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井出 広幸 院長の独自取材記事

大船心療内科

(鎌倉市/大船駅)

最終更新日:2025/07/23

井出広幸院長 大船心療内科 main

大船駅東口から徒歩約5分のビル3階に「大船心療内科」はある。ビル1階のテナント脇の細い通路の突き当たりからエレベーターに乗ると、到着するのは立体駐車場の1フロア。まさに駐車場だ。整然と車が並ぶ先を見ると、同院の明かりが温かく灯っている。まるで隠れ家のようなクリニックだ。ここは大船エリアで20年にわたり心療内科診療に携わってきた井出広幸先生が、2022年に開業。「私は“トラウマ屋さん”です。心の傷を治し、生きづらさを治すことが理念です」と井出院長。開業時よりもそうした信念がよりクリアになったと力強く語る。そんな今の「大船心療内科」の在り方と井出院長の精神科医療に対する思いを聞いた。

(取材日2025年6月11日)

あらゆる人々の「生きづらさ」に向き合う

あらためて、2022年に開業された際の思いについてお話しいただけますか?

井出広幸院長 大船心療内科1

私はもともと消化器内科の医師として診療をしてきたのですが、その中で心の問題に起因する症状の存在に気づき、これまで約25年にわたって、身体の不調の診察と並行して、心療内科の分野で心の不調を診察してきたんです、その際、心と身体の両面から症状を診てきました。加えて、うつならば抗うつ剤、不安に対しては抗不安薬、双極性障害があれば気分安定薬、幻覚・妄想には抗精神病薬などを組み合わせて処方し、副作用を乗り越えながら症状の緩和を図るというのが、現在の精神科分野のベーシックな診療方法なんですが、私は、可能な限りお薬に頼らない方法をお勧めしています。それを臨床で実践する場として開業したのが当院なんです。

そこからどのような点が変わられたのですか?

いえ、むしろ、開業以来、われわれ医師や看護師はもちろん、精神保健福祉士や公認心理師らがそれぞれ高い専門性を発揮しながら患者さんを支えて実践してきたことで、「生きづらさを治すための心の傷屋さんである」というアイデンティティがより明確になりました。大きく変わった点といえば、開業当初より当院に併設して行ってきたデイケアのスペースが広々となり、さらに、当初は「リワークデイケア」をうたって、心の調子を崩した会社員の方限定でリワークのお手伝いをしていたのが、今はすべての皆さんに向き合うようになりました。主婦の方も、学生さんも、お子さんも……ひいては、それは親御さんの側に問題があったりもするケースもなど、とにかくあらゆる方々の生きづらさを診ましょうと。診察と、すべて保険診療で行うデイケアの二本柱です。

休職の方は会社から受診を勧められると思うのですが、一般の方は何を目安にすればいいんでしょう?

井出広幸院長 大船心療内科2

例えば、端から見れば毎日普通に過ごしている方でも、なんかモヤモヤしていることってありますよね? 「自分ってこれでいいのかな?」って迷ったりもする。そんな状態でも、どうぞぜひいらしてください。「よく眠れていますか?」「お仕事には行けますか?」「ご家庭は問題なく成り立っていますか?」と伺って、お薬を処方したり、安心感を与えたりするのが一般的な精神医療の姿勢です。当院も、病名をつけるところまでは、同様です。違うのは、「なぜそうなったのか」というところまで診ていく点。本来の自分の心に傷を負った状態なので、その痛みを取るのではなく、心の傷そのものをケアするということに重きを置いています。そうすることで本来の自分になれると考え、そこから自分の生きたい人生を生きていってほしい。そういうことを考えてサポートしています。

誰もが自分を認めて良い状態をめざせるデイケアを併設

実際の診察はどんなふうに進んでいくのですか?

