胸やデコルテ、背中のニキビ
悪化する前に皮膚科で適切に治療を
わたなべ皮膚科
(横浜市港北区/日吉駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
胸やデコルテ、背中などにも「体ニキビ」や「背中ニキビ」と言われるニキビができることがある。思春期はもちろん、思春期以降にできるニキビも、胸や背中にできることは少なくない。顔のニキビよりは目立たないが、ニキビが気になって好きなデザインの服が着れないことや、かゆみや痛みに悩んでいる人も多いようだ。そこで、顔だけでなく、胸や背中にできるニキビの治療にも力を入れる「わたなべ皮膚科」の渡邉佳恵院長に取材した。小児科と連携した皮膚科診療も行う渡邉院長は、早くに思春期を迎えた小学生のニキビ治療にも対応しているとのこと。また、薬だけではなく、スキンケアや日常生活の指導も重視しているのも特徴だ。ぜひ参考にしてほしい。
(取材日2021年5月6日)
目次
胸や背中にもできるニキビ。放置して悪化するとニキビ痕が残ることも。早めの皮膚科受診で適切な治療を
- Qまず、ニキビについて教えてください。
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A
▲穏やかな口調で丁寧に説明してくれる渡邉先生
皮膚では、皮脂腺でつくられた皮脂が毛穴を通って分泌され、皮脂膜を形成して表面を覆い、健康な状態に保ちます。しかし、古い角質などがたまって毛穴が閉塞したり、性ホルモンの分泌量が増加して皮脂の分泌が多量になったりすると、皮脂が毛穴の中にたまってコメドというものがつくられます。ここに、アクネ菌という細菌が炎症を起こすのが、顔にできやすい赤ニキビ(紅色丘疹)です。思春期のニキビは、額など顔の上半分に、思春期以降のいわゆる大人ニキビは顔の下半分、顎のラインなどにできやすいとされています。またニキビができやすい部位は皮脂腺が発達しているところで、顔面のほか、胸や背中にできることもあります。
- Q胸や背中のニキビで悩む若い方も多いようですね。
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A
▲患者一人ひとりに寄り添った、さまざまなアドバイスをくれる
胸やデコルテ、背中の肩甲骨から肩口にかけては、皮脂腺が発達しているのでニキビができやすいのです。こうした体のニキビは、アクネ菌だけではなく、マラセチア菌が関係していることもあります。マラセチア菌とは、体に多く存在する真菌、つまりカビの一種です。毛根を保護している毛包内でマラセチア菌が炎症を引き起こすことにより、マラセチア毛包炎となってニキビとなります。衣類による摩擦も悪化させる原因になります。また、皮脂分泌が増える春から夏に悪化しやすいのも特徴です。特に背中は皮脂を含んだ汗をかきやすいことから、放っておくと毛穴がつまり、背中ニキビになりやすいのです。
- Qニキビには、どのような治療方法がありますか?
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A
▲パンフレット等を用いたわかりやすい説明を心がけている
最近は、毛穴の閉塞を除去する薬や、アクネ菌の増殖を抑える薬、炎症を抑える薬など、さまざまな治療薬が開発されています。顔のニキビだけでなく、胸や背中のニキビも症状に応じて治療薬を処方します。ただし外用剤は適切な量を正しく塗る必要があり、また治療の成果が感じられるまでの期間には個人差があります。すぐに効果が出なくても諦めずに、医師の指導に従って治療を続けていくことが大切です。ニキビを触ったりつぶしたりすると、化膿してニキビ痕を残す原因にもなります。体を洗う時や保湿などのスキンケア、薬を塗る時以外は、ニキビに触れないようにしましょう。
- Q思春期のニキビは、子どもにもできるのでしょうか。
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A
▲早めの受診・相談を呼びかけている
思春期とは、10歳前後から始まる第二次性徴に伴い、体が子どもから大人へと変化する時期です。特に女の子の場合は、9歳ぐらいで月経が始まっている子も珍しくないので、その頃から顔を中心にニキビができる場合もあります。子どものニキビも、皮膚を清潔にして症状に合った薬を使うことが基本ですが、本人に「ニキビを治したい」という気持ちが弱く、治療が続かないことが問題となりがちです。子どものニキビを放置しておくと炎症を起こしたり、でこぼこしたニキビ痕が残ったりする場合もあるので、やはり早いうちからの治療が勧められます。当院では、保護者の方ともよく相談しながら、本人が続けやすいような治療を心がけています。
- Q日常生活では、どのような注意が必要ですか?
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A
▲日常生活においての注意点もわかりやすく説明
胸や背中のニキビは下着や衣服による摩擦で悪化しやすいので、皮膚に密着するものや、織りの粗い繊維は避けたほうがよいでしょう。また、皮膚を清潔に保つことは重要ですが、体を洗う際には、ナイロンタオルではなく、綿のタオルなどで優しく洗うように心がけてください。洗顔料やボディーソープのすすぎ残しで悪化することもあるので注意が必要です。皮膚の表面の角層の保水機能が低下し乾燥しやすくなっている場合もありますので、皮膚の状態に応じて保湿することも必要です。また、特に大人のニキビでは、ストレスや不規則な生活がニキビを悪化させる原因になっていることが多いので、ニキビの出やすい人は注意してください。