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土屋 浩史 院長の独自取材記事

つちや小児科クリニック

(尼崎市/塚口駅)

最終更新日:2023/06/21

土屋浩史院長 つちや小児科クリニック main

阪急神戸本線塚口駅の北側すぐ、阪急伊丹線の車窓からも見える「つちや小児科クリニック」。優しい色合いの外観やロゴマークは、子どもや保護者の不安を和らげてくれそうだ。院長の土屋浩史先生は、大の子ども好きで、地域の中核病院で長年にわたって新生児の診療を担当してきたドクターだ。「子どもや保護者が気軽に医療にアクセスできるように」との思いから、開業を決意したという。現在は、新生児から思春期の子どもやその保護者まで幅広い年齢層の患者を受け入れ、初期治療や予防接種などを実施している。日曜も診療を行うなど受診しやすさに工夫を凝らし、「地域の親子から頼られる小児科でありたい」と穏やかな笑顔で話す土屋院長に、診療内容や小児診療への思いを聞いた。

(取材日2022年8月10日)

気軽にスムーズに受診できる町の小児科をめざして

開業までは、主に新生児の診療を担当されていたと伺いました。

土屋浩史院長 つちや小児科クリニック1

もともと子どもが好きだったので、迷わず小児科を選択しました。研修を終えた後は、北摂や堺にある地域基幹病院の小児科で新生児、中でも早産児や病気のある赤ちゃんの集中治療に取り組みました。こういったお子さんは感染症にかかりやすかったり、日常的に医療的なケアが必要だったりするので、退院後も外来でフォローしています。ただ、ちょっとした体調不良や相談事であっても、病院では外来の時間が限られていたり、待ち時間が長かったりします。ですので、そのようなお子さんをもっときめ細かにサポートしたい、気軽にスムーズに受診できるような環境をつくりたいと思うようになったんです。塚口はファミリー層が多く、徒歩や自転車でも通いやすい立地であったことが決め手になり、この場所で2021年12月に開業しました。

クリニックの内装や設備でこだわったことはありますか?

限られたスペースの中で、お子さんが少しでも明るい気持ちになれて、かつ安全な医療環境であることを重視しました。院内は明るくかわいい印象の色合いにして、ミニカーや人形なども飾り、遊び場や幼稚園のような雰囲気にしています。トイレにはおむつ交換台を設置し、授乳室もあります。ロゴマークは、妻と娘が描いた日本で疫病封じの妖怪とされている、アマビエをデザイン化したものなんですよ。また、発熱した方や感染症に罹患した患者さんと他の患者さんの動線を分けています。検査に関しては、血液検査の分析機器、エックス線や超音波検査、心電図、スパイロメーターなどを導入し、重大な病気を見逃さず、ここで治療できるのか大きな病院へ紹介するのかを適切に見極められるようにしています。

診療内容や患者の対象年齢を教えてください。

土屋浩史院長 つちや小児科クリニック2

地域のお子さんやご家族が、健康面での心配事を気軽に相談できるクリニックでありたいと思い、小児科と内科で幅広い症状に対応しています。小児科というと一般的には中学生までですが、最近は成人への移行期まで小児科で対応する必要性も指摘されており、ご希望があれば高校生の診察も行います。診療については、お子さんではアレルギー症状や、季節によってはあせもなどの皮膚トラブルが多いですね。それから、予防接種は病気を防ぐという意味では小児科の基本ですので、定期接種はもちろん任意接種も積極的に実施しています。早産児や基礎疾患があるお子さんに必要なRSウイルス感染症の重症化を抑制する目的でパリビズマブの投与も行っています。大人の診察は、お子さんの親御さんを想定しており、お子さんと同じ感染症にかかったり、お子さんを連れて受診することが難しかったりする方に対して初期治療や投薬を行います。

