松村 奈津子 院長の独自取材記事
ルアナクリニック
(中央区/東銀座駅)
最終更新日:2022/12/08
東銀座駅から徒歩3分の場所にある「ルアナクリニック」。ルアナはハワイ語で「皆で同じ空間に集って楽しむ、癒やされる」という意味を持つ。その言葉のとおり、同院はまるでホテルのラウンジやスパのような快適さが特徴で、ここが都会のクリニックだということを忘れてしまいそうな、ゆったりとした時間が流れている。松村奈津子院長は、これまでの大規模な病院での治療経験や専門的な知識と技術を活用しながら、今度は赤ちゃん、子育て世代、高齢者といった幅広い患者に寄り添ったオーダーメイドの診療を提供していきたいと話す。「ふらっと立ち寄り、気軽に相談して、癒やされて帰っていただける、そんな場にしたいです」と穏やかな優しい笑顔を見せる松村院長に、クリニックに込めた想いを聞いた。
(取材日2022年3月4日)
ふらりと立ち寄り癒やされ笑顔で帰れるクリニックに
まずは、開院に至った経緯を先生のご経歴も交えてお話しいただければと思います。
近畿大学医学部を卒業後は同大学附属病院と、奈良県にある分院に8年ほど勤務していました。後者は大学病院なので難しい症例の患者さんもいる一方で、擦り傷など軽症の患者さんも気軽に受診できる地域の病院としても機能していて、廊下で立ち話をしたり患者さんとの距離感がとても近いところでした。結婚を機に東京に移り、美容クリニックの院長を務めながら、総合病院の形成外科で非常勤で働いたりしていましたが、大きな組織だったせいか患者さんとの距離感を感じていました。私の理想は、一歩踏み込んで、生活や人生といったその方の背景をしっかりと把握した上で最適なオーダーメイドの治療を提案するというスタイルの診療です。それができる空間を自分でつくりたいと思ったことが開業するきっかけになりました。
どのようなコンセプトのクリニックなのでしょうか?
ルアナはハワイ語で「皆で同じ空間に集って楽しむ、癒やされる」という意味です。この言葉のように、ここに来て楽しい気持ちで癒やされて帰っていただくというのが当院のコンセプトです。治しに来る場所というよりは楽しかったり癒やされたり、ちょっと行きたいなと思える場所にしたいと思っています。私自身が患者としてクリニックを受診したときに一番壁を感じるのが受付のカウンターでした。ここからは入ってこないでくださいという感じが苦手で、アウェー感があって落ち着かない。カフェのように、自分だけの空間ではないけれど自由に、待っている間もくつろいでいただけるようにしたくて、受付のカウンターは設置しませんでした。当院は完全予約制で、どの時間に誰が来るかを把握しており、基本的にはお出迎え、治療、お会計などはほとんど私が対応することで患者さんとの時間をつくるようにしています。
診療面での特徴はいかがでしょうか?
日本形成外科学会認定の形成外科専門医の資格を持っていて、外科系の手術とレーザーによる治療を得意としています。具体的には全身麻酔の必要のないけがややけど、眼瞼下垂の手術や、できものの切除やレーザーによる除去のほか、皮膚科、小児の皮膚科など、形成外科の専門的な知識を生かしていろいろな症状に対応しています。美容に関するご相談にも対応していますよ。また、赤ちゃんのあざの治療に力を入れていきたいことから、メラニン系の黒いあざも血管系の赤いあざもどちらも治療できるように、それぞれの治療に必要な機械を設置しているのも特徴的だと思います。ご相談に来られた人にとっての最適な治療を提案していきたいですね。
患者の話を聞き、要望をできる限りかなえていきたい
とてもすてきな内装ですね。こだわりの点をぜひ教えてください。
こだわったポイントの一つとして、待合スペースの小上がりがあります。赤ちゃんを連れていると畳のほうが座りやすいですよね。まだ寝返りをしていない赤ちゃんはそこで寝てもらったりすることもあります。一般的に赤ちゃんのためのスペースは転倒防止の観点から床に近い低い所に作られていることが多いですが、できれば地面から高さのある上のほうに赤ちゃんを寝かせたいですよね。そういったお母さんの気持ちを大事にしました。男性があぐらをかいてくつろいでいらっしゃる姿も見ますね。また奥の個室には大きなモニターを設置しました。ここに検査や治療の画像を映し出し、マスクをしながらお顔のしみの話をすることも可能です。大きな画面で確認することで、治療への理解もより深まるのではないかと思います。
患者さんへの対応で心がけていることはありますか?
