小野沢 基太郎 院長の独自取材記事
久里浜駅前マリン歯科口腔外科
(横須賀市/京急久里浜駅)
最終更新日:2026/09/15
京急久里浜駅のすぐ近くにある「久里浜駅前マリン歯科口腔外科」。虫歯や歯周病の治療、予防歯科に加え、親知らずや口の中のできもの、飲み込みにくさなど、歯科口腔外科の相談にも応じている。小野沢基太郎(きたろう)院長は、大学病院で舌がんなどの悪性腫瘍や顎顔面の外傷を診療し、救命救急、麻酔、栄養管理についても研鑽を重ねてきた。「口の中で困っていることには、幅広く向き合いたい」と率直に語る小野沢院長。院外では、子どもたちに勇気を届けるために、挑戦を続けるテニスプレーヤーを支援する一面も。小野沢院長に、開業から約5年を迎えた現在の診療状況や、口腔がんで注意したい変化、定期的に歯科医院へ通う意味について聞いた。
(取材日2026年08月10日)
一般歯科から口腔外科まで、身近な場所で一貫して診療
開業から約5年がたち、現在はどのような患者さんが通っていますか?

お子さんからご高齢の方まで、年齢層は幅広いですね。開業前は歯科口腔外科の相談が中心になると考えていましたが、実際には虫歯や歯周病など、一般的な歯科治療で来院する方もたくさんいらっしゃいます。親知らずの抜歯で来院された方から「メンテナンスもお願いできますか」と言っていただくこともあり、うれしく感じています。抜歯をして終わりではなく、その後の予防や治療まで同じ場所で診ていく。それが地域のクリニックとしての役割ではないでしょうか。噛む、飲み込むといった機能が衰える口腔機能低下症や、子どもの口腔機能発達不全症についても、状態を確認しながら対応しています。
先生が歯科口腔外科を中心に学んだ理由を教えてください。
口腔内には虫歯や歯周病以外にも、嚢胞や外傷、顎関節症などさまざまな疾患があります。例えば、虫歯の治療をきっかけに歯根の先の嚢胞が見つかったり、親知らずの抜歯が必要になったりすることもあります。せっかく自分を頼って来てくださった患者さんですから、お口の中で起きているさまざまな問題にできる限り対応したい。そんな思いから歯科口腔外科の道を選び、顎顔面領域の疾患について研鑽を重ねました。現在も一般歯科と歯科口腔外科を分けず、一人の患者さんを継続して診療しています。また、重度な悪性腫瘍などは、近隣の基幹病院と連携して治療を行っていきます。
大学病院では、どのような症例や治療を経験されてきたのでしょうか?

舌がんなどの悪性腫瘍をはじめ、顎顔面の骨折や外傷、炎症など、幅広い症例を担当しました。悪性腫瘍の診療では、手術だけでなく薬物療法や術後管理にも関わります。自分が手術した患者さんの血圧が急に上がったり、呼吸状態が変わったりしたときに、担当医なのに何もできないというのは嫌だったんです。それで救命救急科や麻酔科でも研鑽を積み、全体の管理を学びました。手術後に食べにくくなった患者さんには、嚥下のリハビリテーションや栄養面の支援も必要です。必要な栄養量を計算して、点滴などで補う栄養管理も自身で学びました。こうした嚥下と栄養、全身管理の経験を買われ、歯科口腔外科に所属しながら臨床栄養支援室の室長と栄養サポートチームの委員長を任された経験もあります。現在も、持病や服薬状況、普段の食事まで確認した上で診療方針を考えています。
初期症状を捉え、口腔がんの早期発見へ
舌がんをはじめとする口腔がんは、口の中のどこにできるのでしょうか?

