水溜 美香 院長の独自取材記事
みか矯正歯科医院
(鹿児島市/鹿児島中央駅)
最終更新日:2024/09/25
2021年11月、国道3号線沿い・下伊敷に開業した「みか矯正歯科医院」。水溜美香院長は、凛とした印象だが、優しい笑顔で親しみやすい雰囲気をまとう。県内外のクリニックで小児から成人まで幅広い年代の矯正治療に寄り添ってきた水溜院長が、大切にしているのは、患者との密なコミュニケーション。悩みや要望を共有し、効率的に矯正治療が進められるようアドバイスをしている。自身も幼い子どもの子育て中ということもあり、子どもの矯正治療に付き添う保護者の相談を聞くことも多い。半個室の診療スペースは空間を広めに取り、差し込む自然光でリラックスできるよう配慮されている。「私も矯正を経験しているので、痛みや不快感はとてもよくわかります」と語る水溜院長に話を聞いた。
(取材日2021年11月26日/記事更新日2024年9月13日)
患者とのコミュニケーションを大切に
この場所で開業された経緯をお聞かせください。
大学卒業後、大学病院や矯正歯科医院で矯正治療の経験を10年間積んだ後、4年ほど県内外の歯科医院で矯正歯科医として勤務してきました。ある程度自由にはさせてもらっていましたが、クリニックごとの診療方針や治療機器があるため、「自分がこうしたい」という治療が100%でできないと感じ出し、開業しようと思い立ったのです。当院の階下にある高倉歯科医院でも勤務していたのですが、ちょうどここが空き「やってみないか」というお誘いをいただいたため、開業しました。矯正治療中に虫歯ができてしまった場合、虫歯の治療は当院では行わないため、かかりつけ歯科がない方には階下の高倉歯科医院をご紹介しています。同じ建物で虫歯治療と矯正治療ができるため、患者さんも通いやすいのではと思います。
どのような患者さんの矯正治療を行われていますか?
6~7割が小中学生で、3~4割が成人女性です。これまで、小学生くらいの子どもを中心に、上の世代だと60代、70代と幅広い年代の方の矯正治療を専門に行ってきました。最近では「アフターコロナになってマスクを外すようになり気になって」と矯正を始める方も増えています。やはり、見た目を気にしている患者さんが多いですね。ここでは、女性や子どもとそのお母さんたちが通いやすいような雰囲気づくりを心がけています。スタッフも私と女性歯科衛生士1人の少人数体制ですので、気兼ねなく相談くださいね。口元に自信が持てるようにサポートしていきたいと思っています。
治療をする上で大切にしていることを教えてください。
痛みや不快感をなるべく与えないように心がけています。矯正治療では力をかけて歯を動かしたり顎を広げたりしていくため、どうしても多少の痛みや違和感はあるのですが、患者さんにお話を聞きながらできるだけつらくないように、その方に合わせて微調整をしながら治療を行います。コミュニケーションが大切になりますので、治療開始前のカウンセリングで治療方針を共有して、ゴールを明確に設定します。そして、日々のケアで困っていることや経過を実感していただけるよう対話を重ねます。子どもの場合は、その子の性格も治療を左右しますので、保護者の話や診療の様子から「この子はこの治療器具を使って治療できる」「この子は難しいかもしれない」と治療方法を選択していきます。
子どもの矯正治療は、成長に合わせた選択を
子どもは、どのタイミングで矯正治療を始めると良いですか?
