平川 寛 院長の独自取材記事
ひらかわファミリー歯科
(生駒市/生駒駅)
最終更新日:2025/01/21

近鉄生駒線・生駒駅北口から徒歩10分ほど、県道142号線に面した住宅街で、2021年9月から診療を開始した「ひらかわファミリー歯科」。院長の平川寛先生は奈良市で生まれ育ち、歯学部在学中と勤務医時代は大阪で修行を重ねてきた。実家の歯科医院を継ぐのではなく、自分のスタンスで診療したいと開業した平川院長。患者に厳しく堅苦しい古いタイプの歯科医院ではなく、話しやすくて通いやすい、新しい技術を積極的に提供するクリニックとして成長を続けている。自身の子育て経験を生かし、子どもを無理なく治療に結びつける方針を掲げている平川院長に、クリニックの診療の特徴や、診療スタンスについて語ってもらった。
(取材日2024年11月22日)
総合病院の歯科口腔外科で研鑽後、町の歯科医師に転身
実家の歯科医院で、患者さんの治療を直接なさっていたお父さまの姿を見てこられた影響も大きいですか?

同じ歯科医師ですが、得意分野が違います。父の専門は義歯製作で、保険治療なのに質が良いからと自費治療の素材を自腹で使うなど強いこだわりを持って義歯治療に取り組んでいます。一方、僕は歯を通じて体全体を診られる歯科医師になりたかったので、若い頃は総合病院の歯科口腔外科で診療経験を積み、歯科医療のできる限界を学びました。身近な歯科医療を本格的に学び始めたのは、その後に町の歯科医院に転職してからです。そこで尊敬する先生に出会って受けた影響が、父以上に大きかったですね。僕は地元の奈良が大好きで、父の歯科医院が東生駒にあり多少の土地勘があったことから、こちらで開業しました。同時期に父が歯科医院を閉めることになったので、非常勤として当院に入職してもらいました。子どもには優しく、大人には親切に、かかりつけ医として地域に根づいた歯科医院にしたいと考えています。
患者さんが希望される主な治療は何ですか?
虫歯や歯周病治療など一般的な歯科治療に加えて、精密根管治療を希望して来院される方も少なくありません。精密根管治療は、僕が師匠として信頼する先生のもとで身につけた技術で、この治療を行うためにマイクロスコープと3DCTを導入しています。マイクロスコープで拡大して細部まで見て、これでもかというほど、きれいにしてから薬を詰めますので、通院期間は長めになります。そのことに納得してくださる患者さんにだけ提供できる治療でもあります。基本的には保険治療ですが、高額な機材の使用が必要など、ケースによって自費治療になる場合もあります。
総合的な治療法の提案もなさっているそうですね。

今の虫歯や歯周病を治療することはもちろん必要ですが、なぜそのような症状になったのか、いつも繰り返してしまうのなぜなのかを、お口全体を総合的に診た上で原因を探っていきます。原因がわかれば、再発させないためにも、先を見据えた治療法があるという事を選択肢の一つとして患者さんに提案しています。もちろん、どのようにしていくかは患者さんが決めます。お口の健康は体の健康にも大きく影響すると考えていますので、10年後や20年後も健康なお口でいられるように、最適な提案を行うと同時に、定期的なメンテナンスや予防ケアも重視しています。そのため、歯科衛生士もしっかりお口の状態を見て丁寧にクリーニングをしてくれています。患者さんが、末永く健康なお口でいられるよう一丸となって取り組んでいます。
患者ごとに合わせたきめ細かな対応
日頃の診療で心がけていることを教えてください。

