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植地 泰之 院長の独自取材記事

東中野セント・アンジェラクリニック

(中野区/落合駅)

最終更新日:2024/11/28

植地泰之院長 東中野セント・アンジェラクリニック main

2021年開業の「東中野セント・アンジェラクリニック」。東中野駅と落合駅の中間に位置し、徒歩数分とアクセスも良好。植地泰之院長は、大学病院で幅広く内科経験を積み、製薬会社で新薬開発に関わってきた異色の経歴の持ち主。「開業医の仕事は、患者の生活すべてを診ること。そのために、相手の話にしっかりと耳を傾ける」。言葉の端々ににじみ出る真摯な情熱は、高い視座で医療を見つめ続けてきたからこそ。患者に向けるまなざしはとても優しく温かい。ついつい話を聞いてもらいたくなる「町のドクター」。植地院長がそんな存在になるまでのストーリーを、自身の言葉で語ってもらった。

(取材日2024年10月7日)

大学病院、製薬会社を経て、クリニックを開業

先生が医師を志したのは高校生の頃だったとか。どのような10代を過ごしたのです?

植地泰之院長 東中野セント・アンジェラクリニック1

私が10代の頃は、学校に行けない子どもたちの存在がまだ可視化されていない時代でした。まだ「不登校」という言葉もなく、さまざまな事情を抱えた子どもたちは、その頃もいたんですよ。中学3年から高校3年までは、そんな子たちの生活や学習の支援活動を大学生に混じってやっていました。そのこともあって高校生の頃は法律の世界に進もうと考えており、実は高校3年までは文系クラスに所属し、大学受験直前に理系に転向したんです。

大きな決断でしたね。何が先生を動かしたのでしょう?

高校3年の時に当時はまだ新しかった「遺伝子工学」の本を読んだのが大きな転換点。私が子どもだった頃は、サリドマイド事件の時代です。サリドマイドで手足に障害が出てしまった子どもたちの姿を思い出し、「この技術は病気を治したり、新しい手足を再生することができる魔法の技術になるかも」と思ったのですが、当時は誰も信じてくれず、自分でやろうと決めて理転しました。ただ、理系の勉強をしておらず浪人生活に突入し、親に無断で理系の予備校に入学したら、あっという間にばれました(笑)。親に「そんなに病気を治したいなら医学部に行きなさい」と説得され、杏林大学医学部に入学しました。入学後は医学の勉強はもちろん、大型コンピューターで脳波の解析やCT画像の3次元処理などの研究もしていました。

医師になってからはどのような経験を?

植地泰之院長 東中野セント・アンジェラクリニック2

卒業後は、膠原病・腎臓内科を中心に呼吸器内科、神経内科、救急医学、循環器内科などで臨床経験を積み、透析や心臓カテーテル、ペースメーカー埋込みなどの技術も身につけました。ある日、ICUに若い女性が意識不明の状態で搬送され、小さな肺がんが原因の高カルシウム血症で意識不明になっていました。この病気の治療薬は海外では教科書にも載り、一般的に使用される薬だったのですが、日本では未承認のため使用できず、この患者さんはお子さんを残して亡くなってしまいました。当時の日本は海外と比べて使える薬が本当に少なく、15年以上も遅れていたのです。まずは「臨床で使える薬のレベルを海外と同じにしよう」と思い、製薬会社に入社してメディカルアドバイザーとして働くことにしました。

製薬会社ではどのようなお仕事をされたのでしょうか。

欧米では製薬会社に医師が勤務していることは当たり前ですが、当時は製薬会社勤務の医師はまだ日本全国でも数十人しかいない状況でした。まず最初に製薬会社から医師に薬の情報を正しく伝達することができるように、製薬会社のMR(医薬情報担当者)の教育システムを確立することから始め、医薬品の開発戦略や国際共同開発の導入や世界同時申請システムの構築と運用、製造販売後の育薬システムの構築や医薬情報システムの改革などさまざまなことをやりました。

次なる使命は「患者の声を直接聞くこと」

製薬業界に長年勤めた後、2021年にご自身のクリニックを開業されました。

植地泰之院長 東中野セント・アンジェラクリニック3

私が製薬業界に足を踏み入れた頃と比べ、使える医薬品の数は格段に増えました。日本に導入することが難しいとされた海外ワクチンも日本で使えるようになり「臨床で使える薬のレベルを海外と同じにしよう」という目的はまあまあ達成できました。そこで、ようやく「多くの人の健康を守る」仕事ができる環境ができたと思い、クリニックを開院することにしました。薬のことを知り尽くしているからこそ、薬は注意深く使いたいと思っており、どんな薬でも少なからずリスクが伴います。咳が出るから咳止めを使うのではなく、咳が出る理由を特定してそれを治してあげることが必要。原因を治せば、咳止めは不要かもしれません。

診療で大切にしていることはありますか?

