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辻 浩司 院長の独自取材記事

辻整形外科クリニック

(東温市/横河原駅)

最終更新日:2023/12/07

辻浩司院長 辻整形外科クリニック main

愛媛県松山市に隣接する東温市の川内インターチェンジからすぐ、愛媛大学医学部附属病院にもほど近い場所に位置する「辻整形外科クリニック」。愛媛大学医学部大学院卒の辻浩司院長が、膝関節の治療を数多く行っていた白岡整形外科から継承して2021年4月1日に開院したばかりのクリニックだ。それまで辻院長は公務員として愛媛県立中央病院、愛媛県立南宇和病院に勤務。長年にわたり急性期医療や地域包括ケアシステム構築に取り組んできた。こうした経験をベースに、自身のクリニックでも地域医療の課題解決につながる新たな取り組みを行っていきたいとのこと。「心ある地域医療」をスローガンに掲げる辻院長に、診療における想いやクリニックの今後の展望などについて、詳しく語ってもらった。

(取材日2021年5月18日/情報更新日2023年11月27日)

県立病院での経験を礎に、新たな地域医療に取り組む

医療の道をめざそうと思ったきっかけを教えてください。

辻浩司院長 辻整形外科クリニック1

私の母が病院の整形外科で看護師をしていて、小学生のときは、学校帰りによく病院に立ち寄ったりしていました。その影響もあって、自然と医療の道をめざすようになりましたね。あとは、私自身が高校・大学とずっとラグビーをしていたので、ケガをする人が身近にいたということも大きいかもしれません。ケガをする人の気持ちもわかるというか、整形外科が自分の性に合っていると感じたのです。

ここはもともと白岡整形外科だったのを、継承されて開院されたそうですね。

はい。愛媛大学医学部を卒業後、整形外科に入局したときに講師をされていたのが白岡先生で、よくお世話になっていました。そうしたご縁もあって、のちに白岡先生がクリニックの継承先を探していると聞いたとき、それならと私が名乗りを上げたのです。先生にここで地域医療をしたい旨をお伝えすると、「それならやってみるか」と快諾していただきました。

それまでは愛媛県立南宇和病院の副院長をされていたそうですが、ご自身で開院しようと思われた理由は?

辻浩司院長 辻整形外科クリニック2

南宇和病院があるエリアは、もともと医療過疎で医師が少ない地域でしたので、どうやって医師の数を守るかが課題でした。南宇和病院も、以前は20人以上いた医師が最終的には8人にまで減ってしまっていたのです。若い医師に来てもらうためには、たとえ高度な手術ができないにしても、病院の特色や魅力をアピールする必要があります。そこで根拠となるデータを集めて、ここを予防医学を含めた「総合医療」のメッカにしようと、いろんな先生に声をかけました。すると総合医療に精通した先生方が集まってくださり、南宇和出身の若い先生も地域のために尽くしたいと言って戻ってきてくれたのです。そのような先生方が大勢いる状況になったので、それなら後はその分野のスペシャリストに任せようと考えて自身のクリニック開業に至ったわけです。

患者さんの層について教えてください。

以前ここで開業されていた白岡先生は膝関節の手術や治療が専門でした。南予や東予の方にも手術をしに行かれていたので、今も術後のフォローで新居浜や今治など、県内全域から患者さんが来てくださいます。年齢層としては、やはり高齢者の方が多いですが、ここは近くに工場があるので若い方が受診されることも多いですね。トラックの運転手さんも多くいらっしゃいます。当院の周辺には内科のクリニックが少ないため、地域の健康をより積極的に守りたいという思いから発熱時の外来も始めました。体調がすぐれないときに気軽に足を運べる医療環境を整えることで、少しでも地域の方々の力になれたらうれしいです。

患者の幸せを第一に、健康寿命を延ばす取り組みを導入

患者さんと接する際に大切にされていることは?