最終的な目標は、永久歯がきれいに並ぶことです。すべての歯が永久歯に生え替わるのがだいたい12歳くらいなので、そこまでにきれいに並べるような土台を作ることが重要です。最近よくお伝えしているのは、「中学校に上がる前に一度ご相談を」ということです。鹿児島では高校を卒業すると県外に出られる方も多いので、高校卒業までに歯並びを整えて安定させるまでの予定を組むことができたり、新しい生活に慣れてから装置をつけるなどのご相談も可能です。まだ治療には早いという場合は、定期的に来院していただいて虫歯チェックをしながら、適した治療開始のタイミングをお伝えできます。まずは、歯のクリーニングをしたり、歯磨き指導をしたりできますので、習い事感覚で来院していただき、少しずつ歯医者さんに慣れていただければと思います。
矯正治療はどのように行うのでしょうか。
小児の場合は、永久歯が生え替わるまでの成長期は1段階目の治療で、上顎と下顎のバランスを整えたり、顎が狭いと歯が並びきらないので顎を広げるための装置を使い、骨格にアプローチしたりという治療を行います。ここでは取り外しができるものや、取り外しできない治療器具を使用するのですが、患者さんに合わせたものを私が作製することもあります。2段階目は、永久歯に生え替わってから、歯に装置を着ける矯正となります。早いと小学校高学年、中学生の頃からスタートします。マウスピース型の装置を使うこともありますね。大人の矯正の場合は、歯を動かすのに2年半くらい装置を着け、装置を外してからは、後戻りを防ぐためのマウスピース型装置を3年くらい使っていただきます。
治療を理解してもらうため、工夫していることはありますか。
わかりやすい言葉で伝えること、模型を使って視覚的に理解を促したり、お口の中を自分で確認したり、ということをしています。小学生くらいになれば多くの子が理解してくれますが、ご自宅での保護者のサポートは欠かせないものです。取り外せない装置だとどうしても汚れがたまりやすいので、保護者の方にも定期的に器具のケアをしてもらう必要があります。大人の方もそうですが、歯ブラシ一つとっても、磨けばいいということではないので、道具の大事さや正しい方法を伝えています。成長期の小児の治療で用いる、取り外しができる装置は、子どもが好きなキャラクターのシールを埋め込んで作ることもありますよ。そうすることで、喜んで毎日使ってくれるようになるんです。患者さんのモチベーション維持のために、私にできるサポートはしていけたらと思ってのことですね。
見た目だけではなく、機能面・精神面の改善を
矯正治療にはどんなメリットがありますか?
見た目をきれいにすることが期待できるのはもちろん、機能的な面でのメリットも大きいです。子どもも成人も、歯並びが悪いと噛み合わせも悪くて、しっかり噛めていないことが多いのです。矯正治療で、噛み合わせの改善と歯への負担を軽減することをめざします。歯並びが整えば歯ブラシもしやすくなり、歯周病・虫歯の予防なども期待できるんですよ。また、発音や滑舌の問題の改善にも役立つでしょう。受け口の方は舌が低い位置にあることが多いので、正しい舌の位置を覚えてもらうトレーニングを併用して発音の訓練をする場合もあります。
矯正歯科の道に進んだのはなぜ?
手に職をつけてずっと働ける仕事を、と考えた結果、医療系の仕事に就きたいと思い大学は歯学部に進みました。そこでモニターとして歯列矯正を受けたことが、矯正歯科を専門に学ぶきっかけでした。もともと、自分の歯並びが好きではなかったのですが、矯正したことでコンプレックスの解消につながり、気持ち的にもポジティブになれました。歯並びが良くなると、人前で笑う時に口を隠さず笑顔になれますし、食事の時に気を使うこともなくなりますよね。患者さんが治療を頑張ってくれて良い結果が出て、喜んでくれることが歯科医師としてのやりがいを感じる瞬間ですね。患者さんやその保護者のお母さんたちと一緒になって喜んでいます。
今後の展望や、読者へのメッセージを教えてください。
通っている方に紹介していただけるようなクリニックにしたいですね。矯正は治療期間が長期化するものですので、患者さんとの信頼関係を大切に築いていきたいと考えています。なので、できないことはできないとお伝えしますが、それを「うそがない、信頼できる」と感じていただける方に通っていただければと思います。それから、何でも話してもらえるような場所にしたいですね。同じ女性としてきれいになりたいという思いはもちろん、私自身も子育て中なので、同世代のママ友達感覚でおしゃべりしていただければと思います。「歯列矯正は敷居が高い」「自由診療は怖い」と思われ、始めるのを迷っている方は、相談だけでも来ていただきたいと思っています。機能面での矯正によるメリットはあまり知られておらず、そういった部分も含めて矯正の価値を伝えていきたいと日々患者さんに向き合っていますので、是非お気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正(装置に関わらず)/38万5000円~、ワイヤー矯正/82万5000円、マウスピース型装置を用いた矯正/93万5000円、検査料3万3000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。