子どもの低身長症の原因はさまざま
早期の診断と治療開始が大切
ながいキッズクリニック
(宝塚市/宝塚駅)
最終更新日:2024/09/18


- 保険診療
子どもの成長はうれしい反面、周りの子どもとの違いや差を心配することも多いのではないだろうか。特に身長は、運動能力などにも影響するため、親だけではなく、子ども自身も気にすることが多い。身長が低いことの原因はさまざまだが、中には病気が原因によることもあり注意が必要だ。低身長症にはどのような原因や治療があるのか、小児内分泌系疾患に精通する、宝塚市の「ながいキッズクリニック」永井正志院長に話を聞いた。
(取材日2021年11月13日/情報更新日2024年9月12日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q低身長症とはどのような状態を示すのでしょうか。
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A
低身長かどうかは、同じ性別、同じ年齢の子どもさんと比較して評価されます。そのため、幼稚園や保育園、小学校などの集団健診で気づかれることが多いです。病気が原因で身長が伸びないことがあるため、まずはなぜ低身長なのか、原因を探り、診断することが非常に重要です。診療や治療対象となるのは、低身長の患者さんの2割程度で、残る8割は家族性や体質性によるもので、治療することができません。そのほか、食物アレルギーや食の好き嫌いによる栄養不足や、睡眠障害によって発育が遅れているケースがあります。食事の亜鉛不足の場合はお薬で補充できますし、食生活や生活習慣の改善によって成長が期待できることもあります。
- Q低身長症の原因疾患を教えてください。治療方法は?
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A
原因疾患としては、成長ホルモン分泌不全性低身長症(下垂体性小人症)、甲状腺機能低下症、遺伝性のターナー症候群やプラダー・ウィリ症候群、軟骨無形成症や軟骨低形成症などの骨や軟骨の病気、慢性腎不全など心臓・肝臓・腎臓などの臓器の異常などがあります。あと、子宮内発育不全であるSGA性低身長症も治療適応ですが、これは産院などでフォローがされて多くは自然に改善するものの、まれに低身長が持続して3歳以降から治療されています。これらの病気では、ご自宅で毎日、成長ホルモン補充の注射を行うことで身長の伸びの改善を図ります。
- Q治療期間はどれくらいでしょうか。
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A
成長ホルモン分泌不全の場合、最初の2年間が治療成果を望みやすいため、思春期が始まるまでに2年間治療するのが良いとされています。小学校入学時点で治療対象となる場合、同性別・同年齢のお子さんと比較して2学年ほど成長に差がある状態なので、小学校入学まで、できれば3歳〜5歳の間に治療を開始できるのがよいとされています。しかしその場合、治療期間が思春期を迎えるまで約10年間と長くなりますので、開始年齢はさまざまな面を考慮して決まります。小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となっています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1身長・体重の測定と問診
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身長と体重の測定をし、また、母子手帳や学校の成長記録によるこれまでの経過を確認する。
- 2エックス線検査
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エックス線で骨の発育状態を検査する。単に成長が遅いだけなのか、それとも病気が原因の低身長なのか、手などの骨の状態を詳しく精査し、診断につなげていく。
- 3血液検査
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血液検査で成長ホルモンが分泌されているかどうかを確認する。
- 4成長ホルモン分泌負荷試験
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成長ホルモンの値が低い場合は、分泌負荷試験を実施。試験当日は朝食を抜いて来院し、朝9時から11時まで、2時間かけて成長ホルモンが分泌されているかどうかを調べる。
- 5成長ホルモン補充のための注射
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成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された場合は、成長ホルモンを補充するための注射治療を行う。注射は1日1回。疾患によっては週に1回行う。クリニックに通う必要はなく、自宅で打つことができる。同院の場合、通院は月に1回、検査は3ヵ月に1回行っている。