舟木 克枝 院長の独自取材記事
ぺんぎんキッズクリニック
(大阪狭山市/滝谷駅)
最終更新日:2025/10/15
大阪狭山市と河内長野市の市境近く。国道310号沿いに位置する「ぺんぎんキッズクリニック」は、2025年に開業から4周年を迎えた。院内にはメインキャラクターであるペンギンをはじめ、海の生き物のイラストがあちこちに描かれていて、子どもたちが自然と笑顔になれるような雰囲気を醸し出している。院長の舟木克枝先生は、総合病院の小児科医長や小児科クリニックの分院長を務めた経験豊富な医師。「帰る時には、みんな笑顔」をコンセプトに、地域の子どもたちの健康を見守っている。飾らない笑顔を見せる舟木院長に、開業のきっかけやアレルギー疾患への対応、乳児期のスキンケアの重要性などについて話を聞いた。
(取材日2023年6月8日/再取材日2025年9月18日)
子どもも家族も笑顔になれる場所をめざして
ペンギンのモチーフがかわいいですね。院名の由来を教えてください。

どんな名前にするかいろいろと考えたのですが、最終的には私がペンギン好きなので、ペンギンをクリニック名とメインキャラクターにしました。特に冬の南極で繁殖するコウテイペンギンは、ブリザードが吹く厳しい自然環境の中でも、親鳥が卵を大事に抱き続けることから「世界で最も過酷な子育てをする鳥」といわれています。そんなペンギンと同じように一生懸命に子育てをされているお父さんやお母さんの一助となって、地域の子どもたちの健全な成長を一緒に見守っていけるようなクリニックでありたいという思いを込めています。
クリニックのコンセプトについてお聞かせいただけますか?
当院のコンセプトは「帰る時には、みんな笑顔」。小さいお子さんたちに親しみを持ってもらえるように、メインキャラクターであるペンギンのぬいぐるみやグッズを院内のあちこちに散りばめています。子どもたちが、当院に行くことを「ペンギンに行く」と言って、喜んで来てくれるのがすごくうれしいですね。近隣の幼稚園に健診に行くことがありますが、当院に通っている子どもたちが「あ、ペンギン先生だ!」と話しかけてくれることも。もちろんお子さんだけでなく、ご家族にも笑顔になって帰っていただけることをめざしています。受診後には心配事が少しでも軽減し、明るい表情になってもらえるようなクリニックでありたいですね。
開業までの経歴についてお聞かせください。

関西医科大学医学部を卒業後、小児科学講座に入局しました。小児科を選んだのは、女性医師が活躍しやすい分野だと思ったから。眼科や皮膚科も女性が多い分野ですが、私は全身を診る科に進みたかったため小児科を選択しました。入局後は大学病院や総合病院で経験を積み、3つの病院では医長も務めました。そろそろ独立開業したいと考えていた時、先に開業していた大学の後輩に相談したところ、「ちょうど新しく分院を立ち上げることになったので、分院長をお願いしたい」と打診があったんです。すごいタイミングだと思い、これも何かのご縁と思ってお引き受けして、分院長を5年間務めた後に当院を開業しました。
アトピー性皮膚炎をはじめ、各種アレルギー疾患に対応
クリニックにはどんな患者さんが来られていますか?

当院は0歳児から中学3年生までのお子さんを対象としています。小児科とアレルギー科を標榜しているため、発熱・咳・鼻水・嘔吐・下痢といった内科系の症状や、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・食物アレルギーといったアレルギー疾患など、幅広い患者さんが来院されています。感染症に関しては、発熱・感染症状の患者さん専用の出入り口や隔離室、経過観察室を用意し、皆さんに安心して受診していただけるような環境づくりを徹底しています。また、大阪狭山市・河内長野市・富田林市の予防接種にも対応しており、ワクチン専用の時間帯や専用の待合室を用意しているため、安心して接種に来ていただけると思います。さらに、接種時にスキンケアや育児の相談にも対応しているため、別日に外来受診していただかなくても大丈夫です。
特にアレルギー疾患をご専門とされているそうですね。
総合病院の小児科医長、小児科クリニックの分院長を務めていた際に、アレルギー疾患の診療経験を多く積みました。当院では特にアトピー性皮膚炎で受診される患者さんが多く、原因・悪化因子の特定と探索、スキンケア、薬物療法の3つを基本に対応しています。食物アレルギーに関しては、完全除去ではなく、症状に注意しながら食べられるものを徐々に取り入れていく方針のもと、食事指導を進めています。また、重度の食物アレルギーの患者さんについては、大学病院などの専門機関と連携を図っています。その他の疾患についても、内容に応じて適切な紹介先を選定し、通院のしやすさなども考慮しながら、患者さんと相談の上で決定しています。
乳児期のスキンケアについて詳しく教えてください。

