宮崎 裕子 院長の独自取材記事
五反田みやざき内科クリニック
(品川区/五反田駅)
最終更新日:2025/01/31

五反田駅東口より徒歩6分の「五反田みやざき内科クリニック」は、2022年3月に開業。アースカラーを基調にした院内は、化学物質による過敏症を防ぐためしっくいの壁を採用。患者にとって居心地の良い空間づくりを第一に配慮した。宮崎裕子院長は、総合病院やクリニックで甲状腺疾患などの内分泌疾患や糖尿病をはじめ、さまざまな病気を診断・治療してきた経験豊富な医師。病気を診る前にその人を診るがモットーだ。患者想いの姿勢や気さくな人柄もあってか、病院勤務時代から付き合いが続いている患者もいるという宮崎院長に、診療への想いを語ってもらった。
(取材日2024年9月17日)
糖尿病予防を軸に血糖コントロールで健康寿命延伸を
開業までの経緯について教えていただけますか。

大学卒業後は、総合病院や専門病院に勤務しました。その後、地域の基幹病院に在籍しながら、いろいろなクリニックで外来を担当。お付き合いが長くなるにつれて、患者さんも本音が言いやすくなるのか、ちょっとした心配事でも相談してくださるようになって。そうした患者さんとのつながりにやりがいを感じていましたね。一方で、病院勤務を通じて糖尿病、甲状腺などの内分泌疾患の専門的な治療について学んできたこともあり、双方の視点を生かせないかと思うようになりました。クリニックなら気軽に通えますし、その中で患者さんのQOL(生活の質)を上げるとともに、ちょっとした心配事の相談にも乗れる場所をつくりたいなと。ちょうどその頃、当院の向かいにあるNTT東日本関東病院の先生から「開業しては?」というお話をいただき、五反田での開業に至りました。
クリニックをつくる際に、こだわった点は何でしょうか。
安全で居心地の良いクリニックにするということです。最近、環境に対する過敏症の方が増えていますので、院内の壁をしっくいにするなど、できるだけ化学物質を使わない造りにしました。設備面では、エックス線検査装置、エコー検査装置、血管年齢測定装置があります。胸部レントゲン写真だけでなく、骨密度を測定したり、エコーで頸動脈や心臓、膵臓や腎臓を観察したりすることで患者さんの状況をより詳細に理解できるようになります。心電図については、院内での検査の他に、24時間身に着けて心臓の動きを検査するホルター心電図検査も導入し、不整脈などの診断に役立てられるように努めています。過去1~2ヵ月間の血糖状態を調べることができるHbA1c分析装置、さらには血液凝固分析装置なども活用して幅広い検査に対応し、結果はできるだけその日中に患者さんへ説明するようにしています。
力を入れている治療は何ですか。

私は日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会総合内科専門医として、糖尿病や甲状腺などの内分泌疾患をはじめ、内科疾患の診断・治療に携わってきたので、こうした治療や循環器疾患の治療に力を入れています。糖尿病は、できるだけ早めの受診が重要です。健康診断で血糖値の高さを指摘された段階なら、糖尿病と診断される前に対処することも可能ですが、症状がないからと放置すると、毛細血管に影響が出始め、悪化すると、糖尿病性網膜症による失明の可能性や腎臓病による人工透析の必要性が出てくる他、心臓や脳、神経にも影響することも。これらを「合併症」といいますが、血糖コントロールを図り、疾患の進行抑制をめざせれば、健康寿命の延伸にもつながると考えます。適切な診断を受け、何が原因かを突き止めることが大切です。当院には日本循環器学会循環器専門医や日本腎臓学会腎臓専門医が在籍しているので、各専門医師と連携して診療しています。
睡眠時無呼吸症候群や花粉症の舌下免疫療法にも対応
糖尿病の治療だけでなく、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療を行っているそうですね。

