篠岡 太郎 院長の独自取材記事
上井草内科・循環器クリニック
(杉並区/上井草駅)
最終更新日:2023/10/04
上井草駅南口より徒歩1分という場所に2019年に開院した「上井草内科・循環器クリニック」。感染症やアレルギーから高血圧・糖尿病といった生活習慣病まで内科全般に幅広く対応するとともに、篠岡太郎院長のこれまでの経験を生かし、心不全や不整脈といった心臓病治療においても専門性の高い医療の提供に努めている。過去には心臓の重症・希少疾患を診る医療機関でも研鑽を積み、弁膜症を学ぶために海外留学も経験したという専門家。「生まれ育った地域に貢献するために、地域の皆さんのかかりつけ医をめざしたい」と、穏やかな笑顔で話す篠岡院長。これまでのキャリアや、多忙な中でも患者とじっくり向き合うことを大切にするという診療スタンスのことなど、さまざまな話を聞いた。
(取材日2023年1月16日)
長年にわたり循環器疾患の先端治療を経験
まずはクリニックの開業までの経緯を教えてください。
以前から、開業するなら自分が生まれ育った杉並・練馬エリアで、と考えていました。大学病院に10年ほど勤務する中で開業を意識し始めた時に「上井草クリニックの先生が後継者を探していらっしゃる」と声をかけていただいたのです。そんなご縁で、2019年より「上井草内科・循環器クリニック」として新たなスタートをきりました。上井草クリニックの時代から引き続き通ってくださる患者さんに加え、ありがたいことに新たに来ていただく患者さんもたくさんいらっしゃいます。高血圧や糖尿病といった生活習慣病の患者さんが主ですが、そして私が専門とする心不全や不整脈といった心臓病の悩みを持つ方が、遠方から足を運んでくださるケースも増えてきました。
先生のこれまでの経歴について教えてください。
初めは東京医科歯科大学医学部附属病院、その後長野県の北信総合病院循環器内科で研鑽を積みました。専門病院の数が多い東京とは違って、長野県の総合病院にはさまざまな疾患を持つ患者さんが受診されますので、幅広い診療経験を得ることができました。そんな中、若くして重症心不全を患っている患者さんを担当する機会があり、「こういう方々を何とか救いたい」という気持ちが強くなりました。そこで、大阪府の国立循環器病研究センター心臓血管内科に勤務することにしました。この研究センターは心臓病の先端治療を実践する医療機関で、ECMOを用いた治療や心臓移植などの高度医療を学ぶことができました。幅広く診る長野県の総合病院と、重症疾患や希少疾患を診る研究センター、この2つの経験は非常に勉強になったと思っています。その後は東京医科歯科大学に戻り、約10年間勤務し、病棟医長などを務めましました。
その経験を生かし、こちらのクリニックでは心臓病治療にも注力しているそうですね。
風邪やインフルエンザなどの感染症、花粉症などのアレルギー疾患、睡眠時無呼吸症候群まで何でも相談していただける地域の「かかりつけ医」をめざしていることはもちろんですが、冠動脈疾患、心不全、不整脈、弁膜症といった心臓・血管等の循環器疾患にも対応しています。毎週水曜日の午後は私の母校である東京医科歯科大学との連携により、不整脈専門の外来も行っております。大きい病院に行くのはハードルが高いかもしれませんが、当院のような身近なクリニックで心臓の悩みに専門的な対応ができれば、より多くの患者さんの助けになれるのではないかと考えています。
充実した設備と経験で、高水準の検査・治療をめざす
心臓疾患には具体的にどのような診療を行うのでしょうか?
