原 正浩 院長の独自取材記事
原歯科医院
(墨田区/錦糸町駅)
最終更新日:2025/05/23

スカイツリーを一直線上に望むタワービュー通り。その一角にある「原歯科医院」は、開業から70年以上の長きにわたって診療を続けてきた歴史ある歯科医院だ。口腔外科を専門とする原正浩院長が祖父、父、兄と続いてきた同院を継承し院長に就任したのは2022年の3月。それを機に壁紙を刷新し、アニメのポスターを飾るなど、院内は明るい雰囲気にリニューアルした。その片隅には代々使われてきた年代物の診療台が置かれており、レトロなたたずまいから同院の歴史を垣間見ることができる。一方で、院内技工室の設置や口腔外科の難症例にも対応する設備を備えている同院。祖父からの診療方針を受け継ぎつつ、口腔外科の経験を生かしたスタンスで診療に取り組んでいる。明るく冗談を交えながら話す原院長に、これからの診療方針や今後の展望を聞いた。
(取材日2025年1月23日)
地域に根差し70年以上の歴史を持つ歯科医院
目の前の通りがとてもきれいですね。

僕はここで生まれて50年間暮らしていますが、この通りはすごく変わりましたね。以前は電線に止まるハトがたくさんいましたが、今では電柱がなく、電線はすべて地下に埋まっています。スカイツリーも建設当初から見ていたので、気がついたら完成していたという感覚ですね。生まれ育った町ですから、患者さんの中には同級生のお父さんやお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんなどもいらっしゃいます。年齢層でいうと、最近は30~40代の働き世代の方も増えてきたとはいえ、やはり高齢者が多いですね。入れ歯の悩みや歯がグラグラしているといった歯周病の症状で来院される方が多く、そういう患者さんのニーズから入れ歯の治療には力を入れています。
歴史ある歯科医院ですが、先代から引き継がれたものはありますか?
技工室は祖父の代からあって、当時から簡単な技工物は院内で作製していました。今は忙しさもあって作製の時間が取れず、歯科技工士さんにお願いすることが多いですね。また、当院は地域の歯科医師会に参加していることもあり、いくつかの大学病院や総合病院との連携を取っています。例えば患者さんの中に医療系の問題があった場合、それらの病院へ紹介することができますから、患者さんのみならずこちらも安心です。歯科は医療の中でも独立しているイメージがありますが、実際には医科の中の歯科だと考えています。そういう考え方は、父親からずっと伝えられてきましたし、祖父の代から当院の方針であったと思います。
こちらの歯科医院を継承してから変化したことはありますか?

2024年から歯科衛生士が複数人加わったこと、また本格的にインプラント治療を始めたことですね。歯科衛生士が入ったことで、より予防歯科に注力できる環境になりました。当院では月に1度の頻度で患者さんに来院していただき、口腔内ケアや虫歯のチェック、その方に合わせたブラッシング方法の指導を行っています。予防歯科は、いかに定期検診や食後の歯磨きを習慣づけするかが大切です。患者さんに理解していただけるよう、ケアの重要性を丁寧に説明するよう心がけています。インプラントは、義歯を入れる際に周囲の歯を削ったり傷めたりしないで済む点が大きなメリットです。治療の際は、インプラントをどのように入れればちゃんと歯が機能するか、プランニングを大切にしています。当院を継ぐまでに数多くのインプラント治療を行ってきたので、その知見をここでも生かせればと思いますね。
長年培ってきた口腔外科の専門性を生かした診療を
先生が歯科医師を志されたのは、やはり先代の影響ですか?

