永堀 通男 院長の独自取材記事
町田ながほり眼科
(町田市/町田駅)
最終更新日:2025/02/26

JR横浜線町田駅から徒歩約1分。医療モールの5階にあるのが「町田ながほり眼科」だ。開業から10年以上、多くの地域住民に親しまれてきた同院。モノトーンを基調とした院内にはリラックスできる空間が広がり、病院特有の緊張感を与えないよう配慮されている。日本眼科学会眼科専門医の永堀通男院長は、これまで数多くの手術を手がけてきた白内障治療の専門家。患者のライフスタイルに合わせ、一般的な単焦点眼内レンズに加え、多焦点眼内レンズを用いた手術にも力を入れている。「手術も診療も丁寧に、医療の質を維持しながら診療を続けていきたいですね」と語る永堀院長に、同院の特徴や診療のモットーを聞いた。
(取材日2024年2月19日/更新日2025年2月17日)
白内障や緑内障から結膜炎などの急性疾患まで対応
まずは、クリニックのこだわりを教えてください。

患者さんにリラックスして過ごしていただけるよう、内装は病院を専門に手がける業者ではなく、一般住宅のデザイナーにお願いしました。患者さんからは、病院独特の雰囲気がなく居心地が良いと褒めていただけることもあります。色調はデザイナーと相談しながら決めましたが、基本的にはモノトーンでも堅くならないようにというオーダーを出しました。都会的でありながら、リラックスできるような空間に仕上げられたと思っています。また、良いスタッフに恵まれたことにも感謝しています。意識の高いスタッフばかりで、患者さんの接遇も含め安心して任せています。「こまやかな心遣いが素晴らしい」と幅広い年代の患者さんに言っていただいてます。
どのような患者さんが来院されていますか?
町田は若者の多い町ですが、当院の患者さんは60~70代の方が中心ですね。駅前なので、買い物の帰りに立ち寄られる方も多いようです。私が東海大学医学部付属八王子病院の眼科に勤務していた頃から診ている患者さんが、遠方から足を運んでくださることもあります。基本的には地域に根差した医院ということで、地域密着型の医療提供をめざしてきました。手術などを含め、高齢者は白内障関連の患者さんが一番多いですね。本人は白内障だという自覚がまったくなく、ただ視力が落ちたからと眼鏡を作りに来られて、検査をしてみたら白内障とわかることもあります。また、高齢の患者さんが増加するにつれて、緑内障の患者さんも増えている印象ですね。
高齢化に伴い、白内障の患者が増加していると聞きました。

ええ。白内障は目の中にある水晶体が白く濁る病気で、カメラのレンズが曇って写真がぼやけるように物が霞んで見えるようになります。この水晶体の白濁は加齢が原因で起こることが多いため、高齢化が進めば罹患数も増加するでしょう。水晶体の濁りはゆっくりと進みますので、最初のうちは気づきにくいのです。そして、一度濁った水晶体は元に戻りませんので、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の水晶体を入れて視力の改善を試みる白内障の手術を行います。
若い方やお子さんには、どんな診療をされていますか?
若い方は結膜炎やものもらいが多いです。夕方になると、20代や30代くらいの結膜炎の患者さんをはじめ、急性疾患で来院される方もいらっしゃいますよ。また、お子さんに対しては、オルソケラトロジーを導入し、視力の補正にも力を入れています。これは、特殊なコンタクトレンズで角膜の形状を一時的に整えるためのもの。就寝時のみレンズを装着していただき起床時には外せるので、日中は眼鏡やコンタクトレンズをする必要がほぼなくなります。ですので、スポーツなどをされるお子さんにお勧めです。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術に力を入れる
白内障の手術について、詳しく教えてください。