何歳であっても一人の人間として向き合う診療をめざす

専門である乳幼児の発達・発育相談について、詳しく教えてください。

土屋浩史院長 つちや小児科クリニック3

早産で生まれたり、病気のあるお子さんの発達の遅れを気にしたりして受診されるケースでは、大半は年齢相当で異常はないことが多いんです。ただ、親御さんやご家族は非常に心配されていますので、検査や診察をしてお話もじっくりお聞きしてから異常がないことをお伝えし、安心してもらえるように心がけています。また、医療的な介入が必要なお子さんもいますので、見逃さないように注意していますね。なお、自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)といったいわゆる発達障害に関しては、当院では詳細な心理検査・発達検査や薬物治療は行っていません。診察を行った上で、必要に応じて兵庫県立尼崎総合医療センターなど発達障害を専門的に診療できる医療機関にご紹介します。

アレルギーの診療にも力を入れておられるそうですね。

喘息については、患者さんがある程度の年齢であれば、スパイロメーターで呼吸機能を調べて症状をコントロールします。発作が頻繁に起こるようであれば吸入ステロイドを使用しますが、内服のステロイドが必要になる重度の患者さんについては、専門の医療機関へのご紹介を考えています。食物アレルギーでは、卵・小麦・牛乳に関するご相談が多いですね。問診から疑われる原因食材を推定して血液検査を実施し、その結果から原因食材をどこまで除去するか検討します。年齢が上がれば、再度、検査や負荷試験を行って食べられる量を見極めるんです。現在の食物アレルギーのガイドラインでは、食べられるものはできるだけ食べて、過剰な制限をしないことが治療と発達の両面から必要であるとされているので、その方針に準じて治療を進めます。

診察の際にはどのようなことを大事にされていますか?

土屋浩史院長 つちや小児科クリニック4

お子さんの場合、受診を嫌がって泣かれることも多いですし、より小さいお子さんなら話すこともできません。どうしても一方的な診察になりがちですが、大人を診るときと同じように目を合わせて話しかけ、痛みを伴う処置の際には「ちょっと痛いよ」と声をかけるなどのコミュニケーションは取っていますね。「患者さんが何歳であれ一人の人間である」、そのことを意識しています。また、患者さんや親御さんのニーズを的確に読み取ることも大事にしています。例えば、医師の目線では検査は不要であっても、保育所や勤務先との兼ね合いで必要とされている方には検査を実施しているんですね。ニーズに応える診療が、患者さんの安心感や満足度にもつながると考えています。

症状が長引く前に、時間をつくって受診してほしい

子どもの病気や受診に関して、先生が医師になられた当初と今とで違いはありますか?

土屋浩史院長 つちや小児科クリニック5

以前に比べると、子どもを診る休日診療所や夜間診療所が増えました。また各自治体では子どもの医療費助成を行っており、子どもの医療環境は総じて良くなったと思いますね。多くの親御さんも、お子さんの様子を見ながら早めに受診されているように感じます。ただ、共働きのご家庭が増え、乳幼児期から保育園へ預けるという時代の流れもあり、集団生活で風邪や感染症をもらって繰り返し受診する子が増えています。また、中にはお子さんの具合が悪くても仕事の都合でなかなか受診できず、症状が長引いている場合もあります。症状があるときには、なんとか時間をつくって早めに受診してほしいですね。

開業から半年が過ぎましたが、現在の実感はいかがでしょうか。

ご近所にお住まいの患者さんが少しずつ増えているように思います。私自身、この地域にご縁がない状態からスタートしたので、繰り返し受診してくださる患者さんからちょっとしたご相談があると、かかりつけ医として少しずつ地域のお役に立てているように感じられ、やりがいになっています。また、日曜日にも診療をしていて、新型コロナウイルス感染症の検査やワクチン接種も行っているためか、かなり遠方からもいらっしゃるのは予想外でしたね。

最後に、これから力を入れたいことをお聞かせください。

土屋浩史院長 つちや小児科クリニック6

まずは、地域に当クリニックをかかりつけにしてくださるお子さんを増やしたいです。お仕事を持っている親御さんも多いので、ぜひ日曜診療などもうまく利用してもらえればうれしいですね。それと同時に、今後ぜひ取り組みたいのが、医療的なケアが必要なお子さんへの訪問診療です。通院に苦労されているご家庭も多いので、そういったお子さんを多く診ている地域の中核病院や医師会と連携して、ニーズがあれば対応していきたいと思います。また、病児保育や放課後デイサービスなどにも関心があり、医療の面からさまざまな形でこの地域の子育てに貢献できればと考えています。

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