子どもの頃から父親に「職業は歯科医師しかないよ」と洗脳されていましたね(笑)。小さい頃は、診療していない時間帯に診療室で過ごすこともありましたから、僕にとってなじみのある場所ですし、歯科医療は常に身近なものでした。口腔外科を選んだ理由としては、歯科ではありますが、医科に近い知識を学べるのではないかと思ったからです。父親は僕を医師にしたかったらしいのですが、日本大学に進学が決まった時、父親と仲の良い先生が口腔外科にいるから「勉強してこい」と言われて、この道に進みました。一般歯科は歯を削ることがメインになりますが、口腔外科はメスを使う外科的治療も行う繊細な分野です。そういったところにも惹かれたので、経験を積めば積むほど面白くなっていきましたね。
口腔外科の治療にも注力されているのでしょうか?
そうですね。大学時代の知り合いからの依頼で患者さんを受け入れていて、ある程度、難症例の患者さんがほとんどです。例えば、骨の中に埋まっている親知らずの抜歯、歯茎の周りや上顎の骨が盛り上がる骨隆起、出っ張っている下顎の骨の切除、それから、歯の根っこの先端に膿の袋のようなものができた時に歯茎を切って外側から取る歯根端切除術などがあります。こういった口腔外科の難症例は得意分野なので、今後も受けていきたいですね。ご紹介いただければ、可能な範囲で対応していこうと考えています。
継承後、診療方針に変化はありますか?

父親や兄の代は、できる限り歯を残すという診療方針でした。当院の診療体制や基本的な考え方は変わりませんが、僕と先代とでは専門性が違うので治療のスタンスには違いがあります。悪い歯を残しておくことで、口腔内全体の負担が時間の経過とともに重くなり、周りの歯を駄目にしてしまうこともあります。口腔外科が専門の歯科医師としての見地から、その歯を残すことで起こり得るリスク、ほかの歯を駄目にしてしまう可能性があれば抜歯を勧めることもあります。将来的な口腔環境を見据えて、その方にとって一番良い方法をご提案することを大切にしています。家を建てるときはさら地にして杭を打ち基礎を作りますよね。口腔環境もそれと同じです。僕はさら地にするという重要な部分に10年以上携わってきたので、スムーズに歯を抜く技術には自信を持っています。患者さんには基礎づくりの重要性を丁寧にご説明し、理解していただくように努めています。
ダメージの少ない可能な限り痛みを軽減した治療に注力
診療で心がけていることを教えてください。

ダメージをいかに少なくするかを考え、可能な限り痛みを軽減した治療を心がけています。口腔外科を専門にしていると全身麻酔をする機会がありますが、麻酔で意識がない状態であっても、生身の患者さんを治療しているという意識を忘れず、患者さんにダメージの少ない丁寧な治療を提供したいと考えています。
先生はどのようなご趣味をお持ちですか?
子どもの頃からアニメが好きなので、院内にも好きな作品のポスターを飾っています。歯科医院でアニメのポスターを飾っているところは、あまりないかもしれないですね(笑)。他にはギターやテニス、映画鑑賞も好きですね。ギターは高校生の時に始めたので、もう30年以上になります。大学生の時には軽音楽部でバンドを組んで活動していましたし、卒業後もOBで集まってOB会ライブを開いたりしていました。新型コロナウイルスの時期は休止していましたが、錦糸町駅のすぐそばにあるライブハウスで毎年ライブを開催しています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今後は、本格的にレーザー機器を導入し口腔の小手術にも対応していきたいと考えています。現在もレーザー治療を行っているのですが、借りている状態なので。レーザーは歯肉の腫れや口内炎の治療のほか、子どもの上唇小帯の切除などにも有用です。また、先ほども申し上げたように、予防歯科やインプラント治療にも力を入れていきたいですね。予防歯科の根本には、正しいケアがあります。歯間ブラシやデンタルフロスも、間違った方法で使うとかぶせ物が取れたり、傷がついて歯茎が下がる原因になったりします。一人ひとり歯並びや生え方は違うので、その人に合わせたブラッシング方法を取り入れてほしいですね。歯科医院に通う習慣をつけると虫歯や歯周病の早期発見にもつながりますので、ぜひ気軽にお越しいただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本40万円