アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、乾癬、白斑に
保険適用の光線療法
しもたか皮フ科
(世田谷区/下高井戸駅)
最終更新日:2022/06/27
- 保険診療
皮膚科の疾患は多岐にわたる。例えばかゆいという症状の出る疾患だけでも多数あり、重症度もさまざまだ。「しもたか皮フ科」では、治りにくいアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などの皮膚疾患に対し、ナローバンドUVBやエキシマライトなどの紫外線を使った保険適用の光線療法を行っている。「個人差はありますが、中には一度の照射で症状が軽くなることが期待できるケースもあります」と話す木下綾子先生。基本的な治療とともに、ナローバンドUVBやエキシマライトをどのように組み合わせていくのか、また、症状を改善へと導く仕組みや作用についても詳しく話を聞いた。
(取材日2022年2月14日)
目次
メンタル面にも影響を与えるのが皮膚疾患。光線療法と基本的な治療と併せて成果につなげていきたい
- QナローバンドUVBやエキシマライトとはどのようなものですか?
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A
ナローバンドUVBは、311〜313nmの中波長の紫外線を照射することで、症状の改善を図るための機器です。紫外線は大量に浴びると皮膚の老化やがんの原因になるとされていますが、昔からアトピー性皮膚炎などにおいては適度な紫外線は必要だという説が知られていました。ナローバンドUVBは有害な紫外線を取り除き、有用な波長だけを取り出して照射するための機器です。適応となる疾患は、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬、掌蹠膿疱症や白斑などです。ナローバンドUVBは全身に使用し、エキシマライトは円形脱毛症のような部分的な治療に使います。
- Q最初の治療から光線療法を使用するのでしょうか?
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A
皮膚科の治療は、基本的に塗り薬で、これに飲み薬を併せることもあります。例えば、アトピー性皮膚炎は、ステロイドの塗り薬が処方されますが、決められたとおりに塗ると症状の改善が期待できるはずです。ところが、なぜか皆さん、薬の量を少なく塗る方が多く、これでは薬の力が発揮できません。ステロイドの塗り薬は、1FTU(finger tip unit)と言って、人差し指の先から第一関節までをチューブから絞り出した量が、両方の手のひらに塗る量とされています。まず薬の塗り方から指導し、それでも症状が緩和されない場合に光線療法が適用されます。
- Q光線療法を行うメリットを教えてください。
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A
その方に合わせた照射間隔で治療するので、1週間に1度というケースが多いのですが、重症の場合は2度照射することもあります。定期的に短い期間で通院してくださると、皮膚の状態を細かくチェックでき、成果がそのまま患者さんのモチベーションにつながるところが良いですね。塗り薬だけだと、どうしても何ヵ月かに一度という期間になってしまうので、その間、どのような経過をたどったのかがわかりません。また、紫外線の照射時間は、ジュールという単位で表します。ジュールというのは、光線の強さを表していて、照射時間にも比例します。大体、5分か10分程度のことが多いですね。
- Qこの治療に副作用はあるのでしょうか?
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A
短期的な副作用として、照射した部分の赤みや色素沈着、ほてりを生じる可能性があります。長期的な副作用としては紫外線による発がん性やしみ・しわの光老化があります。しかし、従来行われてきた紫外線の一種のUVAを用いるPUVA療法などと比較して、先述の副作用は起きにくいとされています。もちろん紫外線による発がん性も低いとされています。
- Q光線療法に年齢制限などはありますか?
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A
医療的な年齢制限はないのですが、暗い所にじっとしていなければならないので、小さなお子さんには向かないかもしれません。医療機関によっては、16歳以上としている所もあるくらいです。症状の改善が早めることができれば、薬の量や回数を減らすことも期待できます。心配される副作用もほとんどないといわれます。また、保険が適用される治療なので、費用の負担も軽いです。皮膚の状態は男女差や、年齢差、個人差があり、同じ疾患でも一人ひとりまったく違います。最初は、同じ状態からスタートしますが、強さや照射頻度は皮膚の状態を診ながら決めていきますので、安心してください。