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井藤 博之 院長の独自取材記事

成瀬台耳鼻咽喉科

(町田市/こどもの国駅)

最終更新日:2021/10/12

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東急こどもの国線のこどもの国駅より徒歩約10分、「成瀬台耳鼻咽喉科」は、多くの緑に囲まれる住宅街の中にある。院長の井藤博之先生は、この地で28年間診療を行っているベテラン医師だ。以前は子どもの患者が圧倒的に多かったが、現在では少子高齢化により高齢者の割合が多くなったという。「難聴や嚥下の問題、長引く風邪症状などが多くなり、診療のスタイルもだいぶ様変わりしてきました」と井藤院長は語る。井藤院長は東京都耳鼻咽喉科医会の副会長としても活動し、クリニックで診療を行いながら、地域医療の発展のために尽力している。日々忙しいが、患者に常に寄り添う診療は開業当時から変わらないという。日々の診療から今後の課題まで、井藤院長に詳しく話を聞いた。

(再取材日2019年8月21日)

高齢者の難聴は認知症の危険因子

高齢化が進んでいますが、何かお感じになることはありますか。

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開業当初は子どもが待合室にあふれていて、「大人も診てもらえるのですか」と聞かれるくらい子どものほうが多かったんですが、最近では様変わりして、午前の診療はほぼ高齢の方が占めています。そして、高齢の方は耳鳴り・難聴・めまいや、喉の違和感、咳・痰・鼻水などが長く続いて来院される方が多いですね。慢性的な病気が多いので、根治は難しいことが多いんですが、よく理解して病気と上手に付き合って行くことが大切ですね。

こちらは補聴器についてのアドバイスにも力を入れていると伺いました。

先日、町田市の地域ケア会議に出席した際、補聴器を購入したけど合わないので、2台目、中には3台目と購入したが、結局使わずにいるという方がたくさんいるようで驚きました。聞こえていない状態が長く続いていると、それに脳が慣れてしまい、急に音が入ってくると脳はうるさく感じてしまいます。ですから、微調整を繰り返しながら徐々に音量を上げていき、脳を慣らしていくことが重要なのです。購入後の調整を患者さんにしっかり理解してもらわないと、せっかくお金を出したのに使えないということになりがちです。また補聴器購入の際は、専門的知識を持つスタッフがいる補聴器専門店での購入をお勧めします。当院でも数件の紹介先がありますが、購入後の細かい調整をしてサポートしてくれるだけでなく、調整した報告書が届くので、患者さんの状態を把握して、以後の診療にも役立てています。

難聴は認知症とも関係があるとお聞きしましたが。

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聞こえが低下するとコミュニケーションが図りにくくなり、思考することが少なくなります。そうなると、脳の中の言葉を理解する機能も衰えやすくなることから、認知機能の低下につながっていきます。ですから、補聴器の早期装用が重要になります。最近では、医療費控除が効くようになりましたが、今後もさらに助成金などが出るよう法整備を進め、補聴器を普及させていかなければ、超高齢社会を乗り切れないと私は思います。

誤嚥防止のための、嚥下トレーニングに注力

定期的に嚥下トレーニングを行っているそうですね。

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加齢で嚥下力が衰えると、飲み込んだつもりでも口腔内に唾液が残り、喉に違和感を訴える方が増えてきます。そして近年、誤嚥性肺炎や誤嚥による窒息で亡くなる方も増えています。これらは、飲み込む動作が弱くなることで起こりますので、誤嚥予防のためのトレーニングをすることが重要です。飲み込む動作は、喉頭(喉仏)をグッと押し上げる必要があるのですが、加齢とともに喉頭が下がってくるので、嚥下がうまくいかなくなってきます。そこで当院は定期的に少人数でのトレーニングを行っています。看護師がトレーナーなのですが、私も立ち会います。嚥下トレーニングは早いうちから行うことが大事です。現在は問題ない60代、70代の方でも、喉の機能と嚥下の仕組みを知ることが、飲み込むという動作の維持に役立つと思います。

