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冨永 英一郎 院長の独自取材記事

とみながレディースクリニック

(練馬区/富士見台駅)

最終更新日:2025/05/07

冨永英一郎院長 とみながレディースクリニック main

20年以上にわたり、慶應義塾大学病院でたくさんのがん患者と向き合ってきた冨永英一郎院長。「検診で早期に発見できていれば」と、やるせない思いが募ることもあったという。その思いから、これまでの婦人科腫瘍を専門としてきた経験と知識を生かして、がんを治療する立場から予防することに軸足をシフトし、なじみのある練馬区に「とみながレディースクリニック」を2021年に開院。「子宮頸がんは、検診とワクチンによって予防を図ることができるがん。そのことを正しい情報とともに伝えていきたい」と語る冨永院長に、開院へ至った思いやクリニックの特色、そして今後の展望について話を聞いた。

(取材日2025年4月9日)

婦人科腫瘍を専門とする経験と知識を予防医療へつなぐ

駅前の通いやすい場所ですね。この場所はどのように選ばれたのですか?

冨永英一郎院長 とみながレディースクリニック1

ここを選んだ理由のひとつは、私の出身母体である慶應義塾大学病院からそう離れていないことです。開院にあたって連携を希望していたので、患者さんを紹介しやすい立地であることは大きなポイントでした。また、自分の出身区や現在の住まいからも近く、この辺りには昔から土地勘もあり、なじみもあります。当院では出産には対応していないため、開院当初は慶應義塾大学病院や新宿の聖母病院と連携し、妊婦さんを拝見していました。現在は、この地域のニーズに合わせて、練馬区内の近隣の病院にも多くの患者さんをご紹介しています。病院とクリニックの診療の役割分担を明確にして、うまく連携をできるよう心がけています。

冨永先生のご専門について教えてください。

日本産科婦人科学会産婦人科専門医として大学病院で20年以上勤務してきました。産婦人科全般を診療することを前提とした上で、私は婦人科腫瘍を専門としています。慶應義塾大学病院は規模も大きいこともあって、さまざまな病院からご紹介いただくことも多く、重症の患者さんをもたくさん診てきました。がんは進行してしまうと制御が難しい場合があります。大学病院ではどうしても治療の比重が高くなり、私も長年、治療と向き合ってきました。また、がんの手術やいつ呼ばれても対応するためには体力が必要です。大学時代、体育会の野球部に所属し、その後も野球に関わってきて、そこで培った体力は産婦人科専門医として診療に臨む上でとても役立ったと思っています。

長年勤めていらっしゃった大学病院を離れて、開院された理由はなんだったのでしょうか。

冨永英一郎院長 とみながレディースクリニック2

大学病院ではどうしても治療の比重が高くなり、私も治療に長年苦心してきました。大学病院で診ていた患者さんの中には、婦人科検診を受けておらず、がんが見つかった時にはすでに進行していたという方もいました。もし検診で早期に発見できていれば、重篤にならなかったかもしれません。そうした方を一人でも減らしたいという思いが募りました。がんの治療というのは個人クリニックでは限界があるので、婦人科腫瘍の専門の医師は大学病院や総合病院で仕事をされる医師が多いのですが、私はこれまでの治療の経験や婦人科腫瘍の専門的な知識を生かして、子宮頸がん検診による早期発見や子宮頸がんワクチン接種といった予防医療にシフトし、注力していきたいと考え、開院に至りました。

“怖い”から“安心”へHPVワクチン接種の大切さ

HPVワクチンは、かつて副反応がメディアでも取りあげられ話題になった時期がありました。

冨永英一郎院長 とみながレディースクリニック3

子宮頸がん予防のHPVワクチンは以前、副反応の報道が注目され、厚生労働省も積極的な接種勧奨を中止しました。その影響で「怖い」という印象が先立って、接種率が落ちた時期がありました。日本以外の先進諸国は接種が進んでいて、子宮頸がん罹患者数の減少に大きく貢献していました。日本でも2022年4月から積極的な接種勧奨が再開され、昨年あたりから急激にワクチン接種数が伸びてきています。各国のこれまでのデータを見る限り、日本でも今後、確実に罹患率が下がってくると思われます。

ワクチン接種に不安に感じている患者さんには、どのように説明されていますか?

副反応に不安を感じている方は少なくないので、当院では、HPVワクチンについてデータなどをお見せしながら丁寧に説明し、その場で決めていただくのではなく、考える時間を設けて後日予約を取っていただくようにしています。ワクチン接種は推奨したいですが、強制ではありません。正しく理解していただいた上で、患者さん自身に判断してもらうことが大切だと思っています。

冨永先生はとても話しやすい印象ですが、患者さんと接するときに心がけていることはありますか?

冨永英一郎院長 とみながレディースクリニック4

患者さんの話をよく聞くことですね。大学病院にいた頃は、たくさんの患者さんを診る必要があったため、正直なところ、時間に追われてしまうこともありました。それは改めたいと思っています。ただ、当院も多くの患者さんに来ていただいているので、一人ひとりに十分な時間をかけると、待ち時間が長くなってしまうというジレンマもあります。耳を傾ける姿勢を大切にしながらも、待っている患者さんのことも忘れずに、バランスの取れた診療を心がけています。

検診とワクチン接種の両輪が子宮頸がん予防のポイント

こちらのクリニックでは複数の女性医師も診療にあたっていますね。

冨永英一郎院長 とみながレディースクリニック5

産婦人科というと、恥ずかしいと感じたり、通い慣れなかったりして、通いづらいと感じる方もいらっしゃるようです。当院では、複数の女性医師が曜日ごと午前中のみ診療を行っています。完全予約制ですが、常に予約が埋まっている状況です。女性医師のニーズが高いことの表れですね。

ちなみにどういった患者さんが多いですか?

当院のホームページをご覧になって、婦人科腫瘍を専門としている医師がいると把握した上で、子宮頸がん検診や子宮頸部異形成でいらっしゃる方が多いです。あとは子宮内膜症、月経症やPMSなどの月経困難症の方ですね。年齢層としては20代から40代の方が大半を占めています。そうなってくると高齢の方から「行きづらい」というご意見をいただくこともあるのですが、お気軽に来ていただきたいと思っています。高度な処置や手術が必要な場合は、適切な専門の医療機関をご紹介しています。

最後に、これだけはぜひ伝えたいということをお聞かせください。

冨永英一郎院長 とみながレディースクリニック6

子宮頸がんは、検診とワクチンの両輪で予防がめざせます。この2つがしっかり成り立てば、制御ができるとされます。検診で発見できるがんは、子宮頸がん、胃がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5つしかありません。しかも、その中で有用なワクチンがあるのは子宮頸がんだけです。忙しかったり、面倒と思ったり、そもそも子宮頸がん検診のことを知らなかったりという理由で、受診していない方がまだまだいらっしゃいます。どれだけ整った施設があっても腕のいい医師がいても、発見が遅れると治療が難しくなります。早期発見のための子宮頸がん検診の重要性を広く伝えていくことが、私の使命だと思っています。若いうちから、それこそ学校などできちんと場を設けて、正しい知識を学ぶ機会があれば、もっと受診者も増えるのではないかと思っています。今後はその普及活動も行っていきたいですね。

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