白内障の手術は、日帰りで行っています。白内障手術では、目を2〜3ミリほどしか切開しませんし、手術時間も10分程度と短く終わります。麻酔は点眼ですから、注射による痛みもほとんどありません。また、当院では新鋭のレフラクトメータを導入しており、手術中に変動する屈折の情報をリアルタイムで把握し、術前のデータと比較しながら眼内レンズを選択することで、より満足度の高い見え方を提供できるよう努めています。日帰り手術は、医院に来てから帰宅の途につくまで1時間半程度ですし、手術後は簡単な家事や事務程度でしたら当日、もしくは翌日から可能です。激しいスポーツや飲酒などについては、術後の説明に従っていただくようにしています。手術は水曜日に集中して行っています。近年は技術や設備も進化して、多くの眼科クリニックで白内障の手術は日帰りで行っています。
選定療養になる、多焦点眼内レンズを用いた治療にも対応しているのですね。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、選定療養が使えます。簡単に言うと、保険診療と自由診療の混合診療が認められている感じです。多焦点眼内レンズ自体の費用は自費となりますが、それ以外の一般的な単焦点眼内レンズによる白内障手術でも必要とされる処置や診察は、保険診療で行えるのです。単焦点眼内レンズは、1ヵ所にピントを合わせますので、例えば、遠くにピントを合わせて治療をすれば、手元を見るときには眼鏡を使います。一方の多焦点眼内レンズは3焦点となり、近くと遠く、さらに真ん中にもピントを合わせられるので、眼鏡がいらない生活も期待できます。
多焦点眼内レンズのほうが優れているのですか?

患者さんにはそれぞれの生活スタイルがありますから、全員に多焦点眼内レンズが良いわけではありません。それに、多焦点眼内レンズには、夜間の光がまぶしかったり、にじんだりするという特性もあるので、例えば、夜間に車を運転する人などには向いていません。ですから、手術前にはカウンセリングで生活習慣や見え方の希望を丁寧にヒアリングし、詳細な検査の結果も合わせながら、適切な眼内レンズを提案しています。
ほかにも、加齢に伴って発症しやすい病気はあるのでしょうか?
加齢黄斑変性症が代表的です。加齢黄斑変性症とは、加齢が原因で網膜の中心部に障害が生じ、物が歪んで見えたり視力が低下したりする疾患です。当院では、抗VEGF療法(抗血管新生療法)を行っています。これは網膜静脈閉塞症、糖尿病黄斑浮腫にも適しているとされる治療方法ですが、角膜から3~4ミリの位置に注射するため、豊富な経験が求められます。当院は、町のクリニックながらこの治療に対応しています。また、治療前には丁寧に説明して、細菌感染を防ぐための前準備も徹底するなど、さまざまな形で患者さんの不安の軽減に努めています。
持てる技術を駆使して、地域に貢献したい
目の病気は症状が悪くなってから受診する人も多いそうですね。

視力が落ちても生活に支障がなければ、眼科に足を運ばない方が多いんですよ。特に白内障の進行は緩やかなので、非常に悪くなってから受診する人もいますが、特に、60歳を過ぎて目や見え方に違和感があるのなら、早めに受診していただきたいですね。そして、当院では患者さんのお話を聞き、生活的な背景を考えながらしっかり説明するようにしています。例えば、外出が少ない高齢の方であれば、無理に手術をお勧めしません。それは、患者さんの生活に必要な生活視力というものがあるからです。このように、生活スタイルも考慮し、その人にとって一番良い治療を選択するのが私の役目だと考えています。
目を治療することで、生活の質も変わりますか?
目の治療は「物が見えるようになる」ことを目的としているものですから、人生への影響も大きいと言えるかもしれません。例えば、白内障の患者さんは、最初はすべてをネガティブに捉える傾向があります。でも、手術後に一転して、明るくなった患者さんの表情を見られると、良い仕事をしているなと思えるんですよね。患者さんの変化を見ることができるのは、眼科ならではの特徴かもしれません。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

患者さんの細かなサインをできるだけ察知して、全身的な健康や生活環境にも目を向けるように心がけています。特に、患者さんの年齢層が高い眼科の現場では、そういった気遣いが必須です。たとえ患者さんが増えても、「手術も診療も慎重に丁寧に」をモットーに、医療の質を維持しながら診療を続けていきたいと思います。こまやかな心遣いと心地良い対応をお褒めいただけている優秀なスタッフとともに、これからも皆さんの健康をしっかりサポートし、地域に貢献するクリニックをめざしていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは多焦点眼内レンズによる白内障手術/3焦点眼内レンズ28万円~(片眼、選定療養費)