私自身が一番苦手なのが臨機応変さのないマニュアルどおりの対応です。まずはご要望を聞いてから、どうしたらそれをかなえてあげられるかを考えるようにしています。私の理想はホテルマンの接客で、「無理です」と言うことは極力避けるよう努めています。もちろん、医療的にここは譲れない、物理的に難しいという部分はあるのですが、診療のタイミングや診療の内容などから、患者さんにとってより良い方法をご自身で選んでいただくようにしています。どれを選ぶのが良いか迷われるときにはこちらが助言をしますが、一方的にならないように一緒に考えて、患者さんの要望に近い形にしていくことがプロとしての私の仕事だと思っています。
患者さんの本音を引き出すために、どのように接していくのですか?
いろんなお話を聞くということでしょうか。まずは聞いて、それをかみ砕き、こういうことですよねという会話のキャッチボールを大切にしています。患者さんもご自身の要望をわかっていなかったり、年齢や状況、生活スタイル、お仕事の内容などで求めるものが変わってくることもあるので、話し合うことでその方の要望を明確にしていきます。普段ならどうでもいいようなことにも大切なことが隠されていることもあるので、私の家や患者さんの家のリビングでお茶をしながらお話をしているような雰囲気の中、じっくりと向き合っていくようにしています。
めざすのは少しの違いで大きな変化をもたらす診療
ところで、先生が医師をめざした理由は何だったのでしょうか?
私はもともと子どもが好きで保育士や子どもに関わる仕事をしたかったのですが、中高一貫の進学校で周囲の友人の多くが医師や弁護士をめざしていることに影響を受けて、小児科の先生もいいかなと思いだしたのがきっかけでした。叔父が開業医だったことも関係していると思います。でも、医学部に入ってから小児科で研修をしてみると、内科的で命に関わることも多く私としてはつらいこともたくさんあって。それに対して形成外科はお子さんの先天異常やあざを治療することによってQOL(生活の質)を上げ子どもたちを笑顔にできる良い仕事だなと思ったので形成外科を選びました。ジェネラリストとして形成外科一般を診療する中で、お子さんも大歓迎で診ています。
お忙しい中での休日の過ごし方や、先生の健康管理についてもお聞きしたいです。
キャンプが好きで新型コロナウイルスがはやる前までは、よく家族でキャンプや旅行を楽しんでいました。2歳になる娘が産まれてからはキャンプへは行けていないのですが、コテージやホテルでゆっくり過ごすことが多いですね。健康面ではピラティスを続けています。長男の産後は骨盤矯正もしましたが、自分の力ではできないので施術してもらわないと整いません。やはり自分で何かをしなければと思って5年ほど前に始めたのがピラティスで、2人目を産んで2ヵ月目から赤ちゃんの娘を一緒に連れて行っていましたね。ピラティスは私の体に合っているようで、体幹を鍛えて健康維持に努めています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
もともと患者さんと近い距離で診療したくてスタッフも最低限にしていますので、今後も私がメインで患者さんをお迎えするスタイルは崩さず、患者さんに寄り添う診療を維持していきたいと思っています。当院にはある画家の絵画が複数飾られているのですが、私はこの画家の作品が好きで、そこから内装のヒントを得ました。この作家さんはどの作品も“ちょっと違う、でもすごく違う”という作風なのですが、それは形成外科や美容外科にも通じるところがあり、大きな変化は好まないけれど少しの違いで大きく違って見える診療を大切にしていきたい、という私の想いにもマッチしています。画廊のように絵に照明を当てるなどの工夫もしていますので、お越しになったときは、くつろぎながら絵を眺めてみてくださいね。