辻浩司院長 辻整形外科クリニック3

当院では「心ある地域医療」をスローガンに抱えています。例えば、手術の出来で99点を取っても、その患者さんとの関係性が良くなければ患者さんの満足を得ることはできません。でも、仮に手術が70点だったとしても、患者さんが満足されていれば、それは患者さんにとって幸せということになります。患者さんに幸せをどう感じていただくかが大切ですので、こちらから一方的に押しつける医療ではなく、その方の家庭の事情なども考慮しながら、一緒にベストな方法を探っていくようにしています。後々の人生のことも考えると手術だけがすべてではないので、術後のリハビリテーションなども含めて、患者さんが幸せと思える医療を探求したいですね。

骨粗しょう症のリエゾンサービスを導入されているそうですね。

はい。骨粗しょう症リエゾンサービスとは、骨粗しょう症の予防と改善、骨折の防止を目的として、医師だけでなく、看護師や理学療法士、薬剤師などの多職種が連携して骨折予防の啓発をしていく取り組みです。南宇和病院でもチームをつくってリエゾンサービスを行っておりましたし、当院でも開業が決まった2020年12月から月2回の勉強会を行い、サービス開始に向けて準備をしました。看護師はもちろん受付スタッフやリハビリスタッフにも参加してもらい、患者さんが誰に相談してもきちんと回答が得られるような体制を整えています。また、スタッフから私へのフィードバックがしやすいよう、できるだけフラットでコミュニケーションを取りやすい雰囲気づくりを心がけています。

ロコモティブ症候群の予防にも力を入れているとか。

辻浩司院長 辻整形外科クリニック4

南宇和病院でも行っていましたが、対面で大腿四頭筋訓練の指導をしています。高齢の患者さんが多いので、大腿部を触ってちょっとだけお尻を持ち上げて、ちゃんと筋力トレーニングを継続しているかどうかをチェックするんです。大腿部の太さも計測するので、トレーニングを怠っていたらすぐにわかります。患者さんも測られるとわかっていると頑張ろうと思ってくださるので、とにかくトレーニングを継続してもらうための取り組みとして行っています。運動量が減るとお年寄りの筋力はすぐ落ちてしまいますから。何歳の患者さんが何ヵ月でトレーニングをやめたとか、データもきちんと取っていますよ。

社会全体が抱える医療の課題解決に尽力

日々とてもお忙しそうですが、趣味やリフレッシュ法は?

辻浩司院長 辻整形外科クリニック5

中学校でバレーボール、高校・大学ではラグビーをしていました。今は膝を痛めて休止しているのですが、6年ほど前からマラソンも始めました。きっかけは、南宇和病院の医師が減って困っていたとき、マラソンに出場してテレビのインタビューを受ければ、病院の宣伝になるのではないかという発想から。十数人でチームを結成して愛媛マラソンに出ました。そのために体重も20kgくらい減らしました。とにかく完走するのが目的だったので、毎朝6時に四十番札所の観自在寺まで走って鐘をついて帰ってくるという修行をしていましたね。

これからクリニックで取り組もうとしていることを教えてください。

まずは待合室の隣に骨粗しょう症予防ブースを置いて、患者さんやご家族にさまざまな情報を発信することで啓発をしていきたいですね。今の感染症の流行が落ちついたら2階の空きスペースを解放して、健康教室や体操教室など、地域住民の方々が交流できるサロンのような場所を作りたいとも考えています。また、近い将来、リハビリ専門の医師や理学療法士の方に来てもらって体制が整ったら、訪問診療なども進めていきたいですね。もしくは市と連携して公民館で地域の方を集めて指導を行うのもいいでしょう。そうすることは市にとっても医療費削減につながりますから。この先、誰もが平等に医療を受けられる社会を維持するためも、できるだけ手術などをしないで済むような社会や医療の仕組みをつくっていかなければと思っています。

地域医療のさまざまな課題解決に取り組んでいかれるのですね。

辻浩司院長 辻整形外科クリニック6

松山には愛媛大学医学部附属病院や愛媛県立中央病院など大きな病院があるので、当院の患者さんで手術が必要になったら、そちらに紹介できます。一方で、医師不足の南宇和との差があまりにも大きいと感じるので、自治体や医師会とも連携して地域差をなくせるシステムを整えていきたいですね。また、医療スタッフの心のケアにも注力していきます。患者さんを幸せにするためには、まずスタッフ自身が幸せであることが大前提だからです。そこで当院では「疲れない医療」をめざし、南宇和病院でやろうとして実現できなかったユマニチュードの導入を考えています。これは認知症の患者さんに対するケアの手法なのですが、取り入れることでケアする側にも良い影響があるらしいのです。こうした取り組みも行いながら、白岡先生から継承させていただいたクリニックをさらに発展させていきたいですね。

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