藤本 知久 院長の独自取材記事
えいかん透析クリニック
(東大阪市/鴻池新田駅)
最終更新日:2024/11/13

鴻池新田駅を南西へ徒歩1分、静かな住宅地にあるマンション1階にある「えいかん透析クリニック」。人工透析を専門として、2021年にオープンしたクリニックだ。院内には常時10人ほどのスタッフが勤務し、アットホームな雰囲気が漂う。同院のめざす診療スタイルの一つは「待たせない透析治療」。透析という時間制限のかかる治療を行う患者のために、できる限りの個別送迎を実施している。また合併症予防にも力を入れ、連携する医療機関へ送迎し定期的な検査や治療も実施するほか、365日24時間体制で急変時の緊急連絡先対応も行う。「治療するだけでなく、生活に寄り添った支援をめざしています。患者さんご本人もご家族にも手を差し伸べていきたい」と話す藤本知久院長。今回は同院の特徴や診療にかける思い、今後の展望など詳しく聞いた。
(取材日2024年10月16日)
わかりやすい説明を心がけ、透析治療を支える
この春に院長にご就任されたと聞きました。これまでのご経歴を教えていただけますか?

私は近畿大学に医学部ができた年に入学した、1期生の一人なんです。専門を呼吸器内科に大学や関連病院で研鑽を積んできました。主には一般内科を診ることが多く、和歌山県や岸和田市などの病院に勤めていたこともあります。透析の患者さんを診るようになったのは、和歌山県立医科大学腎臓内科に籍を置いていた時に透析の勉強を始めたことがきっかけです。こちらのクリニックに来たのは、先輩の教授からご紹介いただいたのがご縁で、2021年の9月より勤務し、2024年6月より院長へ就任いたしました。
診療で心がけていることは何ですか?
患者さんの視点に立って、わかりやすい説明をすることです。患者さんの大半はご高齢ですので、耳が遠かったり、認知症が始まっていたりとさまざまです。体調によってはいつもと同じ透析メニューではない時もありますから、「今なぜこの治療が必要なのか」、丁寧に説明をしてご理解いただいてから治療するように努めています。また複数疾患を持つ方も多いので、透析に限らず、他の疾患の状況、日常生活の困り事や不安も聞いて、患者さんの健康をサポートできるように努めています。実は透析治療は一般外来と違い、一度通うと転院が難しく、我慢して通われる方も多いのです。常に患者さんの気持ちをくみ取り、さまざまな面でアップデートを重ねて、改善を図る努力を続けることも大切にしています。
地域での連携にも力を入れていらっしゃいますね。

残念ながら、当院には血管造影などの大きな検査機器や入院設備はありません。検査や入院が必要な場合や、もっと専門性を要する診断が必要と感じた場合には、連携している地域の基幹病院・専門医療機関を紹介しています。連携医療機関が多いのは当院の特徴の一つで、患者さんのご自宅に近いところ、他の疾患で入院した医療機関など、ご希望を伝えていただければ、すぐに手続きいたします。もちろん治療後はまた当院へ通院していただけますし、検査結果や手術経過などのデータは病院としっかり共有しているので安心していただきたいですね。また当院で治療中の方で、念のためにセカンドオピニオンを希望したい場合も、迅速に紹介状をご用意し、診療情報提供書や検査結果などの資料の提供もしています。
「待たせない透析」を掲げ、個別送迎を実施
患者さんが快適に過ごせる環境にこだわられているのですね。