嚥下トレーニングには先生も立ち会われるのですね。

はい。嚥下トレーニングを始めるまでは、長年通院されている患者さんでも診察以外ではあまり会話をする機会がなかったんです。ですが少人数の和やかな雰囲気の中でトレーニングをして、咽頭の位置がわからない患者さんと「ここですよ!」なんて会話をしていると、いつも忙しい診察とは違う関係性が生まれますね。これは、トレーニングをしてみて気づいたことです。また、トレーニング中には「医療は人を診てるんだ」とあらためて感じる時間でもあります。

耳鼻咽喉科はお子さんの受診も多いと思うのですが。

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1年を通してお子さんの受診は多いですが、特に花粉症の季節は増加しますね。低年齢化が進み、幼稚園に入る前から症状が出ているお子さんも増えています。また、大人もそうですが、アレルギーの体質があると風邪の後、鼻水や咳・痰が長引くことが多いです。そんな場合でも、耳鼻咽喉科では直接、鼻の粘膜や喉の奧を診ていますので、その辺の判断も含めて薬を処方しています。子どもの咳の原因として多いのは鼻水が喉に流れ落ちる後鼻漏なんです。現在の電子内視鏡は細いので乳児や幼児の狭い鼻腔でも検査が可能です。

大人でも風邪をひいたときは、耳鼻咽喉科を受診してよいのでしょうか。

大人も子どもも、風邪をひいて唾も飲み込めないほど喉が痛いときには、耳鼻咽喉科を受診していただければと思います。緊急を要する病気がある可能性があるからです。また、風邪の後に咳や痰、咽頭痛が長引く場合、上咽頭炎か副鼻腔炎の可能性があります。どちらも耳鼻咽喉科で処置が可能ですので、内科での検査で胸に異常がなくても、耳鼻咽喉科への受診をお勧めします。

高齢者を、地域内の連携で支えていくことが必要

患者さんと接する中で心がけていることはありますか?

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重大な病気を見逃さないよう正確な検査と診断に努めるのはもちろんですが、特殊な症例はすぐに専門家を紹介するようにしています。いろいろな病院の先生の得意分野を把握し、適した先生に紹介するようにしています。また患者さんには専門用語を使わずに、模型や絵、画像を使用してわかりやすく説明することを心がけています。地域のかかりつけ医として患者さんの思いに寄り添い、患者さんに「ここに来て良かった」と思ってもらえるような診療を行っています。

日々お忙しいでしょうが、休日はどのように過ごされていますか?

今は東京都耳鼻咽喉科医会の副会長の職に就いています。ですから休診日や診療後はクリニックの雑務とともにそちらの仕事もあり、休日や夜間も時間を取られてしまいます。休みが取れる時には家族で旅行をするなどしていますが、以前、医会に加え町田市医師会の活動を行っていた際、多忙から体を壊してしまったこともあったので、家族からは「もう少し自分の体のことを考えて」と叱られています。

現在、医療に関して問題に思っていることはありますか?

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以前、介護認定審査会の委員をしていたのですが、要介護4や5の独居の高齢者が多いのには驚きました。こういった方々の中には施設に入ることを希望せず、自宅で介護を受けている方もいらっしゃいますが、今はその頃よりももっと増えているのではないかと思います。当院の患者さんにも高齢で独居の方が増えていますので、スタッフともども、気を配るよう心かけてます。また、こうした方々を、地域のさまざまな職種の人たちで支えて見守っていけるよう、地域のケア会議も開かれており、私も参加しております。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

何でも気軽に相談してください。それが、町のクリニックですから。例えば「耳あかの掃除だけのために受診していいですか」とよく聞かれるのですが、まったく問題ありません。耳あかは絶対に取ってはいけないという情報も出回っていますが、人によると思います。取らなくてもまったくたまらない人もいれば、1ヵ月でたまってしまう人もいます。万人に同じ情報が当てはまるわけではありません。今はインターネット上に情報が氾濫し、偏った情報が独り歩きしてしまっていることがよくありますので、気になることがあったら気軽に受診してください。困ったことにしっかりと向き合い、不安を解消するのが町のかかりつけ医の務めだと思っています。

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