平田 英司 院長の独自取材記事
ひらた女性クリニック
(広島市南区/向洋駅)
最終更新日:2026/07/29
向洋駅から徒歩2分のビルにある「ひらた女性クリニック」。平田英司院長は、広島大学大学院で博士号を取得後、広島大学病院や四国がんセンターをはじめとする大規模病院で、産婦人科の医師として約30年にわたり研鑽を積んできた。2012年からは広島大学病院の診療講師・統括医長・医局長を、2020年からは東広島医療センターで医長を務め、2021年に開業。キャリアに裏打ちされた知識と豊富な人脈を生かし、婦人科腫瘍、産科、女性医学、不妊など幅広い分野で女性のトータルライフをサポートしている。「正しく、適切な診療・治療」がモットーという平田院長に、診療への思いから将来の展望までを聞いた。
(取材日2026年5月13日)
生理不順から周産期ケア、不妊の悩みまで幅広く対応
医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

父が消化器外科の医師だったことがきっかけかもです。父は外科医の常で不在が多かったですが、子ども時代に僕が指や頭を切って出血したときには、帰って来て自宅で縫合してくれたことがあり、頼もしかったですね。実は、祖父も開業医、曽祖父は軍医で、医療が身近にありました。
産婦人科を選んだのはなぜですか。
より専門性が高く、他の診療科の先生が対応できない分野を選んだらどうだと父にアドバイスをもらっており、当時は「ふーん」という感じで聞いていたのですが、実際に実習で全診療科を回ってみたら、産婦人科が一番興味深くピッタリ合致しました。双子のお産に立ち会い、母体が回復していく様子にも人体の神秘を感じました。産婦人科は、帝王切開などは人命に関わる手術もありますが、手術室で「おめでとう」と患者さんに声かけしたりすることも。そうした声かけは、他の領域ではあまり聞かないと思います。お産は真夜中になることもありますが、「体力的・精神的につらいからやめたい」という医師があまりいないことも、この仕事の魅力を表していると思います。
どのような患者さんが多いですか。

もともと婦人科が専門なので、開業前は、更年期の相談や、基幹病院からの術後患者さんのアフターケアが多いのかと思っていました。開業して約5年になりますが、実際には若い患者さんの生理不順や生理痛などの相談や、妊婦さんもおられますし、不妊治療のご相談もかなりたくさんあります。不妊に関しては、広島県の体外受精可の専門病院は数えるほどで、タイミング療法や人工授精は、僕のかつての人工授精研究の補助の経験を生かし、当院でもある程度対応しています。
キャリアを生かした専門分野の診療と豊富な人脈が強み
先生のご専門分野や強みは何ですか。

これまでの経験に基づいた、正しく適切な診療と治療に努めていることが強みだと自負しています。僕は日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医の資格を持っています。専門分野は婦人科ともいえるのですが、NICU併設病院での勤務歴があり産科にも精通していますし、不妊治療にも3年間携わり、人工授精については一からすべて対応していました。また、更年期症候群に加え、産後うつ、月経前症候群といったメンタル面にも関連する診療にもある程度対応できることが強みです。これらは精神科の知識が必要ですが、もともと精神科にも興味があり独学していましたし、精神科の医師と綿密に相談するシステムを作り対応しており、難しい場合は専門医師を紹介しています。
病院やクリニック間の連携も注力されているのですね。
患者さんをそれぞれの専門分野の医師に紹介する場合、どの先生が何が得意なのかをある程度把握している必要があります。僕は広島大学病院での上級医勤務が長かったこと、広島県産婦人科医会という開業医の団体の常務理事を務めていることもあり、地域の周産期産婦人科医療の現況に詳しいと自負しています。どの医療機関に何が得意な先生がいるのかわかっているので、適切な医療機関のご紹介につなげています。大学病院時代は教授とともに全国の研究会にも頻繁に出席していましたので、全国の婦人科系の教授陣の多くを存じ上げている点も強みです。
日帰り手術にも対応されているそうですね。

当院には炭酸ガスレーザー機器がありますので、さまざまな日帰り手術の対応が可能です。例えば、子宮頸部、つまり子宮の入り口のゼロ期のがんに対する円錐切除術の代替治療のレーザー蒸散術などです。術後の妊孕性を考慮すると、より低侵襲のレーザーで焼いたほうが良好な術後生活が見込めます。ただしレーザー手術には技術が必要で、経験した症例数によって技術に差が生まれます。四国がんセンター在籍時に、多くのレーザー治療とその研究・発表に携わっていたので、その経験を生かして対応しています。
患者との会話を大切に、個人に合った適切な診療を提供
先生の治療方針をお聞かせください。

独り善がりの独自の診療ではなく、広く認められている診療をきちんと行うことを心がけています。一般に診療には指針となるガイドラインがあり、有用性が認められている治療法がエビデンスに基づき記されています。それに沿って診療しますし、患者さんにも本をお見せして説明しています。患者さんから煙たがられても、医学的にベストと考えられる治療の提案をモットーとしています。例えば、がん治療における「標準治療」は、必要最低限の治療だと思われている方も多いでしょうが、実は標準治療はとてつもない費用と手間をかけて考え抜かれた治療方法です。お金をかければ最先端のもっといい治療を受けられると思われるかもしれませんが、中には怪しい治療もあるので、あくまで標準治療をお勧めしています。
診療の際に心がけていることは何ですか。
じっくり話を聞くことです。「出血や痛みはありませんか? ではまた3ヵ月後に来てください」と事務的な診療だと、本当は相談したいことがあっても話せないままになってしまいます。「最近どうですか?」という何げない会話から、病気の兆候や背景が見えてくることもありますので、特に慢性疾患の患者さんには、お話をよく聞くようにしています。結果的に待ち時間が長くなってしまう課題はありますが、広島大学病院にいた時から僕の話の長さは有名なので、ありがたいことに患者さん方もご理解くださっていますね。
今後の展望について教えてください。

向洋駅を含めたJR路線は現在鉄道の高架化の工事中で、あと数年で完成する予定です。そうなると他エリアとの行き来がしやすくなり、人の流れも変わりますから、より広域の女性のトータルライフをサポートしていきたいですね。今後はアフター50の婦人科的なヘルスケアを、もっと充実させていきたいと思っています。婦人科とのお付き合いは、閉経したら終わりではありません。年齢を重ねてからの女性特有の不快感や悩みなどにも対応していますので、諦めずに相談してほしいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。
痛そうだから、恥ずかしいから、産婦人科に行きたがらない人はたくさんいらっしゃいます。症状がある人のうち、2~3割ほどしか受診されていないのではないでしょうか。当院は、「痛くない・ストレスがない診療」をめざしています。特に、子宮体がんの検査は痛いというイメージがありますが、僕はどうしたら痛くないのか、どんな診療が痛いのかをずいぶん研究し、若手医師にも指導してきました。内診台も、拘束感を軽減するために足首だけを固定するタイプのものを導入し、内診台に上がる時間もなるべく短くなるよう配慮しています。内科で改善されない貧血の原因の多くが、実は過多月経だったという事例もあります。他の診療科に比べてハードルが高いかもしれませんが、ぜひ思いきって受診してほしいですね。

