木下 綾子 院長の独自取材記事
しもたか皮フ科
(世田谷区/下高井戸駅)
最終更新日:2023/07/26

京王線・世田谷線・下高井戸の駅から、活気ある商店街を歩くこと2分。小学校横のメディカルタウンの3階に「しもたか皮フ科」はある。院長の木下先生は、大学病院、一般クリニックと数多くの臨床経験を積んだベテラン医師だ。都心から少し外れた下高井戸に開業を決めたのは「家族皆で通える皮膚科をめざしたかったから」と木下先生は話す。落ち着いて清潔な院内は、2つの診察室と処置室があり、感染症対策も行き届いている。治療だけでなく、スキンケアにも詳しく、患者の悩みを解決する引き出しをいくつも持つ木下先生。治療や展望、趣味に至るまで詳しく話を聞いた。
(取材日2022年2月14日)
患者とじっくりと向き合いたいと考え開業を決めた
新型コロナウイルスの流行している中での開業は大変だったのではないですか?

覚悟の上でした。もともと開業志向だったので、自分の城で思い描く皮膚科診療を行いたいという考えがありました。専門性の高い治療も続けたかったのですが、地域に根づいて一人ひとりの患者さんをじっくり診ていきたいと思い開業を決めました。下高井戸の地は、近所に小学校、高校や大学もあるので、家族ぐるみで通っていただけるのではないかと思いここでの開業を決めました。
開業前はどちらにいらっしゃったのですか?
大学病院に勤務後、都内の皮膚科クリニックで院長を務めていました。一日100人以上の患者さんを診ていたので、なかなか一人ずつに時間をかけることが難しいときもありましたね。まだ開業して1ヵ月なので、患者さんは地元の方がほとんどで、一人ひとりにじっくりと時間をかけて対応することができています。都心と違いご高齢の方も多く、地元のおいしいお店など地域のことをいろいろと教えてもらっているので楽しいですね。また、当院は2棟続くメディカルタウンに入っているので、階下の整形外科や内科、お隣の産婦人科などほかの診療科に通われている患者さんも多く受診されています。
院内の設備で先生がこだわった部分はありますか?

何より感染症対策に力を入れました。小さなお子さんからご高齢の方まで受診されるので、院内で感染が広がらないようさまざまな設備をそろえました。体温を測定するためのスタンド式の体表面温度測定器や、手指消毒液はもちろん、待合室のパーティション、これはスタッフルームにも設置しています。あとは、性能にこだわって選んだ空気清浄機やCO2濃度測定器も設置しています。それから当院は窓も多いので、換気にも気を配っています。
こちらではどのような主訴が多いのでしょうか。
皮膚のかゆみや腫れ、若い方はニキビが多いですね。最近はマスク生活をするようになったので、マスクの下の皮膚がかゆいとか、ニキビができるようになったという方も増えています。特にニキビは、自己流のケアを行って、いろいろと肌をいじったり、さまざまな化粧品を使ったりして、結果的に悪化させている方が多いので、症状を長期化させないためにも早めに医療機関を受診することをお勧めします。また、男性に多いのですが顔の脂分を落とそうとゴシゴシと洗顔をすると、色素沈着の原因になるので良くないですね。そういった日々のスキンケアについても、正しい知識を身につけてもらえるよう、きちんと説明をさせていただきます。
自費診療は保険診療の延長線で気軽に相談できるように
こちらでの主な診療内容を教えていただけますか?

一般皮膚科診療の他に、紫外線療法のナローバンドUVBやエキシマライト、手や足の汗に人知れず悩んでいる方も多いので、多汗症治療のイオントフォレーシスも行っています。これは、水の入った容器に患部を浸して微弱な電流を流し、水素イオンを生じさせて汗を抑えることをめざす治療です。ほかにも、自費診療ですがケミカルピーリングなどのスキンケアや、AGAにも対応しています。しみに悩む患者さんも意外に多いので、近いうちにしみやくすみにアプローチする美容光治療器も取り入れようと思っています。ただ、あまり美容方面にばかり力を入れると、保険診療の患者さんが来にくくなるので、通常の診療時に「ここのしみも気になるのだけど」というような、一般診療の延長線のような気軽に取り組める感じにしたいと思っています。
ナローバンドUVBやエキシマライトとはどのようなものなのでしょうか?
波長の違う紫外線を患部に照射し、過剰になった皮膚の免疫を調節して症状の緩和を図ります。ナローバンドUVBは全身用、エキシマライトは部分用で、それぞれ違う波長の紫外線を照射します。外用薬で改善が見込めないアトピー性皮膚炎や円形脱毛症、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、白斑などの治療が適応となります。
例えばアトピー性皮膚炎は、基本的に塗り薬の治療ですよね。