例えば、患者さんご自身に自覚がなくても、ホルター心電図検査で睡眠時無呼吸症候群がわかることもあり、また、早朝の血圧が高い方や肥満傾向の方に、まずは簡易検査をお勧めしています。さらに精密検査が必要な場合はご自宅に機械を送って検査を受けていただきます。その結果に基づき、CPAP(持続陽圧呼吸療法)の導入、歯科でのマウスピース作製、生活指導などの治療につなげていきます。睡眠時無呼吸症候群は、肥満傾向の方ばかりではなく、やせ型で顎が小さい女性がなるケースもあります。家族に「いびきがうるさい」と言われる方、日中に眠くなる方、最近疲れやすいと感じる方は、お気軽にご相談いただければと思います。
舌下免疫療法にも対応されていると聞きました。また、オンライン診療も行うのですね。
家族の通院で耳鼻科に通っていたときに、耳鼻科の先生から舌下免疫療法を教えていただきました。これきっかけで、開業当初から、スギ花粉とダニアレルギーの患者さんに対して舌下免疫療法を行っています。ただ、スギ花粉に加えてヒノキ花粉アレルギーのある方は、飛散時期が近いこともあり、スギ花粉の舌下免疫療法を行うことでヒノキ花粉アレルギーの状態が悪化するリスクもあります。ですので、治療に入る前に必ずアレルギー検査を受けていただき、適応の有無を確認した上で始めます。オンライン診療は、かぜ症状の方のほか定期的に通院をしていて、採血などの必要がなくお薬の処方のみで済む場合や、検査結果を聞きにくる時間が取れない場合など、患者さんの状況に応じて臨機応変に対応しています。
診療において、大切にしていることを教えてください。

患者さんを長い目で診て、一人ひとりの人生を考えて診療することですね。例えば、血糖値が高い患者さんなら数値の改善をめざすことはもちろん大切ですが、お薬や治療のスタイルがその方にとって苦痛だとしたら、見直さなくてはいけないと思うんです。糖尿病は、制限するだけの病気ではありませんからね。病気を診る前に、その方の人生に目を向け、この治療が有益であるかを考えながら、治療を進めていきたいと思います。病気を治療するのは、あくまでも患者さんの人生をより良くするため。たとえ血糖値が少し高めでも、最終的に元気で天寿を全うしていただければ、うまくいったと言えるのではないかと考えています。
何でも相談できる場所として頼れる存在に
先生はとても丁寧で優しく、患者さんとの信頼関係が深いことが感じとれます。

当院の患者さんの多くは、ご夫婦、親子やきょうだいで来院してくださるので、ご家族全員と面識があるという感じです。そのため、例えば奥さまが来院した際に、旦那さまの最近の変化について相談を聞くこともできます。また、当院は内科だとわかっていても、内科の症状とは一見関係ない理由で来院される患者さんもいます。とりあえず診てほしい、相談したいと思っていただけるのも当院らしさかなと。患者さんの困り事を一緒に乗り越えることで、お互いの距離が縮まっているように感じるときはとてもうれしいです。
腎臓内科と循環器内科専門の外来を設けたそうですね。
私も総合内科専門医として腎臓疾患の鑑別や心臓エコーなどを行っていますが、あえて複数の専門科の医師の目を入れ、チームで患者さんをサポートできればと思い、専門の外来を設けました。2024年6月より、NTT東日本関東病院の腎臓内科の先生に週に1度、腎臓内科の専門の外来を担当いただき、糖尿病の合併症で腎機能の低下や蛋白尿のコントロール不良がある方などを診ていただいています。循環器内科の先生には週2回の専門の外来で、不整脈に対する内服やアブレーション治療、ペースメーカー治療の検討や、心筋梗塞のリスクが高い方の相談をしてもらうなどしています。また重い心不全の方なども担当してもらっています。より高度な治療が必要な場合に、診察を担当した先生の病院と連携を取れるのは、患者さんの安心につながると思います。
今後の展望を教えてください。

かかりつけ医として、健康診断で早期に病気を見つけて大事に至らないよう治療につなげる、その役割は非常に大切だと考えています。その上で専門家としては、的確で質の高い医療を地域に提供できるクリニックをめざしたいですね。看護師、管理栄養士、受付スタッフのチームワークの良さも当院の強みです。また、訪問診療も行っており、当院とご縁が結ばれた患者さんに対して、最後までそばでケアをして差し上げたいという思いがあります。日頃診ている医師がお宅に足を運ぶことで、患者さんやご家族に安心していただけるのではないかと思います。今後も可能な範囲で訪問診療を継続し、何でも相談できる場所として地域の頼れる存在でありたいですね。