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山口 智広 院長の独自取材記事

ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック

(ふじみ野市/ふじみ野駅)

最終更新日:2026/10/27

山口智広院長 ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック main

上福岡駅から車で10分、田園風景が広がるのどかな地域に「ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック」はある。2021年に開業した同院は、グレーを基調としたモダンな外観と木目調の温かみある院内が印象的で、随所に置かれたリードディフューザーが心地良い空間を演出している。院長の山口智広先生は、器械体操に打ち込んだ学生時代の経験からスポーツ医療に関わる道に進み、整形外科医として多くの骨折患者と向き合う中で骨粗しょう症の予防に力を注ぐようになった。クリニック名にあえて自身の名前を冠さず骨粗しょう症を掲げたのは、「地域の骨折者をゼロに近づけたい」という強い思いからだ。明るく親しみやすい人柄で、時に冗談を交えながらも本音で語る山口院長に、骨折予防の取り組みと展望を聞いた。

(取材日2026年9月11日)

骨粗しょう症の予防に懸ける、整形外科医としての原点

先生が整形外科の医師を志されたきっかけを教えてください。

山口智広院長 ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック1

学生時代に器械体操をやっていて、腰や手を痛めても適切な医療になかなか出合えなかったんです。それがきっかけで自分なりに栄養や治療の本を読み始め、体のことを深く知るうちに医師という道に関心を持ちました。大学卒業後は横浜でスポーツ整形外科を約5年間経験し、結婚を機に一般整形外科へ転向しました。高島平の病院で整形外科チームの一員として多くの手術を手がけた後、医師が不足していた埼玉の系列病院へ異動しました。救急も外来も病棟もほぼ一人で担う覚悟を決めて仕事に取り組んできました。とても大変でしたが、この経験が今の診療の土台になっていますし、埼玉との縁をつくってくれました。

こちらのクリニックを開業された経緯をお聞かせください。

もともとはずっと勤務医を続けるつもりでした。ただ、これまでの仕事を振り返ると骨粗しょう症の患者さんをたくさん診てきたことに気づいたんです。手術後の方にも再骨折しないよう治療を続けたり、工夫しながらやってきたのですが、「骨折したら治せばいい」という考えが多いことに違和感を持ちました。自分は予防にこだわっていくべきだと考えていたからです。ただ、大きな病院ではスタッフが入れ替わることもあり、一貫したきめ細かな治療には限界があります。検査設備も、最善と思えるものを導入したくても組織の一員という立場では、簡単には導入を決められない。それなら自分ですべての責任を負って本当に良い診療をやりたいと思いました。クリニック名にも骨粗しょう症の治療に取り組む気持ちを込めました。地域の骨折者をゼロに近づけたいという思いが、開業の出発点です。

クリニックの設備や環境づくりでこだわった点を教えてください。

山口智広院長 ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック2

開業にあたって考えたのは、MRIを設置できる環境です。地盤や電波環境、振動の条件を調べた上で、整形外科専用のオープン型MRIと精度の高い骨密度測定機器を導入しました。リハビリテーションのスペースを十分に確保できるかどうかもかなり重要視したので、広さを最優先に立地を選んでいます。駅からは離れていますが、いい医療をしていれば患者さんは来てくれるはずだと考えていました。建物のデザインは、田園地域の風土に合った落ち着いた色合いと温かみのある空間を一緒につくれる建築士さんにお願いしました。院内の香りにも気を配り、患者さんやスタッフが心地良く過ごせるようにしています。駐車場も開業当初よりさらに広げて、車で通いやすい環境を整えました。

「ただの骨折」が人生を変えてしまう前に

骨粗しょう症の予防は、なぜそれほど大切なのでしょうか。

山口智広院長 ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック3

例えば心筋梗塞にならないために血圧を管理したり、がんは早期発見・早期治療が大切だと言われますよね。なのに、なぜ骨折だけ予防の意識が薄いのでしょうか。背景には、整形外科が手術で治すことに重きを置いてきた歴史があります。「骨折したら手術で治せばいい」という考えもいまだにありますが、予防できるなら骨折しないほうがいいに決まっています。自分の家族だったら骨折してほしくない、皆さんそう思うはずです。また、心筋梗塞や脳梗塞は行政の対策も早かった一方、骨折は対策が後回しにされてきた面もあります。最近は介護費用の増大を背景に骨粗しょう症検診も広がりつつありますが、予防の意識はまだまだ低いと感じます。

