赤血球や白血球の健診異常
血液内科クリニックで精密検査を
上野御徒町こころみクリニック 内科・血液内科・糖尿病内科
(台東区/上野駅)
最終更新日:2022/04/04


- 保険診療
全身くまなく流れている血液。その血液に含まれる赤血球や白血球、血小板に関する疾患を診るのが血液内科だ。消化器内科や循環器内科などと比べるとあまりなじみがなく、地域で専門的に診ているクリニックもあまりないのが現状だ。「上野御徒町こころみクリニック」の由井俊輔院長は「健診で赤血球や白血球、血小板の数値異常が指摘されたら、血液内科を受診してほしい」と話す。由井院長は日本血液学会血液専門医の資格を有し、日本医科大学付属病院でさまざまな治療に携わってきている。ただ、血液の数値異常の中には大学病院に行かなくても血液内科のクリニックで対応できる場合もあり、精密にスクリーニングすることが重要だという。由井院長に血液内科クリニックを受診するタイミングや血液の病気などについて聞いた。
(取材日2022年2月25日)
目次
健診異常を血液から精査し、大きな病気があれば必要な医療につなげる
- Qどのような時に血液内科を受診すればよいのでしょうか。
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A
▲血液内科の専門性を生かした診察を行う由井院長
企業健診や定期健診などの血液検査で、赤血球や白血球、血小板の数値に異常がある場合、可能な限り血液内科を受診して精密検査を受けていただきたいです。その数値の異常が何に起因するものか、血液疾患なのか、他の疾患によるものか見極めることが重要となります。また、症状として、内出血してあざができやすい、尿や便に血が混ざる、切り傷や鼻血など血が止まりにくいといった出血症状があるときや、首や脇の下、足の付け根のリンパ節が腫れてきたというときは精密検査が必要です。風邪をひいたときによく首のリンパ節が腫れることがありますが、他にもさまざまな原因があります。それを見極めるのが重要で、血液内科の得意とするところです。
- Q赤血球の異常からはどんな病気が考えられますか。
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A
▲生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群など幅広く診察する
赤血球の減少による疾患で一般的なのが貧血です。鉄不足による鉄欠乏性貧血が最も多いですが、ビタミンB12や葉酸の不足によって生じる巨赤芽球性貧血という病気もあります。他にも体内の炎症や出血、腎臓疾患などによって貧血が起こる場合もあり、その原因を見極めることが重要です。一方、赤血球が異常に増えている場合は、「多血症」の可能性があります。多血症は睡眠時無呼吸症候群や喫煙、肥満、脱水などによって生じることがあります。その一方で造血幹細胞の遺伝子異常など重大な疾患によって生じる場合もあります。多血症は進行すると血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因になることもあります。
- Q白血球と血小板の異常ではどんな病気が考えられるのでしょうか?
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A
▲夜間診療で社会生活と治療の両立をめざしている
白血球の数値に異常がある場合、睡眠時無呼吸症候群や禁煙、肥満によることも多いですが、その影に白血病が隠れていることも考えられます。白血病は異常な細胞がつくられ、血液や骨髄の中に増えてしまう疾患で、急激に進行する急性白血病とゆっくり進行する慢性白血病に分けられます。血小板の数の異常な増減は、何らかの血液疾患やがん、鉄不足や自己免疫疾患などが関連していることが考えられます。中には、特発性血小板減少性紫斑病という難病もあります。
- Qこちらでの検査・治療の流れを教えてください。
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A
▲院内迅速検査システムによる血液検査を実施
丁寧な問診を心がけ、血液検査を行います。当院では迅速血液検査を行っていて、赤血球、白血球、血小板といった血算やコレステロール、ヘモグロビンA1cなどの数値はすぐに結果がわかります。外部検査機関に出した検査結果は、アプリを利用してスマートフォンやパソコンで結果が判明次第お伝えします。血液検査の結果、どのような疾患があるかを診断し、適切な治療を行います。血液検査を経て生活習慣病が発覚した場合は、当院で治療が可能です。血液疾患の疑いが強い場合は連携している病院に紹介し、骨髄検査などで確定診断し病院で必要な治療をします。病院で治療を終えた後は、当院でフォローしていきます。
- Qこちらならではの診療体制についてお聞かせいただけますか?
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A
▲血液疾患の治療後のフォローが必要な人も相談してほしいという
当院は、日本医科大学付属病院血液内科と密に連携を取っています。ここで診察した結果、大学病院での治療が必要な場合も引き続き診ることが可能です。企業健診で血液内科の受診を勧められた方や、血液疾患の治療を終えてその後のフォローが必要な方が、時間が取れずに大学病院に行けないという例をこれまで多く見てきました。当院ではそのようなことがないよう、夜間診療を中心に21時まで診療しており、社会生活と治療とを両立できるように、体制を整えています。