井戸 俊輔 院長の独自取材記事
東有馬おとなこども歯科
(川崎市宮前区/鷺沼駅)
最終更新日:2024/09/03

鷺沼駅からバスで約7分。下有馬バス停を降りてすぐのメディカルビル3階にあるのが「東有馬おとなこども歯科」だ。エントランスを入ると、木がふんだんに使われた心地良い空間が広がっている。井戸俊輔院長は、子どもたちを中心に近隣に暮らす幅広い年代の口腔環境を守っていきたいと2021年3月に開業した。院内はすべてバリアフリーで、キッズスペースが併設された診療室も用意。トイレにはおむつ交換台も設置するなど、子ども連れに優しいクリニックとなっている。将来、歯科治療を繰り返すことのないようにと子どもの予防歯科に注力。また、小さい子どもの治療をするときには、待合室でのたたずまいを観察して、その日にどこまで治療可能か見定めているという。そんな井戸院長に話を聞いた。
(取材日2024年7月9日)
大人と子どもの予防を重視。歯を守るための診療を提供
こちらの診療方針についてお聞かせください。

まず大人と子どもの予防歯科に力を入れています。歯の治療はいわば、壊しては治す、壊しては治す、の繰り返しです。それを重ねていくと、やがて歯がもろくなって長持ちしなくなるリスクも高まります。これまで保険診療や自由診療などさまざまな治療に携わってきましたが、やはり治療の必要のない歯を維持することが重要で、時代の流れも予防重視になっています。もともと地域の皆さまの歯を守っていきたいという強い想いがありました。クリニック名に「おとなこども」と名づけたのもそんな気持ちが込められています。患者さんの話をよく聞くことを重視し、どんなことでも話しやすい雰囲気づくりをして、納得して治療に臨めるように心がけています。
治療を提供する上でのこだわりはありますか。
時間をつくってきちんと来院してくださる方に対してはしっかり時間を取り、なるべく治療回数を減らせるように治療を行うことを大切にしています。患者さんは来院して治療を受け帰宅をするというように、忙しい中でも時間を割いて来院していただいていますよね。ですから、なるべく待ち時間を減らしてスムーズに案内するために予約制にし、一人に対して30分以上かけて治療を行います。また、肉眼の5倍見える拡大鏡やCTなど先端機器を用いて再治療にならない治療の提供をめざしています。
待合室や診療室がとても広く、心地良く過ごせそうですね。

床や天井、棚などに木をたくさん使用して温かい雰囲気になるよう工夫しました。院内はバリアフリーで、待合室から診療室までベビーカーでも入れますし、各診療室も広いスペースを取っています。キッズスペースは待合室に1ヵ所と、診療室内にある2台のユニットそばに設置しています。なので、お子さん連れの方でも安心して治療を受けていただけると思います。院内の感染症対策も徹底しています。治療器具はヨーロッパ水準のクラスBの滅菌器による滅菌を行い、使い捨てできるものはすべて使い捨てにしています。医療用の空気清浄機や強力な口腔外バキュームなども設置して、クリーンな環境を維持するよう努めています。
セラミックやインプラントも対応し再治療リスク低減を
力を入れている治療について教えてください。

当院では一般歯科から小児歯科はもちろんのこと、セラミック治療、インプラント治療、入れ歯、根管治療、矯正歯科などさまざまな診療を提供しています。勉強会も好きで診療の合間に参加し最新技術を学んでいますので、どの年代でもお気軽に来院ください。特に、最近ではセラミックとインプラントを使った治療に注力しています。銀歯で詰め物やかぶせ物をした場合、10年後に再治療が必要になる確率は高い傾向にあるといわれています。なので、再治療を防ぐためという意味でもセラミック治療は意義があると思います。セラミックはメタルフリーで汚れもつきにくく、虫歯になるリスクも低いといったメリットもお話しして、患者さんのご要望に合わせながら提案しています。また、インプラント治療では、サージェリーガイドシステムを使い、安全性に配慮しながらより確実な治療をめざしています。
予防歯科に対するお考えを教えてください。
患者さんのほとんどが、歯を失ってからその大切さに気づきます。歯を削ってしまったり歯を抜いてしまうと元には戻せません。日本人の健康に関する後悔ランキングとして「歯の定期検診に行っておけばよかった」が上位にランクインしているほど、治療をすることになってからやっとその大切さに気づくのです。ご自身や家族の大切な歯を守るためにも定期検診を受けてください。当院では歯周病の説明をするとともに、染め出しチェックをして汚れが残りやすいところを確認してもらい、ブラッシングの指導とクリーニングを丁寧に行っています。歯科衛生士と連携しながら、生涯ご自身の歯で過ごせるようにサポートしていきますので、お気軽に来院ください。
診療の際はどんなことを心がけていますか。