しっかり患者さんと向き合い、効率良く治療を進めるために準備をしてお迎えするようにしています。せっかくご予約いただいた大切な時間ですからね。患者さんには納得して治療を受けていただきたいので、しっかりご説明しています。お話の中で治療の選択肢を提示して、患者さん自身に選んでもらっています。虫歯や歯周病は生活習慣病同様と考えていますので、しっかり管理できるようご説明し、指導するのも治療のうちです。初診の患者さんには問診票で過去の病歴をお尋ねしていますが、どの歯をいつ治療したかについては覚えていない方が圧倒的に多いです。全身の病歴と同じことなのに、軽く捉えている方が多いんですね。
どのような患者さんが多いですか?
赤ちゃんからご高齢の方まで幅広く来院されています。30代、40代の働き盛りの方、そのファミリーの方も多く、基本的には近隣にお住まいの方が大半ですが県外から通院されている方もいます。当院の最も若い患者さんは生後5ヵ月で、初めての歯が生え始めた時にお母さんが連れて来られました。乳歯の役割は永久歯が正しい位置に生えてくるための「場所取り」をすることですから、小さな子を抑えつけてまで虫歯治療をしなくてもいいと考えています。親御さんにもそう伝えています。無理な治療でトラウマになったら、お子さんにとって大きな損失になります。最初は連れて来るだけ、親御さんの治療中にキッズスペースで遊ばせ何もせずに帰るだけで十分です。治療中の親御さんが痛がっていなければ、子どもは歯科を怖くないと理解します。診療台に座っても、最初は歯科衛生士がブラッシング指導だけ。慣れてきたタイミングで治療に入ります。
患者さんの世代によって対応は違ってきますか?

お子さんには、大人になった時にいかにきれいな歯並びでいられるかを考えたケアが大事であることを、親御さんに説明します。20代から50代の患者さんには、治療はもちろん歯並びを整えることで、できる限り自分の歯を残していくようにしましょうとお伝えしています。そして歯の欠損が多くなる60代以降の患者さんには、しっかり噛めることで口から全身疾患の予防ができるとお伝えしているんです。年代を問わず、大事にしないと歯を失いますよという話は必ずするようにしていますね。
1本の歯を残す難しさを教わった修業時代
勤務医時代の出会いが、今の先生の診療に大きく影響しているそうですね。

総合病院の歯科口腔外科に在籍していた時、自分の適性を考えて将来どうしようかと悩んでいた僕の背中を押してくれた先生が、歯科医師人生の最初の師匠です。それで、一般歯科の勉強をしようと講習会に出かけ、そこで指導していた開業医の先生が、現在の僕の師匠なんです。先生の講習を受けたり、クリニックを見学したりするうちに声をかけていただき、その先生のクリニックに勤務することになりました。人間的にも素晴らしい優しい先生で怒られたことはないのですが、内容的には怒られているんだろうと思うことはあります。1本の歯を残すことがどれだけ難しいか、技術の問題だけでなく、トータルで診たときに残していいのかどうか、全体を見て判断する大切さを教えてもらいました。師匠とは、今でも定期的に会って話もしますが常に刺激を受けています。
休日はどのように過ごされていますか?
娘のお世話ですね。休みが週に1日なので、この日しか妻と交替できないんです。子どもができる前はスノーボードに行くこともありましたが、今は難しいです。ただ、もともと忙しくしているのが好きなので、仕事をしているほうが、気持ちが落ち着くんですね。本を読んで勉強するより、手を動かして人と接しながら学びたいタイプなので、開業前に妻に「日曜の午前中も診察したいんだけど」と相談したところあきれていました(笑)。医療は日進月歩だから追いつかないといけませんし、もう少し時間が欲しいなと思うことは多いです。
読者へメッセージをお願いします。

奥歯を失っても危機感が薄く、前歯が悪くなってからようやく歯の大切さに気づく方が少なくありません。厳しい言い方になりますが、歯を失うのは自分に原因があり、その結果が自分に返ってきているという現実は理解していただきたいです。特に子育て世代は、生活全般がどうしても子ども優先になりますよね。自分を後回しにして医療にお金がかけられないのは仕方がないことですが、放置は良くないです。お子さんに手とお金がかからなくなるまでは最小限の治療で、その代わりご自身でしっかりケアしていただければ、大きく崩壊していくことはありませんから、歯のことでお悩みの方は一度、ご相談に来ていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/詰め物6万500円~、かぶせ物11万円~(いずれも税込)