舌がんという名前が知られているので、がんができるのは舌だけだと思っている方もいますが、そうではありません。口腔がんは、歯肉や頬の内側、舌の下にあたる口底、口唇など、口の中のさまざまな場所に生じます。初期には目立った痛みや出血がなく、口内炎だと思っているうちに変化が進むこともある病気です。粘膜が赤色や白色に変わっている、ただれている、硬いしこりや腫れがある場合も確認が必要でしょう。ただし、このような症状がすべて口腔がんというわけではなく、良性のできものや炎症の可能性もあります。見た目だけで判断せず、変化が続くときは診察を受けてください。
口内炎と見分けにくいとのことですが、どのような場合に受診すべきですか?
月並みな話ですが、2週間以上治らない口内炎は気にしてほしいですね。一般的な口内炎は時間とともに軽快していくため、2週間以上たっても治らない、痛みが和らがない場合は、一度診察を受けることをお勧めします。また、合わない入れ歯やとがった歯が粘膜に当たり、同じ場所に何度も傷ができる状態も放置しないほうがよいでしょう。粘膜が何度も傷つくことで腫瘍ができやすくなることもあります。入れ歯を調整するなど、繰り返し刺激が加わる原因への対応が必要です。口の中は鏡を使って自分でも見られます。時々、舌の側面や裏側、歯肉、頬の内側まで確認し、できものが大きくなる、色や硬さが変わるといった状態が続く場合はご相談ください。
御院では、口腔がんが疑われる病変にどのような検査や治療を行っていますか?

まずは症状が始まった時期や変化の経過を伺い、口の中を見て触れながら、病変の場所や大きさ、硬さなどを確認します。口腔がんが疑われる場合、確定診断には、細胞や組織を採取して顕微鏡で調べる病理検査が必要です。さらに、病変の広がりやリンパ節の状態を確認するため、CTなどの画像検査を行うこともあります。検査結果や全身状態によって、院内で手術できる範囲は異なりますし、入院設備のある医療機関での検査や治療が必要なケースもありますからね。「何でもうちで治療します」ということではなく、まず相談を受け、必要な検査や治療へつなぐ。それも地域の歯科口腔外科が担う役割だと考えています。
定期的なメンテナンスを全身の健康につなげる
症状がないときから歯科に通い続けることには、どのような意味がありますか?

虫歯や歯周病、口腔内の変化は、初期には自覚症状が乏しいことがあります。痛くなってから受診すると処置の範囲が大きくなる場合もあるため、何もない時から状態を確認しておくことが大切です。以前の状態と比較できれば、小さな変化にも気づきやすくなるでしょう。また、歯や口腔機能を保つことは、年齢を重ねても自分の口で食べる生活を支える上で欠かせません。健康寿命という言葉がありますが、長く生きるだけでなく、最後まで食事を楽しめることが大事だと私は思っています。今困っている部分だけを治療して終わりにせず、長い目で口の状態と機能を見ていきたいですね。
定期的なメンテナンスでは、歯科衛生士とどのように連携していますか?
当院の歯科衛生士は、みんな真面目で前向きなんです。非常に細やかな視点を持っていて、「先生、ここを見てください」「エックス線を撮ってはいかがでしょうか」と、積極的に提案してくれます。また、少しでも気になる点があれば率直に共有してくれます。患者さんのために必要なことを考え、基本をきちんと守ってくれるのでとても信頼しています。クリーニングで汚れを取り除くと、それまで見えにくかった虫歯などが確認できる場合があります。歯科衛生士が気づいた変化を私につなぎ、必要な検査や治療を検討する。この連携が、結果として患者さんの利益につながっていくと感じます。
歯科口腔外科に関わる症状も、普段の歯科診療の中で相談してよいのでしょうか?

もちろんです。治りにくい口内炎や口の中のできもの、親知らず、入れ歯が当たる痛み、飲み込みにくさなども遠慮なく伝えてください。血圧や心臓の病気、糖尿病などの持病がある方は、病状や服薬内容によって歯科治療で注意すべき点が異なるんです。必要に応じて通院中の医療機関と情報を共有し、当院で対応できるかを判断します。普段から通っている歯科医院であれば、以前の状態や画像と比較しながら変化を見ることもできますからね。「歯とは関係がないかもしれない」「痛くないから大丈夫」と決めつける必要はありません。口の中で困っていることがあれば、まずは話していただきたいと思っています。

