全国のドクター9,026人の想いを取材
クリニック・病院 160,847件の情報を掲載(2022年5月21日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 目黒区
  4. 学芸大学駅
  5. さかいメンタルクリニック
  6. 酒井 大輔 院長

酒井 大輔 院長の独自取材記事

さかいメンタルクリニック

(目黒区/学芸大学駅)

最終更新日:2021/10/12

20210928 199714 top

東急東横線・学芸大学駅西口から徒歩3分、にぎやかな駅前商店街の一角に構える「さかいメンタルクリニック」を訪ねた。木目調を生かした温かな雰囲気の院内には、観葉植物やソファーがゆったりと配置され、街角のカフェのようなたたずまいが印象的。開業からまだ2ヵ月足らずだが、院長の酒井大輔先生のもとには心に何らかの不調を抱えた幅広い世代の患者が訪れており、プライバシーに最大限配慮された診療環境のもと、漢方薬を含めたさまざまなアプローチによる治療に取り組んでいる。朗らかな笑顔で話し上手な酒井先生に、開業までの歩みや診療にあたって心がけていること、治療で積極的に取り入れている漢方薬についてなど、たっぷり話を聞いた。

(取材日2021年9月15日)

治療者というより、相談役に徹して患者をサポート

カフェにいるような、癒やされる雰囲気のクリニックですね。

1

当初思っていたよりも広い場所に開業できたこともあり、待合室に十分なスペースを確保して、ソファーを置いたり、僕の好きな音楽のレコードジャケットや観葉植物をあちこちに飾っているので、クリニックらしくない雰囲気を感じてもらえるのかなと思います。近頃はメンタルクリニックへの受診のハードルが下がってきたとはいうものの、できるならあまり人には会いたくないと感じるところはあると思い、予約制にすることはもちろん、待合室に2脚あるソファーを互いに向き合わないような配置にしたり、壁に向かって座るカウンター席を設けたりして、プライバシーにはできる限り配慮したつもりです。

こちらのクリニックの特徴を教えてください。

いまや気になることがあれば、インターネットですぐに調べてみるのが当たり前の時代。当院の患者さんたちも、ご自身の不調についてあらかじめ調べて何かしらの予備知識を持って来院される方が多く、中には具体的な治療法まで詳しく調べて「先生はどう思いますか?」と尋ねられる方もいます。ネット上には的外れな誤った情報も少なからず存在しますが、正確な情報はご自身でどんどん取り入れてもらいたいというのが僕の考え。ですから、診察した医師が一方的に薬を処方するような形でなく、患者さんがご自身で調べた情報と、僕が医師として知り得ている情報を互いにすり合わせて、「一緒に考える」というスタイルを大切にしています。また僕は麻酔科の医師として救急やICUの現場で全身を診てきた経験があり、心だけでなく体の不調にもアドバイスできること、そして治療法の一つとして漢方を積極的に取り入れていることも当院の特徴です。

診療にあたって心がけていることはありますか?

2

僕は治療者というよりもむしろ「相談役」に徹し、症状を良くするための手立てを患者さんと考える中で、専門家として「こうしたほうが良いよ」とより良い方向性を示せるような存在でいたいという思いが強くあります。中には、診察室で向かい合っていてもご自身のつらさをうまく言葉で表現できない患者さんもいらっしゃいますが、表現できない、うまく考えがまとまらないといったこともまた、典型的な病状の一つ。心がただでさえ疲れている状態のときに、クリニックを訪ねてくること自体大変なのに、初対面の医師と向き合って話をするなんて、ものすごくエネルギーのいること。無理に話そうとしなくてもいいんです。少しずつ話せる状態になってきたら、問診の一環としてその方の趣味をお聞きしたりするところから、徐々に病状を把握していきます。

漢方薬を取り入れた治療に積極的に注力

先生のこれまでの歩みについてもお聞かせいただけますか?

