興梠 真紀 院長の独自取材記事
東京はなクリニック
(渋谷区/恵比寿駅)
最終更新日:2024/12/04

JR山手線恵比寿駅東口から徒歩約1分のビル6階で、メンタルヘルス全般に関する診療やヘルスケアに取り組んでいるのが「東京はなクリニック」だ。クリニック名には「関わるすべての人の人生が花咲くように」との願いが込められている。日本専門医機構精神科専門医であり、朗らかで優しい応対が印象的な興梠真紀(こうろ・まき)院長。「誰でも潜在的な自然治癒力を持っています。それを引き出すことを最大のテーマにしています」と語る。カウンセリングをはじめ、さまざまなアプローチを取り入れながら患者の早期社会復帰をめざすとともに、社会復帰後もより豊かに充実した生活が送れるようにとサポート。興梠院長に、同院の特徴や患者に対する想い、診療方針などを聞いた。
(取材日2024年9月11日/情報更新日2024年11月6日)
「より良く生きる」という想いを込めたクリニック名
恵比寿駅から近くて通いやすい立地ですね。

私自身が方向音痴なので、どなたでも迷わず来られる場所に開業したいと思っていたんですね。JR山手線の主要駅でアクセスが良く、東京だけでなく、関東全域や結構遠方から来院する患者さまもいらっしゃいます。院内は都心のクリニックとしてはゆったりとした広さで、診察室とカウンセリングルームを4室備えています。椅子やチェストなどにアンティーク家具をそろえ、各部屋には大きな窓がついています。また待合室には大型のモニターを設置していますので、患者さまに気軽に見てもらえるようなコンテンツや、健康に関するいろいろな情報を流しています。
待合室も診察室も、居心地の良い空間ですね。
そう言っていただけるとうれしいです。精神的に大きなダメージを受けた患者さまや、ストレスを抱えている患者さまも多くいるので、少しでもリラックスして過ごせるような空間づくりをめざしました。絵や置物、観葉植物なども、気持ちが和みそうで温かみが感じられる物を選んで飾るようにしています。患者さまからは「友人の家に来たみたい」「クリニックらしくなくて、なんだかほっとする」などと言われることもあります。
クリニック名には、どのような想いが込められているのでしょうか。

当クリニックのテーマは「より良く生きる」です。病気を治すのが医療の重要な役割ですが、その先にある「より豊かな人生を歩みたい」というのが、すべての人の願いではないでしょうか。私は以前から精神医学や心理学の知識や技法を、病気からの回復だけでなく、さらに豊かになるために用いたいと考えていました。ポジティブ心理学でも用いられる「フラーリッシュ(flourish)」という言葉には「繁栄する」「より良く生きる」といった豊かな意味合いがあり、その語源は「花(flower)」です。これらにちなんで、「東京はなクリニック」と名づけたんです。患者さまがつまずいたり壁にぶつかったりしたとき、当クリニックへ相談に来ていただくことで自分を整え、新たな気持ちでスタートするためのサポートをしたいと思っています。
どのような方が訪れていますか?
中学生から70代の方まで幅広い年代の方がいますが、場所柄、働き盛りの30~50代の方が多い印象ですね。症状としては、うつ病と適応障害、不眠の方々が全体の8割くらい、ほかに更年期障害の悩みやトラウマを抱えた方などがいらっしゃいます。また、大人の発達障害の診療にも積極的に対応しています。
患者自身が持つ「リソース」を引き出したい
ここ1年で医師を増員したと伺いました。