井出広幸院長 大船心療内科3

まず初診はしっかり時間を取ってじっくりお話をします。だいたい40分程度はかかります。その前提になる問診票をしっかり書いていただきます。これがA4で15枚程度あります。初診を踏まえて2回目では同じくA4で10枚程度の問診票を書いていただき、10〜15分の診察を行います。これまでの経験上、おおよそ2度目から3度目の診察で、患者さんがどんな心の傷をお持ちなのか、わかってくると考えています。心療内科ではそうしたトラウマにふれないように診察することが一般的だと思いますが、それに起因する症状だけでなく、原因となる心の傷を根本から解決することをめざしていますので、やはり時間はかかります。

その後の診察はどのように展開するのでしょうか?

患者さんそれぞれの状態に合わせて通院スパンは変わります。診察室では見立て、つまり、「あなたは今どんな状態なのか?」「なぜそうなっているのか?」「最終的にはここをめざしていて、今は全行程のどこにいるのか?」ということをお伝えし、「今後こういうことに取り組んでいくと、こうした変化が現れると思いますよ」という方針を説明・共有し、納得していただくのが診察の機能です。また、受診した患者さんにはデイケアをご案内します。当院のデイケアは朝9時から午後3時まで平日毎日行っていますが、休職中の方や学生さんでもなければ、ずっと来ていただくことは難しいと思います。なので、“教習所”のようなものだと考えてください。それは随時来ていただくことが可能で、皆さんの段階に合ったそれぞれとの向き合い方をすることができる、という意味です。

デイケアでは具体的にどのようなことを行うのですか?

井出広幸院長 大船心療内科4

スケジュールの例としては、朝9時30分にチェックインして瞑想をしたら、夏バテ対策のレクチャー。昼食後にヨガを行い、振り返りと自律訓練の方法を学んで15時30分に終了という内容です。そして、内容は毎日変わります。自分自身のことをきちんと認めて自分を愛することができると、周囲との人間関係も満たされて、生きづらさも少なくなっていく……というのが私たちのポリシーなんです。生活習慣などを整え、ありのままの自分を受け入れ、自分の感情を解放するワークを行って、自己肯定感を高めて、自分をきちんとケアしましょうと。実に当たり前のことからはじめて、精神的な苦しみを軽減するための認知行動療法やマインドフルネスも取り入れたプログラムを行っています。

すべての人が来院しやすいクリニックに

非常に実践的で現実的なデイケアなんですね。

井出広幸院長 大船心療内科5

「しっかり食べてよく寝て安心できる」ということを丁寧に行うだけで人の状態は改善が図れ、癒やしと成長につながっていくと思っています。それをここで体験し、皆さんにも実践していただきたいと考えています。もちろん患者さんそれぞれの持つ心の傷は違いますし、デイケアに通われた回数によって治療の段階も異なります。ただ、デイケアで行っている多くの段階は、この心の傷を受け入れるための基本動作、下地づくりのようなものです。丁寧に心理的柔軟性を鍛え、自分の心をちゃんと自分のものとして機能する状態にできたなら、個々の心の傷に向き合うことができると思っています。例えばバレーボールなら、サーブやレシーブなどの基本的な動きを練習し身につけたら試合に出られますよね。同じように訓練をして初めて、それぞれのトラウマ治療という最後の試合に望めます。でも、その手前の訓練を行うだけでも状態の改善につながることもあるんですよ。

鎌倉・藤沢地域の生きづらい皆さんを救うための活動も行われているそうですね。

まあ、特別なことではありませんが、就労支援施設や高校などで定期的に講演を行い、「生きづらさを感じることは特別なことではない」という啓発活動ですね。また、鎌倉女子大学さんの臨床心理室とは連携を取って、サポートを行っています。

では最後に、あらためて読者の皆さんにメッセージをお願いします。

井出広幸院長 大船心療内科6

何かしら、「生きづらさ」を感じていらっしゃる方は、どなたでもどうぞいらしてください。当院は、秘密基地のような立地で、人目を気にせず来院いただくことができますし、これまで心療内科や精神科を受診したことのない方でも、臆することなくお越しいただけると思います。また、当院には女性医師を含む5人の医師が在籍しています。話しやすいタイプの医師に診てもらうこともできるでしょう。もちろん、これまでいくつかの精神医療機関を巡って納得のいく答えが得られなかった患者さんも歓迎します。気軽にスマホから診療予約ができますので、ぜひお越しください。

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