検診で肺に影があると指摘
要精密検査と出たら早めのCT検査を
いわつき三楽クリニック
(さいたま市岩槻区/岩槻駅)
最終更新日:2021/12/28


- 保険診療
2019年の国内のがん死亡数1位、がんの治療成績を示す指標の一つである生存率で見ても予後が悪い部類に入る肺がん。大学病院の勤務医時代から肺がん治療にあたってきた「いわつき三楽クリニック」の本間晋介院長は、もう少し早く精密な検査を受けていれば救えたかもしれない多くの患者を診てきた経験から、地域の一次医療の担い手として開業。肺がんなどの呼吸器系疾患の早期発見に尽力している。同院が備える胸部CTによる検査内容や、どのような人が進んで検査を受けるべきかなど、肺がんの早期発見に向けた取り組みを聞いた。
(取材日2021年12月13日)
目次
自治体や会社の健診で「要精密検査」の人にも、日帰りで結果がわかる胸部CT検査を実施
- QこちらではCTによる精密検査に力を入れているそうですね。
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A
▲肺がんの早期発見は、胸部CT検査を定期的に受けることが大切
肺がん診療で最も大切なのは早期発見です。早期がんの段階で治療を開始すれば、治癒をめざせる確率がかなり高くなります。しかし進行してステージがII期やIII期になると、たとえ手術を行っても治癒をめざせる確率は大きく下がります。いくら医学が進歩したと言っても、やはりI期などの早期に発見して治療開始することが大切なのです。そのために、検診のレントゲンで異常を指摘された方は胸部CT検査をなるべく早く受けてほしいですね。当院が備えているCTは特に新しいものではありませんが、最小1.25mmの幅で断層画像が撮影可能で、早期の小さながんまで発見できる性能を持っています。
- Q精密検査は少しでも早いほうが良いということでしょうか?
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A
▲細かい病変の発見も可能な16列マルチスライサーCTを導入
肺がんが見つかれば可能な限り手術で治療することになりますが、病院ではがん組織の生検を行って診断を確定させ、さらに手術に耐えられるかどうかの術前検査もありますから、それらの準備を急いで行ってもやはり1ヵ月近くはかかるのです。しかしその間もがんは進行してしまいます。ですから私たち一次医療の担い手としては発見時期をできるだけ前倒ししたいと考えており、なるべく早期のCTによる精密検査をお勧めしています。また、喫煙歴がある方は50歳を過ぎたら2~3年に1回程度、喫煙歴のない方でも5年に1回程度は、レントゲンではなくCTで肺の検診を受けていただくと、肺がんの早期発見につながります。
- QCT検査ではどんな病変を見つけることができるのですか?
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A
▲院名の三楽とは、江戸時代の健康指南書「養生訓」が由来だそう
肺の断層画像を撮影しますので、肺がんや肺気腫など肺に生じる病変ははっきりとわかります。また肺と心臓は密接に連携し合っている臓器なので、心臓に何らかの異常がある場合にも、肺に現れた所見から見当がつけられることがあります。また、撮影範囲にはおなかの上部まで含まれるので、尿路結石や胆石が偶然見つかることもあります。胸部CTを読影するときは、肺以外の臓器にも目を配って、見落としがないように注意をしています。
- QもしもCT検査で肺がんの疑いがある時は?
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A
▲病院の呼吸器内科でも使う医療機器を備え、精密な検査を可能に
かかりつけの病院がなければ、当院が提携する病院を紹介し、そこで気管支内視鏡検査を受けることになります。内視鏡の鉗子で組織を採取し、生検診断を行うのです。現在では超音波を使って病変の位置を確認しながら生検できるので、組織の採取の精度も上がっています。もしも内視鏡の鉗子で届かない部位に病変がある場合には、皮膚の上からCT画像を観察しながら細い針を刺して組織を採取する方法もあります。私は病院勤務医時代の経験から、そうした病院内での処置についても患者さんに助言しています。
- Qこちらの医院ではほかにどんな疾患に対応していますか?
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A
▲精細な画像を見ながら、わかりやすく説明している
内科では急性疾患をはじめ幅広く診療していて、呼吸器内科の病気では気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などの治療をはじめ、肺炎も重篤な状況でなければ院内で抗生物質を点滴するなどしながら通院治療を行います。ほかには大学病院でも診ていた睡眠時無呼吸症候群にも対応しています。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質の悪化から日中激しい眠気に襲われます。車を運転される方は居眠りで事故を起こす危険性もあるため、きちんと治療されることをお勧めします。気になっていてもまだ治療を受けてない方が多い病気なので、何時間寝ても疲れが取れない、家族から寝ている時に呼吸が止まっていると指摘された方は、一度ご相談いただければと思います。