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山城 惟欣 院長の独自取材記事

サンパーク胃腸内科クリニック

(浦添市)

最終更新日:2021/11/05

山城惟欣院長 サンパーク胃腸内科クリニック main

2021年9月に開院したばかりの「サンパーク胃腸内科クリニック」は、浦添市伊祖のメディカルビル5階にある。同院では沖縄県民の検診受診率を少しでも高めるべく、患者がストレスなく内視鏡検査を受けられるよう環境づくりに力を入れている。年間340日は内視鏡を握るという山城惟欣(これよし)院長は、自身の特性を「内視鏡の技術屋さん」との言葉で表現。クリニックの徒歩圏内に居住するというポリシーにも、勤務医時代から変わらない真摯な診療姿勢が表れている。検診の大切さを啓発する取り組みについて「沖縄出身の僕がやるべき使命」と情熱を燃やす山城院長に、自身のめざす医師像や診療への想いを語ってもらった。

(取材日2021年10月4日)

留学先でかけられた医師のひと言から、医療の道を意識

医師への道をめざそうと思われたきっかけは何だったのでしょう?

山城惟欣院長 サンパーク胃腸内科クリニック1

僕の父は工学、兄は物理と2人が理工系だったので、当初は何となくその方向に進むのかなと思っていました。そんな中で高校2年生の時、1年間イギリス留学へ。すると留学中に突然、全身にじんましんが出たんです。当時は初めての経験に驚いて、かなり不安でしたね。翌日にホームステイ先のかかりつけのクリニックへ駆け込んだのですが、その時にお世話になったドクターや看護師さんの対応が本当に素晴らしくて。ドクターの「外国から来て突然のことで不安だろうけど、もう何も心配することはないんだよ」という言葉で魔法のように安心したんです。これほど不安に怯えた一人の人間を、たったひと言で救えるのかと感動しましたね。その経験から「自分には医療のほうが向いているのでは」と興味を持ち始めたのがきっかけです。

その後、実際に医師になるまでの経緯もお聞かせください。

留学体験を振り返ると、自分が日本のことをほとんど知らないということを痛感しました。それに僕は小さい頃から好奇心旺盛な性格だったので、いろんなことを経験したいという想いも強かったんです。そこで留学後は福岡の高校に転入しました。それから大学の医学部へ進む際もいくつか候補があって悩みましたが、医師である友人のお父さまに相談したところ、「絶対に筑波大学に行きなさい」と強く説得をされまして。当時は日本の医学の歴史にも興味があって他大学にも願書を書いていたのですが、「医学とは伝統ではなく、“これから”を学ぶものだ」と。先進の設備や情報が集まる環境で勉強するべきだと説得されたんです。医師となった今は、良きアドバイスにとても感謝しています。現在もご縁は続いていて、その友人にはクリニックの顧問をしていただいているんですよ。

その中で、消化器内科を専門に選んだ理由は?

山城惟欣院長 サンパーク胃腸内科クリニック2

学生時代にいろいろな科を回りましたが、どの科も面白そうで専門科目を決められずにいたんです。それでも、いずれは故郷である沖縄に戻って貢献したいという想いがあり、卒業後すぐに沖縄協同病院に入職しました。こちらを学生時代に見学した際に、地域のために職員全員が懸命に頑張っている姿を見て、自分がめざすのはこんな医療だと思ったのです。また、当時はまだ少なかったスーパーローテート方式を採用していたので、さまざまな患者さんに対応するICUに初期研修から所属しながら、じっくりといろんな科で経験を積むことができました。その頃に消化器のドクターがたまたま少なかったことや内視鏡を握った時に面白いと感じまして。自分に合っているという感覚があり、次の病院に移る時には消化器内科で専門性を磨いていこうと決意しました。

負担に配慮した内視鏡検査で、病変の早期発見をめざす

消化器内科の診療を続ける中で感じていることはありますか。

山城惟欣院長 サンパーク胃腸内科クリニック3

消化器内科は、純粋に技術向上の面白さがありますね。特に大腸カメラは挿入すること自体が難しく、しっかり操作できるようになるのに2〜3年、とても数多くの症例を経験して、ようやく一人前になれるともいわれています。車の運転と同じで、常に内視鏡を握り続けることで感覚を維持できますし、やればやるほど少しずつ上達するところが魅力です。そして一番大切な役割は、がんを未然に防ぐこと。胃がんも大腸がんも早い段階で内視鏡検査を一度受けることによって、病変の早期発見が期待できるわけです。沖縄は検診受診率が低い上に、大腸がんの罹患率が全国でも特に高い特徴があります。そこで、地元出身の僕が、誰もが楽に受けられるような技術をきちんと身につけて、検診の大切さを啓発していかなければならないなと。これが自分の役割や使命ではないかと思って、日々の診療に取り組んでいます。

