば、頭が痛い時に風邪なのか、脳の病気なのか、目の病気なのかってわからないじゃないですか。それで、脳神経外科に行っても脳の問題ではありませんと言われるだけのこともある。でも、患者さんは、何が原因なのかが知りたいわけで、そんな時にどんな症状でもまず診てもらえる先生がいたら安心なのかなと思うんです。また科毎に病院を受診する患者さんも多く、とても大変という声を耳にします。一つのクリニックですべてを診てもらえたら精神的にも体力的にも楽かと思いますし、どんな方でも気軽に立ち寄れるクリニックにしたいと思っています。

訪問診療にも注力していると伺いました。

私は、赤ちゃんからお年寄りまで、患者さんの一生に寄り添う診療をめざしています。そのためには最期の瞬間まで寄り添う訪問診療はとても重要だと考えています。病気を治すことも大切ですが、訪問診療ではたとえ病気があっても、その人がいかに幸せに自分らしくいられるかのサポートを大事にしています。ですから、私たちが家に行くからと準備をして、緊張して待っていただくのではなく、患者さんが自宅でリラックスしている中に私たちが伺うこと。加えて、患者さん本人と同じくらいご家族へのケアやコミュニケーションも大切で、もしご家族に介護疲れの様子があれば、それに対するサービスを提案することも大切です。患者さんとご家族をケアして、初めて訪問診療が成り立つと考えています。

診療で心がけていることは何ですか?

吉沢亮平院長 そらいろファミリークリニック4

一番大切にしているのは、患者さんの声にならないメッセージに耳を傾けることです。患者さんは、最初からすべてを話してくれるとは限りません。例えば、散歩が好きな患者さんに体調はどうですかと聞いても、特に問題はありませんと返事がくることがあります。しかし、最近、散歩はどうですか?と聞くと、歩いてないと。その理由を伺うと、膝が痛くて歩かなくなり楽しみが減ったと。でも、すごく困っているわけではないので、自分からはおっしゃらないのです。ですから、何げない言葉や表情、素振りなどに注目して、患者さんが本当に求めていることは何なのかを知ることや、家族関係や生活環境などもしっかりとわかった上で信頼関係を築くことを大切にしています。また、医学的に正しい治療であっても、それを患者さんがどう考えているのかを確認することも大切にしていて、医療の常識にとらわれず、常に患者さんと同じ目線や感覚を持っていたいと思っています。

社会的処方が提供できるクリニックをめざして

先生はなぜ医師を志したのですか?

吉沢亮平院長 そらいろファミリークリニック5

中学から大学の頃まで住んでいたニュージーランドでの経験と、ある1本の映画が影響しています。その映画は笑顔・ユーモアを大切にし、数多くの人に無料診療を行ってきた医師が主人公なのですが、そのモデルとなったパッチ・アダムス先生と一緒に映画のようにピエロの格好をして孤児院を回った経験があります。パッチとともに世界の子どもたちや患者さんを笑顔にできた時間は私の大切な宝物です。それらの経験を通じて学んだのは「温かい笑顔は周りに伝染する」ということ。そして、一人ひとりの幸せを支え、温かい笑顔が広がるのを手助けしたい。それができるのが医師だと思ったのです。それに、私は医師であると同時に、人としてどうありたいのかをとても大切にしています。そんな自分が幸せでいるためには、周りの人たちの笑顔が必要なのです。

今後の展望はありますか?

薬の処方だけでなく、社会的処方が提供できるクリニックにしていきたいです。社会的処方とは、地域の活動やサービスへの参加を促すことで、患者さんの健康や幸福感を向上させるためのものです。年齢を重ねていくと、例えば、足腰が弱くなってきたから地域の体操の会に参加するなど、どうしても目的が最初にきて、それを達成するための手段を考えようとしますが、私が考える社会的処方では、まず「楽しい」や「わくわく」といった、子どもの頃に何かをする時に最初に湧き上がる感情を大切にしたいのです。楽しいから続ける、そして結果的に足腰が強くなったというような「わくわく」が先行する社会活動ができたら良いなと思っています。当院は待合室を広く設計しましたので、今後はダンサーや写真家などを招いて、さらに地域の方々の協力も得て、子どもから大人までが楽しめる活動を一緒にしていきたいです。

最後にメッセージをお願いします。

吉沢亮平院長 そらいろファミリークリニック6

初めての患者さんは、先生にこんなことを聞いても良いのかなと、遠慮がちに質問されます。でも、信頼関係が築かれていくと、「あの漢方薬がおいしくなかったから変えてほしい」とか、「先生が出してくれた薬が、週刊誌に良くないって書いてあったけど大丈夫?」という感じで、聞いてくれるようになります。私はこの変化がすごく重要だと思っています。そして、これからもどんなことでも相談できる医師、患者さんが長くかかりたいと思ってもらえるクリニックであるよう力を尽くしていきます。具合が悪くなくても、町の誰もが気軽に立ち寄れて、医師やスタッフの顔を見ると、笑顔になって元気になれる。患者さんにとって心の面でもバリアフリーなクリニックをめざしていきます。

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