全国のドクター13,639人の想いを取材
クリニック・病院 157,066件の情報を掲載(2025年5月07日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 京都府
  3. 京都市右京区
  4. 嵯峨嵐山駅
  5. はまなかクリニック
  6. 濱中 正嗣 院長

濱中 正嗣 院長の独自取材記事

はまなかクリニック

(京都市右京区/嵯峨嵐山駅)

最終更新日:2025/04/14

濱中正嗣院長 はまなかクリニック main

2020年12月に開業した「はまなかクリニック」。通院が困難になった患者のための訪問診療を専門とするクリニックで、必要とあれば24時間365日患者のもとに駆けつけ、往診も実施している。院長を務める濱中正嗣(はまなか・まさし)先生は、長年にわたり神経疾患や脳血管疾患を専門としてきたベテラン医師。患者の多くは、脳卒中やパーキンソン症候群など神経内科疾患の患者が中心だが、一般内科やリハビリテーションにも対応する。「患者さんの家族と過ごしたいという思いを大切にしたい」と語る濱中院長。常に患者やその家族のことを思い、介護や福祉、近隣医療機関とも連携し、幅広いサポートをめざしている。今回は訪問診療専門クリニックを開業しようと思ったきっかけや診療時の心がけなど、たっぷりと話を聞いた。

(取材日2024年8月6日)

専門分野を生かし、医療貢献したいとクリニックを開業

医師を志し、脳神経内科を専門とされた理由は何ですか?

濱中正嗣院長 はまなかクリニック1

そもそも医師になった理由は、目の前で家族や友人が倒れるようなことがあったら、助けられるような人になりたいと思ったからです。一つのきっかけは医師だった祖父で、家族の体調が悪くなった時に素早く処置したのを見て、「身近に医療の知識がある人がいることは大切だな」「自分も何かあれば家族の助けになれる人になりたい」と考えるようになりました。その中でも脳神経内科を選択したのは、脳神経疾患が人の命に大きく関与しながらも、まだまだメジャーな分野でなかったから。これからは老年内科が重要になると考えていたこともあって、脳神経分野について広く勉強して、神経難病で苦しむ人を助けたいという思いからでした。

勤務医時代のお話も伺えますか?

近畿大学を卒業した後は、京都府立医科大学附属病院の脳神経内科に入局しました。できるだけ現場の臨床経験を積みたいと、関連病院での勤務を希望しまして、綾部市立病院では一般内科と神経内科の両方を診療し、幅広くさまざまな疾患に関して臨床経験を積むことができました。その後、再び大学病院に戻り、もう一度成長した中で神経内科を深く学び直しました。その後は国立循環器病センターや京都第二赤十字病院、京都第一赤十字病院などに勤め、2020年12月にはまなかクリニックを開院しました。現在も京都第一赤十字病院と京都第二赤十字病院とのご縁は続いていて、週に1回ずつ外来勤務しています。

開業された経緯について教えてください。

濱中正嗣院長 はまなかクリニック2

これまで頭痛やめまい、認知症、脳卒中、脳炎、てんかん、パーキンソン病などの患者さんを数多く診てきました。特にパーキンソン病などの難病の患者さんの場合、状態が良くなることは少なくて、徐々に進行していくケースがほとんどです。治療ではできるだけ進行を抑えられるようコントロールすることが大切なのですが、脳神経内科を専門とする訪問診療の医師は少なく、加齢などによって外来通院ができなくなると、病態が大きく進行してしまう患者さんが多いことを残念に思っていました。しっかりと患者さんを見守れる訪問診療専門の医師の重要性を感じて、訪問診療の世界に飛び込んだというわけです。

脳神経内科という専門性を強みに、在宅患者をサポート

具体的にどんな患者さんを診ているのですか?

濱中正嗣院長 はまなかクリニック3

筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症などの神経難病、脳卒中、認知症、てんかんなどの患者さんが大半で、脳神経内科を専門とする医師に診てもらいたいと、当院に依頼されている方がほとんどです。もちろん、一般内科についても幅広く診療してきましたので、糖尿病や高血圧など一般内科疾患の患者さんもいらっしゃいます。ご年齢や病態はさまざまですが、多くの方が高齢で、重度の方がほとんど。少しでもお役に立ちたいと、右京区だけでなく、伏見区、山科区、北区のほうまで行ったりと、訪問診療の保険対象範囲である16kmギリギリまで、ご希望があれば訪問させていただくようにしています。

訪問診療にはどのようなメリットがありますか?