食物アレルギーは皮膚からの感作が原因とされていて、肌が荒れていると将来的な食物抗原への反応リスクが上がる可能性があります。特にアトピー性皮膚炎があると肌のきめが乱れ、食物抗原が侵入しやすくなるため、アレルギーが発症しやすくなります。そのため、乳児期から早めに皮膚を整えることが重要です。スキンケア指導として、年齢、皮膚症状に応じた軟膏の塗り方や減量の方法(プロアクティブ療法など)を説明しています。食物アレルギーの発症や連鎖を防ぐためにも、こうした早期のスキンケアや、乳児期のアトピー性皮膚炎の治療を積極的に行っています。
スタッフ全員が女性、育児の悩みも気軽に相談を
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

お子さんに対しては雑談を交えたり、目の高さを合わせたりして、安心して受診してもらえるように心がけていますね。また、診察後も診察室の扉が閉まるまで「バイバイ」と手を振って笑顔で見送るようにしています。ご家族に対して心がけていることは、常に話しやすい雰囲気をつくること。私がこてこての大阪弁でしゃべっているのもあって(笑)、おそらく質問などもしやすいのではないかと思います。「関係ないんですけど、もう一つ聞いても良いですか?」と、気になることがあれば尋ねてください。主訴とは直接関係のないことでも、気軽に相談していただけるような雰囲気をつくれたら良いなと思っています。
患者さんやご家族が話しやすいように意識されているのですね。
お子さんのお母さんから「女性だから話しやすい」と言っていただけることはよくありますね。小学校高学年から中学生くらいの女の子だと、男性医師よりも女性医師に診てもらいたいという方もいらっしゃいます。当院は私を含め、看護師も受付スタッフも全員女性なので、そういった面での受診のしやすさもあるかもしれません。小児科での勤務経験があるスタッフばかりで、お子さんやご家族に対する接遇も安心して任せられますね。ちなみに当院のスタッフは、看護師も受付も皆同じユニフォーム。「看護師だから」とか「受付だから」とか関係なく、皆で同じ立場から子どもたちを見ているという意味を込めて、全員同じユニフォームを着ています。
ドクターズ・ファイルに掲載後、うれしい反響もあったそうですね。

ドクターズ・ファイルには「医療機関へ感謝の声を送る」というメッセージフォームがあるのですが、そこへ、以前他の医療機関で勤務していた時代に担当した患者さんからメッセージが届きました。「この記事を通して開業されているのを知って、あの頃は本当にお世話になりました。ありがとうございました」といった言葉をいただきました。記事をご覧になって、わざわざメッセージまで送ってくださったのだと思うと、本当にありがたい気持ちになりますし、とても励みになります。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
おかげさまで開業4年目を迎え、継続して通ってくださる患者さんも多くなりました。一方で、予約がいっぱいになってしまい、待ち時間が長くなるという課題もありますので、今後はその対策を検討していきたいと考えています。これまで七夕には笹の葉と短冊を用意したり、ハロウィーン仕様に飾ったり、クリスマスには風船をプレゼントしたりするなど、子どもたちが楽しめるような企画を行ってきました。今後も楽しい取り組みを考えていきたいです。また、流行している疾患の情報なども、SNSを通じて発信しています。これからも、患者さんやご家族が笑顔になれるクリニックをめざして、スタッフ一同で頑張ってまいりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