多くの患者さまが来院されるので、お待たせすることなく対応できるよう医師を増員しました。高度な専門性と豊富な経験、そして豊かな人間性を兼ね備えた医師を厳選して採用しています。医師もスタッフも穏やかで話しやすい人を集めているので、楽しくコミュニケーションを取りながら仕事をしています。患者さまには基本的には担当医を決めていただきますが、途中で担当医を自由に変更していただけます。担当医を変更した場合でもスムーズに診療を受けていただけるよう、カルテに細かく記載して院内で情報共有をしています。
カウンセラーも充実していますね。
当クリニックのカウンセラーは、全員が10年以上の経験と、公認心理師と臨床心理士の両方の資格を持ち、世界標準の技法を身につけていると思っています。このようなカウンセラーが集まっているクリニックは、なかなか探せないのではないかと思います。経験豊富なカウンセラーたちを採用しているからこそ、さまざまな症状に対応できることも当クリニックの強みだと思っています。その1つが、トラウマを持つ方の診療です。いろいろな技法が必要になるため、「トラウマのある患者さんを診ます」と明言して、掲げている心療内科はそれほど多いわけではないと思います。当クリニックではPTSD(心的外傷後ストレス障害)に関するご相談にも対応しています。患者さまの中には、トラウマについて自身で検索されて、当クリニックを見つけて来てくださる方もいらっしゃいます。
トラウマに関する対応も含めて、診療で大切にされていることは何でしょうか?

まずは患者さまご自身の「リソース」、つまりご本人の強みになるものや自信を持てるものを探して、それを引き出すことを大切にしています。例えばトラウマの診療であっても、つらい部分にいきなり切り込んでいくのではなくて、その方がもともと持っている強みや資質を見つけて、育てていくことが大事です。ご本人が持っているものはカウンセラーのような第三者がいたほうが見つけやすくなることもありますし、そうやってリソースを育んでいくまでの段階で症状の改善が見込める場合も考えられます。弱っているところだけを診療するというよりは、自分自身の強みに気づいていく、ということを重視しています。
自分を肯定するためのリソースという考え方は、いろいろな局面で役立ちそうですね。
本当にそうなんです。ご本人がもともと持っている力を引き出したいというのは、当クリニックの大きなコンセプトでもあります。患者さま自身が自信を持てずにいると、あるはずのリソースに気づかず放って置かれてしまいます。ご本人がこれまで体験してきたことなどの中から、一緒にリソースを探して光を当てて育てていくだけでも、その方が変わっていくきっかけになります。来院される方は、どこか調子が悪いときに来るので、せっかく持っているものが埃をかぶっていることが多いんです。ですから、良い部分を引き出すためのリソースメイキングには、できるだけ時間を使うようにしています。
癒やしを感じるオアシスのような場所をめざして
心療内科でありつつ、ヘルスケアに関する診療を行っているのも特徴ですね。

健康増進は、精神疾患の対策にも深く関わります。栄養に気をつけて生活の土台を整えることで、精神疾患を治療するための準備になるので、サプリメントなどのアドバイスにも応じるほか、患者さまの状態に合わせて、どんなものを食べてほしいといった話もしています。食生活や栄養摂取は、日々の生活の中で行うことなので、自分で工夫して体調が良くなったと実感すると、ご本人の自信にもつながって良い効果を生むと考えています。私自身もこの仕事をしながら、栄養と睡眠は健康の基本だと実感しています。
ヘルスケア診療では、男性の更年期障害にも力を入れておられますね。
女性の更年期障害は話題になることも多いですが、男性の更年期障害についてはあまり認知されていないですよね。加齢とともに男性ホルモンのテストステロンが減少すると更年期の症状が出やすくなりますから、女性と同様にケアしたほうがいいと考え、当クリニックではホルモン療法を行っています。精神薬だけの処方ではあまり変化がみられない場合も選択肢として考えてみていただければと思います。
最後に読者の方へのメッセージをお願いします。

心療内科を初めて受診する方の中には「こんな些細なことで受診してもいいのだろうか」と思われる方も多いようです。少しでも生きづらさや「気持ちが落ち込む」「眠れない」などの不調を感じたときは、気軽に受診していただければと思います。当クリニックは、高度なカウンセリングを得意としているので、薬を飲むことに抵抗があるという方も安心して来院してください。当クリニックが、生きづらさや不調を感じる方にとってオアシスのような場所になればと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはカウンセリング(50分):1万5000円(選定療養費として予約料含む)
男性更年期障害/LOH症候群初回血液検査:1万2000円
※詳細はクリニックにお問い合わせください。