訪問診療のメリットは、在宅で待ち時間なく、普段の生活を維持しながら診療が受けられることです。通院が一つの健康のバロメーターになっている人は外来に来ていただくのがいいと思うのですが、寝たきりや車いすの方にとっては、通院すること自体が体の負担になりますし、付き添う家族の負担も大きいでしょう。通院のために時間・労力・コストを費やすことになった時には、訪問診療を検討するタイミングではないかと思います。デメリットでいうと、検査がしにくいといった面がありますが、最近はポータブルの検査機器もそろっています。当院でも血液検査、心電図、超音波検査などは対応していますし、検査結果も次回往診時に結果説明を基本としておりますが、異常値など認めた際、結果を早くお伝えする必要があった際には電話やSNSなどを通じてご家族に素早くお伝えするようにしています。

診療において力を入れていらっしゃることは何ですか?

濱中正嗣院長 はまなかクリニック4

症状を悪化させないことに特に注意しています。在宅医療を選ばれている患者さんは、ギリギリの状態という人も少なくありません。ちょっとした感染症でも生活が成り立たなくなるケースも多く、万が一病態が悪化して入院となれば、ご自宅に戻ること自体が難しくなるかもしれません。患者さんやそのご家族は、少しでも家族で過ごす時間をつくりたいという思いで在宅医療を選択されているので、その気持ちを少しでもサポートすることが私たちの務め。粘るところは粘るけれど、病態を見極めて治療介入をする時は素早く判断することを大切にしています。また当院は訪問診療専門ですが、24時間365日体制で診療にあたり、往診にも対応しています。私がほかの病院で診療を行っている時も、万が一の時には他の先生に診療を代わってもらったり、私が出られない時には他の先生が往診に行ったりするシステムになっていますので、安心してほしいですね。

患者と家族に寄り添い、安心した暮らしを提供したい

患者さんと接する上で心がけていることは何でしょうか。

濱中正嗣院長 はまなかクリニック5

その患者さんの病気を診ることはもちろんですが、「患者さんがどうしたらご自宅で過ごすことができるか」「どうやったら本人や家族の負担が減らせるか」といったサポートを大切にしています。例えば、足腰が悪い患者さんには安全に過ごせるよう階段に手すりや滑り止めを取りつけるようアドバイスしたり、訪問看護や訪問リハビリテーションを導入、ご家族がずっと見守れない時には介護や福祉につないだりするようケアマネジャーに提案したりします。さまざまな神経難病にはそれぞれに伴った制度や補助があったりするので、申請の仕方やコストに関するご相談なども積極的に行っています。そういった専門性の高い相談ができるのも、訪問診療の中でも脳神経内科を専門とする当院ならではだと思います。

ご家族に対して、アドバイスなどございますか?

介護は終わりが見えないものですから、疲れているなと感じた時には、素直に相談していただきたいですね。疲労が蓄積した時には、患者さんが家族のために一時的に入院するレスパイト入院を受け入れている病院をご紹介できます。また医療面に限らず、介護や生活での困りごとも、遠慮せずに気軽に話してほしいです。在宅診療は、さまざまなネットワークを使って、解決していくことが大事。ケアマネジャーやホームヘルパーさん、訪問看護師など、みんなで情報共有をしながら一人の患者さんをチームでサポートするという体制を組んでいますので、「一人で抱え込まないで」とお伝えしたいです。

今後の展望と読者へメッセージをお願いします。

濱中正嗣院長 はまなかクリニック6

家族が一緒に暮らせる時間をつくってあげたいというのが、われわれの思いです。時には諦めそうになることもあるでしょうが、サポートできる方法を一緒に探したいと思っていますので、まずはご相談ください。当院では独自のネットワーク構築にも力を注いでおり、病院の先生方に訪問診療の現場を知っていただく取り組みや後進の育成にも尽力しています。また訪問リハビリテーションにも力を入れ、専門スタッフの派遣も積極的に行っています。自宅でも十分にリハビリテーションができるのかと疑問に思うかもしれませんが、週に2~3回、約40分かけてリハビリテーションを定期的に行うことで、状況に応じてお薬を減らせたり、呼吸がしやすくなったりといったことも期待できます。ご自宅で過ごしたいという思いに、しっかりと寄り添ってサポートしますので、いつでもご相談ください。

Access