そうです。アトピー性皮膚炎は、保湿剤ステロイドの塗り薬を処方します。ただ、用量、頻度など決められたとおりに正しく塗っていただくことが重要で、思い出した時にしか薬を塗らないような方だと症状の改善は期待できません。こういう場合は、まず薬の塗り方から指導します。ステロイドの塗り薬は、決められた量をしっかりと塗ることで初めて薬の本来の力が発揮されます。当院では説明資料をお渡ししたり、患者さんに直接塗りながら、正しい使用法の指導をします。しっかりと薬を塗っているにもかかわらず改善しない場合は、紫外線療法の対象となります。
患者さんに接する際に心がけていることはありますか?
不安を少しでも和らげるために笑顔で接することですね。不安そうにしている方にも「大丈夫だよ」と声をかけるだけで、ほっとした表情を見せる方が多いです。どんなときも笑顔で接することは、とても大事なことだと思います。特に皮膚科は男女差や年齢差、個人差もあるのでお悩みは一人ひとり違います。そのお悩みを一つ一つ解決するために、これまで自分が携わってきた症例経験を存分に生かしていけたらと思っています。お子さんからご高齢の方まで安心して通えるクリニックにしたいと考えています。
地域に根づいた家族で通えるクリニックをめざす
先生はなぜ医師をめざしたのですか?

産婦人科の医師だった父の影響が大きいと思います。3年前に他界したのですが、地元の人にすごく好かれていて、実家に帰るたびに「お父さんの所で産んだのよ」とか父の思い出話をする人がたくさんいるのです。地域の人たちに信頼されている父のようになりたいと思い、医師を志しました。実は当院のマークは桃をモチーフにしているのですが、これは父のクリニックが桃から生まれた桃太郎のマークを使っていたので、そこから取りました。
皮膚科を専門にしようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
私の若い頃はニキビを皮膚科で治療するというのがスタンダードではなく、皆、市販の薬を買ってきて使っていました。ニキビが皮膚科で治療できると知ったのは大学に入ってからで、若い人がたくさん悩んでいると知って救ってあげたいと思ったのと、死に関わる診療科を選びたくなかったので皮膚科を選びました。ただ、大学病院では皮膚がんなどで亡くなる方も多かったので、当初想定していた診療のイメージと違い、衝撃を受けましたね。
休日はどのように過ごしていらっしゃるのでしょうか。

以前からランニングをしています。これだと思うとすぐに行動してしまうタイプなので、昨年からスケートボードとサーフィン、今年に入ってからはスキーも始めました。サーフィンではすごく日焼けをしてしみだらけになってしまったので、マスクを外すことができません(笑)。ランニングはフルマラソンにも何回か出場したことがありますし、もっと距離が長いウルトラマラソンにも参加したことがあります。
今後の展望をお聞かせください。
他人から見える場所に出る皮膚科の疾患はメンタル面にも影響するので、時間をかけて患者さんと向き合い、こうしたお悩みを治療とともに解決していきたいと思っています。男性のスキンケアの相談も大歓迎ですし、当院は女性医師が診察を行っていますので、男性医師に相談しづらいような陰部に関するお悩みも遠慮なくご相談ください。当院では、院内で患者さんをお呼びするときは名前ではなく番号でお呼びし、プライバシーにも配慮していますのでご安心ください。これからも患者さんが受診して良かったと思える診療を続けていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはピーリング/7680円~(税込)、AGA/6600円~(税込)、それに伴う採血/5500円~(税込)