歯の神経を取りたくない人に知ってほしい
歯髄保存法という選択肢
東有馬おとなこども歯科
(川崎市宮前区/鷺沼駅)
最終更新日:2023/05/25
- 自由診療
歯科治療を受けた際に、虫歯が進行しているので神経を取る必要がありますと言われたことがある人も少なくないだろう。しかし、「歯の神経を残したまま治療をすることで期待できるメリットは、少なくありません」と話すのが「東有馬おとなこども歯科」の井戸俊輔院長。同院では、ある程度進行してしまった虫歯でも「歯髄保存療法」によって、できるだけ神経を残したままで治療を進めることにより、患者の天然の歯を少しでも長持ちさせることをめざしていると言う。そこで、同院が取り組む歯髄保存療法について、井戸院長に詳しく教えてもらった。
(取材日2023年3月27日)
目次
歯の神経を残すためには、強い痛みなどの症状が出る前に治療することが大切
- Q歯の神経を残すための治療について教えてください。
-
A
自分自身や家族などで、虫歯が進んでしまっているので神経を取らないといけませんと言われたことがある人は、少なくないと思います。そのようなときに、一般的に歯の神経と呼ばれている歯髄を残したままで治療を進め、歯を長持ちさせることをめざすのが、「歯髄保存療法」です。神経を取ってしまえば痛みを感じにくくなり、しばらくは安定させることが見込めるので、歯科医師が神経を取るという選択をすることは少なくありません。しかし、神経を取ってしまった歯はいずれ失われてしまうリスクが高くなります。そのため、治療後に痛みが再発するリスクはありますが、できるだけ神経を残したままで治療を進めることが大切だと考えています。
- Qなぜ、神経を取ると歯を失ってしまうリスクが高くなるのですか?
-
A
国内でのデータによると、神経を取る治療をした歯の再治療率は約50%と非常に高いことがわかっているほか、虫歯の治療などで同じ歯を6回ほど繰り返し削ると、抜歯になる恐れがあるといわれています。また、神経を取る治療では歯の根っこの部分まで大きく削り取らないといけなくなり、その分だけ歯が薄く、脆くなり割れやすくなります。さらに、神経を取ると痛みを感じにくくなりますから、気づかないうちに虫歯が大きく進行してしまうリスクなどもあるのです。そのため、歯の神経を残したまま治療を進めることは、再治療や歯を削る量を少なくすることにもつながり、自分の歯を長持ちさせることが望めると考えています。
- Qどのようなときなら、神経を残せるのでしょうか?
-
A
虫歯によって歯がしみたり、多少の違和感があったりしても強い痛みが出ていない場合には、虫歯菌による感染が神経の深いところまで達してないと予想されるため、神経を残したまま治療を進めることができる可能性が高いです。逆に、何もしていなくてもズキズキとした強い痛みや、食べ物が噛めないなどの症状が出ている場合は、感染が神経の深いところまで達している恐れがあります。以前にそれらの症状があったけどなくなったような場合でも、神経がすでに駄目になっている可能性が高いため、神経を残す治療を行ってもうまくいかないことがほとんどです。また、強い痛みなどがない場合でも、神経を残せないケースもあります。
- Q歯髄保存療法の流れを教えてください。
-
A
最初に麻酔をしてから、治療中に唾液や細菌が治療箇所に入らないようラバーダムと呼ばれるシートをつけます。次に、虫歯の部分を青く染める虫歯検知液と呼ばれる特殊な液で何回も染めながら、虫歯を削り取っていきます。そうすると神経の一部が露出してきますので、その部分を特殊な歯科用MTAセメントで密封します。ここまでにかかる時間は、場所や大きさによって変わりますが60〜90分程度です。そして、痛みが出ないかなどを1週間ほど確認して、問題がなければ神経を残すための治療自体は終わりです。続いて、かぶせ物を作るための型を採り、10日〜2週間程度でかぶせ物が完成したら装着して、全体の治療も終了になります。
- Q歯を長持ちさせるには、何が大切でしょうか?
-
A
やはり定期検診を受けることでしょう。初期の虫歯なら、仮に2〜3ヵ所あっても1回で治療を終わらせることも望めますし、その分だけ費用もかからないなど、患者さんにとって負担が少なくて済みます。一方で、神経を残すための治療をすれば通院も1回では終わらずに、費用もかかります。さらに、神経を取らなくてはならなくなると、それ以上に通院の回数がかかるほか、歯が弱くなり、再治療のリスクも高くなります。これらのことを考えると、定期的に検診を受けて、虫歯や歯周病を小さいうちに発見して治療することが、患者さんや私たち歯科医師にとってもメリットが大きいと思います。当院では、3〜4ヵ月に1回の検診受診をお勧めしています。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯髄保存療法/1万5000円~3万5000円(症状により変動)
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。