なぜ、それほど受診率が低いとお考えですか。

いろいろな要因があると思いますが、まずは共働きが多い環境であること。働き世代ですと、大した症状も出ていない中でクリニックへ行く時間をなかなか取れないですし、金銭的な負担も大きくなります。もう一つの理由としては、やはり「検査が大変」「大腸内視鏡検査はきつくて、苦しい」というイメージがあることでしょうか。そういった噂があると、検査を受けたがらないんですよね。

それでは、より多くの方に内視鏡検査を受けてもらうために、どのような工夫をされているのでしょうか。

山城惟欣院長 サンパーク胃腸内科クリニック4

当院では「クリニックに一歩入った時から、検査を終えて扉を出るまでが内視鏡検査」という一連の流れを意識した空間づくりに、とことんこだわっています。例えば、十分なスペースを取った内視鏡室や高性能の機種をそろえること。また、大腸カメラでは事前に下剤を飲む前処置が必要ですが、これが大変で受けたくないという方も多いです。ご自宅で行うことが難しい場合、院内に落ち着けるスペースがないと、それだけで患者さんは疲弊してしまいますからね。そのため、当院には2〜3時間かけて下剤を飲んでいただける前処置室も2部屋備えています。トイレやテレビ、無線LAN、携帯の充電器も用意しており、自分のお部屋のようにゆったり過ごしていただけますよ。検査前から不安を取り除き、誰もがリラックスして楽に検診を受けられる理想の環境をつくることが、開業する目的の一つでもありましたね。

地元出身として、地域に貢献できる身近な医師をめざす

診療時間や検査体制についても、貴院ならではの特徴がありますね。

山城惟欣院長 サンパーク胃腸内科クリニック5

はい。当院がある浦添市は、病院・クリニック・行政の連携が取れた素晴らしい地域である反面、医療機関の密集エリアでもあります。そこで月曜日は朝7時から、水曜日は夜8時までの診療に対応することで特色を出しています。働き世代をはじめ、登校前の学生さんの来院も多く、検診受診率を伸ばすためにもこの取り組みは気長に続けていこうと思っています。そして、胃と大腸の内視鏡検査を同日に受けられることも大きな特徴です。当院では先に大腸内視鏡検査から行い、体力的にも余裕がある状態で胃内視鏡検査を行います。この順番ですと、うまくいけば午前中のうちには両方の検査が終わりますし、苦痛の少ない検査を心がけているので、お昼ご飯もおいしく食べられると思いますよ。

幅広いご相談に対応されているのだとか。

そうですね。これまで消化器内科医として長年がん患者さんを診てきましたが、残念ながら、どうしても治療が難しいという方は一定数いらっしゃいます。そうしたことから、当院ではがん患者さんのお悩みに関するご相談に積極的に対応しています。そのほか、若々しく健康的でいるためのアドバイスなども行っており、エイジングケアのお手伝いもさせていだければと思っています。

最後に、先生が思い描く医師像や読者へのメッセージを聞かせてください。

山城惟欣院長 サンパーク胃腸内科クリニック6

当院は内視鏡検査に力を入れているクリニックではありますが、僕はもともとが救急科の医師でもあったので、どんな些細なことでも気軽に相談できるような場所でありたいと考えています。それに僕は、生まれも育ちも生粋の純沖縄産です(笑)。沖縄の方言で「医者」のことを「イサ」と呼ぶのですが、地域のお年寄りの方にも「一番身近なかかりつけのイサ」と思って頼っていただけるとうれしいですね。また、一般的に40〜50代のうちに一度は大腸内視鏡検査を受けましょうといわれていますが、2親等以内の親族に大腸がんの方がいた場合は、20代でもなるべく早く一度検査を受けてほしいです。僕が最後に勤めていた同仁病院でも、週に1回の日曜日に非常勤医として内視鏡検査を行っています。ぜひ一度時間をつくっていらしてください。

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