3

もともと精神科や心療内科に興味があって、この道に進みたいという気持ちは固まっていたのですが、そうすると体を診ることができなくなってしまうと考えたため、まずは麻酔科の医局に入って救急やICUの現場で経験を積みました。その後フリーの麻酔科医師として活動していたところ、縁あってクルーズ船の船医を務めることになり、半年ほど船に滞在しながら船内で体調を悪くされた方のケアにあたっていました。その後は、横浜市内の精神科専門病院に勤務し、統合失調症や双極性障害といった精神疾患の中でも比較的重い症状の患者さんの治療に携わっていました。

勤務医時代に漢方に出会われたそうですね。

病院勤務の傍ら、府中市の心療内科クリニックでも非常勤医として診療していたのですが、病院でははっきり診断がつく患者さんが多いのに対し、クリニックでは診断がつきづらい不調を抱える患者さんが本当に多いことに驚かされたんです。そんなときに、知り合いの先生から漢方の良さについて聞きまして。そこから漢方薬についてより詳しく学び、診療で積極的に漢方を取り入れるようになりました。

心の不調は、その治療期間にもかなり個人差があるのでしょうか?

4

「今日で治療は終わりです」というように、治療期間の終わりがはっきりしているケースのほうがむしろ少ないので、治療期間の個人差が大きいのかどうかは、何とも言えないところですね。パニック障害やうつの患者さんの場合、休職しながら投薬治療を進める中で、症状が落ち着いていくにつれて薬を飲み忘れたり、来院するのを忘れるといった形でフェードアウトしていくパターンが結構多くあります。例えて言うなら、補助輪つきの自転車に乗っていたお子さんが、気づいたら補助輪なしで1人でスイスイ走っていくような感覚でしょうか。薬を飲み忘れると医師に怒られてしまうと思われがちですが、薬を飲み忘れるというのは、症状が良い方向に向かっているという証拠だと僕は思うのです。ですから、「薬をちゃんと飲んでなくてすみません」なんて謝る必要はないんです。

階段を上るように、徐々に症状が良くなることを願って

メンタルクリニックでは一般的に、薬に対する抵抗感をお持ちの患者さんが多いそうですね。

5

薬を処方されたものの、実際には飲まないという人が多いことも事実です。薬なんて誰しも飲みたくないものですから、気持ちはよくわかります。ただ、薬が効いてくるはずの2週間後になっても症状が改善せず、実は飲んでいなかったというような状況って、お互いにとってその時間がもったいないし、せっかく支払った薬代だって無駄になってしまいますよね。飲みたくないなら、それでもいいんです。心の不調も、適切に休んでいればきっと良くなっていくはずです。ただ、そこに薬の力を借りることによって、良くなるまでの期間を短縮することにつながるということは覚えておいてほしいですね。当院では、漢方が薬の処方全体の4割ほどを占めています。漢方だってれっきとした薬ですが、いわゆる抗うつ薬などに比べるとライトなイメージで、体質にアプローチして治していくような感覚で受け止められているのかもしれませんね。

感染症の拡大による生活の変化も、メンタルヘルスに大きな影響をもたらしたといわれていますね。

新型コロナウイルス感染症の影響で世の中全体が不安に覆われ、心の不調を訴える方がかなり増えました。人との交流が絶たれる中で、完全テレワークになってオンオフの区別なくずっと仕事をしていたり、大学進学を機に地方から上京したものの、リモート授業ばかりが続いて学ぶモチベーションが見出せず、つらい思いをしている学生さんもいます。気を許せる相手に直接会って、愚痴を聞いてもらうといったガス抜きの機会すら失われていることで、より一層不安や孤独感を募らせている方が多いですね。

最後になりますが、今後の展望と読者に向けたメッセージをお願いします。

6

当院のロゴマークは「階段」をモチーフにしています。当院が2階にあるので入口まで上がってくるための階段と、階段を上っていくように心の病気がだんだん良くなっていく様子をリンクさせ、「一緒に1段ずつ上っていきましょう」というメッセージを込めています。開業したばかりのクリニックですが、これまでの経験を生かしつつ、ゆくゆくは外来診療に加えて患者さんの職場復帰に向けた復職支援プログラムなども手がけていきたいと考えています。気軽にお越しいただければ、何かしらお役に立つことができると思います。今のつらい症状を良くする方法を一緒に考えていきましょう。

Access