ええ。透析患者さんが過ごすのはほとんどがベッドの上ですから、こだわっています。一般的な透析ベッドは75cm幅と狭いタイプが多いのですが、当院ではゆったり幅98cmの十分な広さを確保し、海外製の在宅介護用ベッドを導入しています。一人に一台ずつテレビを用意しているのはもちろんのこと、無線LANや可動式のオーバーテーブル、デスクライトも準備しています。また感染症対策やプライバシーも重視しています。温度、空調、照明の他、カーテンで遮蔽するなど、可能な限り患者さんのご要望に対応しています。また、患者さんの中には送迎中の車の中でポロっと本音を話されることも。ドライバーからの意見も大切にして環境整備に生かしています。
できる限り待ち時間が発生しない工夫をされていると聞きました。
ご存じのとおり、透析治療のネックは時間がかかること。おおよそ4時間、長いと6時間ほどまで時間を取られますから、これ以上患者さんの大切なお時間を奪うことがないように気をつけています。例えば可能な限り個別送迎をしているのもそのためです。通院にかかるタイムロスを最小限にすることで、患者さんのストレス軽減や生活時間確保につなげています。特にご高齢の患者さんですと、透析治療後にケアマネジャーさんやホームヘルパーさんとお約束が入っていることもあります。こちらで時間が押すとご迷惑をかけてしまいますので、時間管理は徹底しています。透析を受ける患者さんの多くは、穿刺の痛みや通院負担、トイレコントロールなど、常にストレスを抱え、日々我慢しながら耐えられています。透析という医療を提供するだけでなく、患者さんやそのご家族、また支える医療関係者の皆さんに対しても尊厳を持って接し、寄り添うことが大事だと考えています。
スタッフさんについても教えてください。

明るい人が多く、患者さんに対しても積極的に声をかけて、しっかりとコミュニケーションを取ってくれます。患者さんのことでわからないことがあっても、スタッフに聞けば答えが返ってくるので、私も助かっていますね。当院のベッド数は23床と大きくはありませんが、だからこそスタッフの小回りが利いて、よく目が届くのでしょうね。どんな些細なこともすぐに互いに声をかけ合うようにしていますし、疑問点もすぐに確認できますので、患者さんの情報も素早く共有できていると感じます。また治療に関することだけではなく、必要があれば生活支援や行政などの手続き、地域サポート支援の窓口としても、お力になれるようスタッフが相談に応じてくれます。気になることがあれば、遠慮なく声をおかけください。
合併症予防や積極的な健康管理を提供
合併症の予防にも注力されているそうですね。

透析治療を続けていると合併症が起こることもあり、患者さんの中には糖尿病など複数疾患がある人も多いので、特に注意して診ています。透析中は医師が巡回するほか、患者さん一人ひとりに声をかけて、筋力のチェックを行うとともに、膝が痛いとか足先が冷えるといった患者さんのお困り事を聞き取り、自宅でできる対処法や運動に関するアドバイスを行う専任のスタッフも在籍しています。また関連医療機関と提携して半年に数回、定期的に急性期医療機関での検査・治療も行っています。医療機関への送迎も行い、患者さんやご家族のご負担がないように心がけているのです。他にも、在宅中での急変や体調変化においても365日24時間、緊急連絡先対応も可能としています。
今後の展望をお願いいたします。
今後は、クリニック内でもう少しさまざまな診療をできるようにしていきたいと考えています。その取り組みの一つとして、2024年度内にエックス線検査装置を導入予定です。エックス線検査装置があれば、もっと迅速かつ適切に医療機関を紹介できますし、患者さんの負担も減らすことができますから。またスタッフも人数を増やして、マンパワーも強化するつもりです。人数が増えれば、それだけ患者さんの送迎も潤滑になり、さらに時間短縮につなげることができます。少しずつですが、環境を充実させ、この地域にお住まいの皆さんが安心して暮らしていける医療を提供していきたいですね。
それでは最後に、患者さんにメッセージをお願いします。

当院ではいつでも見学を受けつけています。現在、人工透析治療を受けている方だけでなく、これから透析を受ける必要がある方、透析治療に関わるご家族などのご相談も承ります。その際、お電話いただければご自宅まで送迎もしています。ライフスタイルに合わせた透析を提供したいと、早朝の透析にもご相談に応じています。当院は何よりも患者さん思いのスタッフがそろっていることが自慢のクリニックでもあります。安心して長く通っていただけるように、スタッフ全員で心のこもった診療をめざし、サポートしてまいりますので、どのようなことも気軽にご相談ください。