治療前、治療中、治療後と口腔内写真を撮影して、その画像を見せながら症状や治療についてわかりやすく説明することを心がけています。また、再治療の少ない治療にこだわり、すべての治療において拡大鏡を使用しています。拡大鏡を使うと肉眼より5倍よく見えるので、より早い段階で虫歯や歯周病を確認できますし、虫歯治療では削る部分を最小限に抑えることにも役立ちます。こうした精密な治療と予防で再治療の必要のない歯を維持できればと思っています。
顎の骨や機能にも着目し、気がかりに早期から介入
小児の診療にも力を入れていらっしゃるのですね。

小児予防に注力しており、フッ素の正しい使い方や成長段階に合わせた予防ケアなど、永久歯を守るためにその時々で何ができるのかを、歯科医師の視点からお伝えしています。また、近年では顎の骨の発育が不十分で、歯並びに問題が出るお子さんの増加が気がかりです。10代まで様子を見てから従来の方法で矯正しても、装置を外すとまた元に戻ってしまうことも考えられます。幼少期から舌や口周りの筋肉の使い方が間違っていたり、不十分だったりすることに端を発する場合が多いので、5歳から9歳まで取り組めるマウスピース型装置を用いての口腔筋機能トレーニングも導入しています。就寝時と起きている間の1時間ほど装置をつけ、毎日5〜10分ほど訓練する方法です。舌の位置を正してよく噛めるようになることや、口呼吸を鼻呼吸へ直すことも期待できます。口元が引き締まれば、顔貌がグッと変わることも見込まれます。
子どもの診療ではどんなことに気をつけていらっしゃいますか。
嫌がる子どもを押さえつけて無理に治療することはありません。一人ひとりその子の様子を見ながら、その時できることだけを行っています。最初は歯科に慣れてもらうことから始めています。子どもの好きなことについて話しかけることも多いですね。中でも初診では、待合室で待っている時の様子を必ず見に行っています。名前を呼んで話ができるようであれば、その日の治療は大丈夫だな、とか、言葉をかけておびえるような顔をしたり親御さんの陰に隠れるようであればその日は難しいかもしれないと判断したり。その時の様子でその子の気持ちがだいたいわかります。大きな虫歯で痛みが出て受診されたときなど、親御さんは当日に治療をしてほしいというケースもあるのですが、難しい場合は治療せず、少し歯科に慣れてもらってから治療するようにしています。当日無理に治療するよりも、お子さんが歯科環境に慣れてから治療したほうがメリットは大きいと思うからです。
最後に、今後の展望をお願いいたします。

悪くなってしまった歯はもちろん治療しますが、そうなる前の健康な状態を維持する予防歯科にさらに力を注いでいきたいと考えています。2〜3ヵ月に1度の定期受診で良い状態をキープしつつ、歯並びや口腔機能発達不全などの問題があれば、早期からトータルにアプローチしていきたいです。お口周りに悪い癖があると、良い状態を保つことが難しくなりますが、早くに直せれば、将来的にめざせるゴールが変わってきます。大人になってからの負担を軽減するためにも、成長を生かせる小児のうちから改善に取り組むのがベター。お子さんの場合、1歳半健診での初来院が多いですが、特別な気がかりが発生する前から、歯が生えたらすぐにご相談いただくことをお勧めします。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを使った治療/5万5000円~、インプラント治療/30万円~、骨造成手術/5万円~、小児矯正治療/30万円~、マウスピース型装置を用いたトレーニング/3万3000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。