コルポスコピーの費用や痛み
気になる子宮頸がんの進行速度
川崎駅ふみレディースクリニック
(川崎市川崎区/川崎駅)
最終更新日:2022/04/21


- 保険診療
子宮の病気というと、気になるのが子宮内膜症や子宮筋腫、そして子宮がんだ。子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんがあり、特に最近、子宮頸がんが若い女性に増えている。そのため注目されているのが、子宮頸がん検診で要精密検査となった場合の、コルポスコピーだ。「川崎駅ふみレディースクリニック」村上文祥院長は、このコルポスコピーのスペシャリスト。コルポスコピーが必要な人が、痛みなどにより検査を敬遠することがないように、痛みや負担の軽減にも工夫を凝らしているという。開業したのも、検査を受けられる施設が限られているコルポスコピーを、身近なクリニックで実施したいとの想いからとのこと。「精密検査が必要な人が確実に受診できるようにして、子宮頸がんを撲滅したい」という村上院長に取材した。
(取材日2022年4月5日)
目次
若い女性に急増する子宮頸がん。検診で要精密検査と言われたら、コルポスコピーを受けて早期の対応を
- Qコルポスコピーについて教えてください。
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A
▲子宮頸がんの精密検査が必要と診断された人が受ける検査
コルポスコピーは、子宮頸がんの一次検診で精密検査が必要と言われた人が受けるもので、コルポスコープ(膣拡大鏡)を使って子宮の入り口の子宮頸部の状態を詳しく調べる二次検診です。必要に応じてコルポスコープ下での組織診も行います。精密検査に関わる費用は多くの場合、公的医療保険が適用となります。経験豊富な医師が行えば患者さんの負担を抑えながら病変を見つけやすい有用な検査ですが、クリニックレベルではコルポスコープの導入が少なく、自覚症状もないのに大きな病院にわざわざ検査を受けに行くのはおっくうだと検査を敬遠する人が少なくないことを心配しています。
- Qやはり精密検査の 痛みや恥ずかしさが心配です。
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A
▲痛みに配慮して検査することを重視している
コルポスコピーは、多くの場合は観察するだけなので大きな痛みは伴わず、時間もかかりません。痛みを感じやすいのは、病変部の一部を切り取る組織診です。子宮頸部は痛みを感じる神経はあまり発達していないのですが、生理痛のような鈍い痛みを感じる人もいます。この痛みは、コルポスコープの扱い方や組織のつまみ方など医師の技術力に左右されます。私は、多くのコルポスコピーを経験する中で、最も悪いと考えられる部分をほんのわずかに採取することで、患者さんの痛みや負担を軽減することを心がけています。一度、痛い思いをされた方は検査を敬遠されて早期発見の妨げになるので、何よりも痛みに配慮することを重視しています。
- Q子宮頸がんの進行速度や異形成への対応について教えてください。
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A
▲患者の話をよく聞き、適切な治療方法を探っていく
子宮頸がんの多くは、正常な状態からすぐにがんになるのではなく、異形成というがんになる前の状態を何年か経てから、がんになります。HPVに感染してから子宮頸がんに進行するまでに「扁平上皮がん」は数年から数十年といわれますが、増加傾向の「腺がん」は約1年で進行する場合もあると報告されています。異形成には軽度、中等度、高度の段階があり、軽度や中等度では自然に治ることもあるので、経過観察として定期的にコルポスコピーを行います。高度異形成は自然治癒は難しく、がんに進行することもあるので、病変を削り取る「子宮頸部円錐切除術」や、病変部を焼灼する「レーザー蒸散手術」を行います。
- Qがんと診断されたら、どのような治療を行うのですか?
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A
▲手術以外にも化学療法を行うこともあると話す村上院長
早期がんの状態の「上皮内がん」は高度異形成と同じように「子宮頸部円錐切除術」や「レーザー蒸散手術」を行います。最近は、高度異形成と早期がんを区別せずに「CIN3」として治療を行うようになっています。また進行がんで「微小浸潤がん」の場合は高度異形成や早期がんと同様の治療が選択されます。さらに進行した場合は、子宮全摘術と呼ばれる子宮頸がんの根治手術を行います。子宮に加えてリンパ節などを広範囲に摘出する手術です。将来、妊娠できるようにしたいという希望が強い場合は、可能であれば子宮体部を温存する手術を行うこともあります。手術を選択しない場合は、放射線療法や抗がん剤による化学療法が行われます。
- Q異形成の診断後には、どのような注意が必要ですか。
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A
▲リスクやデメリットについても患者が納得するまで説明していく
軽度や中等度の異形成と診断されて経過観察となった場合、性交渉を含めて生活習慣は従来どおりで構いません。ただし不特定多数の人と避妊具なしで性交渉を行うと、子宮頸がんの原因であるHPVウイルスに新たに感染する機会が増えることになりますので注意が必要です。最も大切なことは、医師の指示に従ってコルポスコピーを受けることです。また高度異形成の治療法である子宮頸部円錐切除術は治癒をめざせることが特徴ですが、妊娠、出産の際、切除によって子宮頸管が短くなることで、早産になるリスクが高くなる、子宮口が狭くなって月経血が排出されにくい、妊娠がしにくくなるといったデメリットがあることも知っておいてください。