まずは問診・身体診察をして、必要に応じて採血や心エコー、エックス線といった検査を行います。検査結果を迅速に出せるように体制を整えており、心臓病の早期発見の指標となる「BNP」や心筋梗塞のマーカーとなる「トロポニン」という数値は15分程度で結果が判明します。これまでの経験を生かして、カテーテル・デバイス治療等についても適応を判断したり、説明したりすることができます。そして、病因や重症度によって、適切な医療機関に患者さんを紹介できることも当院の強みです。一言で心臓病治療といっても、冠動脈のカテーテル治療に力を入れている病院もあれば、不整脈治療に精通している病院もあります。長年心臓病の治療に携わってきましたので、そこで培った経験や人脈を生かし、適切な病院に患者さんをご紹介します。
生活習慣病治療にも精通していらっしゃると聞きました。
高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病治療にも力を入れています。生活習慣病が悪化すると、心筋梗塞や脳梗塞など心臓や脳の病気につながりますので、心臓病を予防するという意味でも、生活習慣病をコントロールすることは非常に重要です。当院では糖尿病内科も標榜しており、血糖・HbA1cの即日検査に加え、クリニックならではのこまやかな血糖管理、食事療法や運動療法を中心とした生活習慣管理の指導も行っています。加えて、適切な糖尿病薬の選択や血糖自己測定(SMBG)指導など、専門性の高い医療の提供に努めています。
診療の際に心がけていることを教えてください。
患者さんがクリニックにいらっしゃるのは、それなりの理由があるからだと思います。もし何も異常が見つからなくても、「何もないですよ」で済ませずに、患者さんに寄り添った医療を引き続き提供していきたいと思っています。患者さんが何に困っているのか、それに対して私たちは何ができるのかを考えてご提案できるようにしたいですね。あとは、時間の許す限りではありますが、患者さんのお話をじっくり聞いて丁寧に向き合うスタンスは今後も継続していきたいと思っています。
設備面にもこだわりがあると聞きました。
機器はかなり充実させましたので、超音波検査、心電図・ホルター心電図、運動負荷心電図検査、心肺運動負荷試験(CPX)、血液迅速測定検査などクリニックレベルでできる検査は網羅できていると自負しています。心肺運動負荷試験(CPX)は適切な運動強度を測るための検査です。CPXの数値を見ながら今後の治療方針を決めることができますし、心臓病を患った後の患者さんがどのぐらい日常生活で運動ができるかを測ったり、定期的に検査してご自身の心肺機能をチェックしていただいたりと、健康増進のためにも使うことができます。また、当院は早い段階から新型コロナウイルス感染症に対応する発熱者専用の外来を設けたこともあり、院内で迅速にPCR等の遺伝子検査ができる機械も計3台導入し、最短10分程度で検査結果をお伝えすることができるよう整備しています。
一人ひとりを丁寧に診ることを続けていきたい
先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。
私は中学・高校生の頃に水球をやっていたのですが、高校2年生の時に耳に大けがをしてしまい、「今後は水球をしないほうがいい」と医師に診断されてしまったのです。しかし、どうしても水球を続けたいという意思を伝えると、担当してくださった先生が私の希望をかなえるため熱心に治療方針を考えてくださいました。そのおかげで、高校生活の最後まで水球を続けることができたのです。そんなふうに、患者さんのために治療方針を親身に考えてくれるような医師に自分もなりたいと思ったのがきっかけですね。中でも循環器内科を専門にしたいのは、心臓病には即座に命に関わるような疾患で緊急対応を要することも多く、やりがいを感じたからです。
専門的な知識を持ちながらも、かかりつけ医としてオールマイティーに診ることも大切にしているのですね。
循環器を専門としていても、内科医であることに変わりはありませんから、ほかの内科領域をおろそかにせず、診療にあたっています。また、いろいろな悩みに対応できるクリニックであることで、地域に貢献したいという思いもありますね。自分はこの街に育ててもらったと思っているので、地域の皆さんのお役に立てるならば、できる限りのことをしたいと思います。
今後の展望を聞かせてください。
今来てくださっている患者さん一人ひとりを丁寧に診ること、そして適切な医療を提供すること。これが一番大切だと思いますので、今後も継続していきたいです。そして、医師は知識をアップデートすることが非常に重要だと思っています。そのためには勉強する時間も必要ですから、できる限り勉強会等にも参加して知識を更新し、地域の方々に還元できればと思っています。慣れ親しんだこの地域の医療に携われることをうれしく思っていますので、住民の皆さんの病気の治療はもちろん、健康増進のお役に立てるように今後も努めていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはPCR検査/1万2000円(診断書必要な場合+3000円)