骨折がご本人やご家族の生活に与える影響について教えてください。

家族が骨折したら、もう一大事です。まず入院と手術が必要になりますし、できるだけ早く手術しないと回復にも影響を及ぼしかねません。治療の目標は元通りの生活に戻ることですが、残念ながらそうならない方もいます。骨折をきっかけに肺炎を起こして亡くなるケースもありますし、歩けるようになっても以前のようには動けず、旅行にも行けなくなることがあります。さらに回復が進まずリハビリの病院に移ったまま自宅に帰れなくなり、ご家族が施設を探さなければならないことも出てきます。費用の負担や仕事を辞めざるを得ない状況も生まれ、ご本人だけでなくご家族の生活もガラッと変わってしまう。「ただの骨折でしょ」とよく言われましたが、高齢者の骨折は命に関わることもあり、本当に人生の分かれ目になり得るものです。それを防ぎたいと考えています。

日常生活の中で、骨折を防ぐためにできることはありますか?

山口智広院長 ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック4

まず大切なのは筋力の維持です。家にいるばかりだと筋肉が弱ってしまいますので、1日1回は外に出て日光を浴びたり、家の周りを歩いたり、買い物に出かけたりするだけでも違いが出ます。食事面ではカルシウムに加え、魚やキノコに多いビタミンD、納豆や野菜に多いビタミンKなどをバランスよく取ることが骨の健康には大事です。ただ、苦手な食材がある方も多いので、魚が難しければキノコで、納豆がだめなら野菜でと、その方の好みや暮らしに合わせて代わりの食材を提案します。難しい場合はお薬で補うことを提案します。当院ではリハビリにかなり力を入れていて、理学療法士が一人ひとりの体を見ながら、弱い部分の鍛え方やほぐし方を丁寧に指導していきます。自宅でできるケアもお伝えし、次の来院時に改善の度合いを確認する流れで進めていきます。

一つ一つ仕事を丁寧に、そして地域に寄り添い続ける

日々の診療で大切にされていることを教えてください。

山口智広院長 ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック5

私の師匠のような存在の先生に「一個一個ちゃんとやれ」と厳しく言われ続けました。手術は皮膚の切り方が一つずれたら、次の筋肉の処置もずれ、当然神経の処置、さらに奥の骨の処置もどんどんずれていきます。逆に言えば、手術のための体の向き一つから、小さな準備を丁寧に適切に積み重ねさえすれば、結果はおのずとついてくるはずだと教わりました。師匠は私に手術の準備だけをずっとやらせて、準備ができるようになって初めて手術を担当させてくれました。この教えはクリニック運営にも通じています。正直なところ、使っている薬、行っていることは他と大きく変わりません。ただ、一つ一つにこだわりを持って取り組むかどうかで、結果は変わってくる。特別なことではなく、当たり前のことを当たり前にやり続けることが一番大事だと思っています。

一緒に働くスタッフの皆さんについて教えてください。

当院はスタッフ全員が常勤です。いつも同じ受付、同じ看護師、同じ理学療法士がいるので、患者さんの安心感につながっていると思います。「あの患者さん最近来てないけど、大丈夫かな」「最近ちょっと足取りが悪くなってない?」といった会話が常日頃からスタッフ間で交わされています。同じメンバーが同じ空間で働いているからこそ、患者さん一人ひとりの変化に気づける。それが当院の大きな強みです。頑張っているスタッフがきちんと認められる環境を大切にしていて、ともに働く看護師さんや事務スタッフは頼りになる方々です。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

山口智広院長 ふじみ野整形外科内科骨粗鬆症スポーツクリニック6

「地域の骨折者をゼロに近づけたい」という目標を掲げて開業しました。骨折が命に関わり、人生の分かれ目になり得るという危機感を地域の皆さんと共有したいです。だから目の前の患者さんに丁寧に向き合い続けます。このクリニックを良くしていくことに集中して、ここで自分が責任を持って診療し続ける、それは患者さんとの一番の約束だと考えています。「医療を通じて、患者さん、スタッフ、その家族、地域に貢献して幸せにする」。その理念のもと、この場所に私たちはずっといます。