病気を治すには「患者さんの生活のすべて」を診る必要があると思っています。タバコを吸う人に「タバコを止めなさい」と伝え、禁煙補助薬を使っても禁煙はできません。タバコを吸うには理由があり、生活の中に習慣化しているのです。その習慣を他の習慣に置き換えると、タバコを吸う必要がなくなります。高血圧の患者さんに「減塩をしなさい」と言っても持続できなければ意味がありません。減塩できないことに理由があるはずです。調理方法にあるのかもしれませんし、味つけの嗜好かもしれません。その理由がわかれば改善方法は見つかります。そのため、患者さんのお話をたくさん聞きたいのです。当院のシンボルマーク「聞き耳ウサギさん」はその象徴です。スタッフも細かいところまで患者さんの様子を見てくれています。院内はIT化されているので、ちょっとした情報も共有して診療に生かすようにしています。

患者さんが話しやすい雰囲気も感じます。

植地泰之院長 東中野セント・アンジェラクリニック4

あまりこちらから「なぜ?」と促されると、話しにくい時もありますよね。「こんなことを言ったら怒られるかも?」と思い、本当のことを言えなくなることもあるはず。アクティブリスニングとコーチングが大切なのです。お話を聞いていると、プライベートなことやお仕事のことなど、いろいろな状況がわかります。その中に体調不良の原因や改善のヒントが隠れていることも多いんです。血圧の薬を飲み始めたらやめられないのではないか?と心配する患者さんも多いですが、血圧が高いから薬を飲むだけなら何も変わらず、薬を飲み続けなくてはいけません。「血圧が高い原因はこうだから、この部分はお薬に手伝ってもらって、この部分は生活習慣を直していこうね」としていくと、お薬が不要になってしまうこともあるんです。

幅広い経験と知識を、患者の安心感につなげる

先生の幅広い経験は、現在の診療でも生かされていますか?

植地泰之院長 東中野セント・アンジェラクリニック5

開業医は高度で専門的な医療では病院に劣りますし、自院だけですべての医療技術をカバーすることは困難。私の仕事はまず「患者さんのどこに問題があるのか」を見つけることです。大きな病院では検査に数週間かかることもありますが、当院では、画像診断専門のクリニックや内視鏡専門のクリニックと連携し、CTやMRIは診療当日でも撮像・読影できるようにしています。専門領域にとらわれず、多くの薬を開発してきた中で得てきた幅広い医療知識を持っていることをできるだけ生かして、領域の枠を超えた診療ができることも当院の強みだと思っています。

患者さんにとっては先生の薬剤知識も心強いでしょうね。

さまざまな医薬品の情報やその使い方を用いて、「どの薬を、なぜ、どのように使うべきか」をしっかりとした説明と合わせた診療をめざしています。患者さんにも薬を使う理由や目的、使い方をよく理解していただく必要があることも多いのです。例えば喘息の吸入薬を使用するときには、練習用の実機を使いながら診療中に吸入指導も行います。また、企業で働いていた経験があるからこそ、会社の中での苦労もよくわかります。私が考えている医療は「生活に密着した医療」。会社でのパソコンの置き方一つで頭痛が改善につながることも。私自身オフィスワークが長かったですし「会社の中でどんなことが起きているか」も身をもって知っているので具体的なアドバイスができると考えています。当院にはキッチンスペースもあるので、そこで実際に調理や試食をして生活指導を行うこともあるんですよ。

最後に、これまでタフな選択を続けてきた先生のモチベーションの秘密を教えてください。

植地泰之院長 東中野セント・アンジェラクリニック6

「自分のモチベーション」について聞かれるのが一番苦手です。会社員時代に無理難題を押しつけられたことも数多くありますが(笑)、できない理由をつきつめて考えていると、どういうわけか、できるような気がしてくるんです。そうしたらやらないわけにはいかず、やっていたらできた、という感じですね。モチベーションにこだわると仕事にムラが出るので、あまり気にせず毎日毎日できることを頑張ろうと思っています。

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