羽出山 万祐美 院長の独自取材記事
戸畑眼科クリニック
(北九州市戸畑区/戸畑駅)
最終更新日:2024/08/27
地域密着の眼科クリニックとして、子どもから高齢者まで幅広い年代のさまざまな疾患に対応している「戸畑眼科クリニック」。2020年に、戸畑駅ビル2階というアクセス抜群の場所に、羽出山万祐美(はでやま・まゆみ)院長が開業した。昭和大学医学部を卒業後、順天堂大学医学部附属浦安病院や戸畑総合病院などで研鑽を積んできた羽出山院長。現在は、一般的な眼科診療に加え、子どもの弱視・斜視の診察やコンタクトレンズの処方、さらにはドライアイに対する「IPL治療」、近視の視力矯正「オルソケラトロジー」など、先進的な治療にも積極的に取り組んでいる。「年齢によって目の状態も変わります。いつまでも同じだとは思わず、気になることがあれば何でも相談してください」と、話す羽出山院長に、同院の診療内容についてじっくり聞いた。
(取材日2024年7月10日)
患者と丁寧なコミュニケーションを積み重ねる
患者さんと接する時に心がけていることは何ですか?
目のプロフェッショナルとして、何が原因なのか、どういう処置が必要なのかをわかりやすくご説明して、患者さんに納得して通院していただくことを大切に診療にあたっています。例えば、中途失明の原因疾患1位である緑内障は、1~2ヵ月ごとに眼圧をチェックし、半年に1回は視野検査、OCT検査(眼底三次元画像解析)などにより経過を見ていく必要があります。白内障も視力が下がってきていないか確認するために定期受診の必要がありますし、糖尿病網膜症の患者さんには食事制限の話を眼科でも必ずします。検査や通院の意味を理解していただけるよう、患者さんと丁寧なコミュニケーションを積み重ね、見え方の問題や目の違和感などについて少しでも改善が望めるようにアドバイスしていけたらと思っています。
斜視や弱視など、子どもの診療にも注力されていますね。
人間は生まれてから徐々に視力を獲得していきます。臨界期は6歳か7歳までといわれていて、それ以降は視力の獲得が難しくなっていきます。小児では目に異常があると弱視になる可能性があります。訴えの出ない子どもから異常を見つけ治療に入るためには、小児科の先生との連携が大切です。少しでも目に関して気がかりなことがあれば、当院へ足を運んでいただくようお願いしています。そうすることで「本来治療を受けられるはずだったお子さん」を取りこぼさないようにしていきたいです。
最近、診察していて気になることがあるそうですね。
目元をしっかり洗えていない方が案外多いように思います。ご高齢の方は顔を洗う頻度が減っていたり、若い女性は化粧品類が付着したままになっていたり。そうしてマイボーム腺が詰まると、ドライアイや違和感の原因になることもあります。目元の上手な洗い方や、ホットアイマスクでマイボーム腺の脂へアプローチするための方法などを紹介しますので、ぜひ実践してみてください。また、インターネットでコンタクトレンズを購入する方が増えています。見え方が悪い、目が疲れるなどの訴えで受診される方の中には、レンズの度数が合っていないケースも考えられます。また、トラブルが多いのはカラーコンタクトレンズです。ファッション性や価格の安さだけで選んでしまうためだと思います。おしゃれアイテムとして使いたい気持ちは理解できますので、当院では眼科の医師の目で選んだメーカーのカラーコンタクトレンズを紹介しています。
ドライアイの新しい治療法、「IPL治療」に取り組む
どのような患者さんが多く来院されていますか?
0歳児から90代まで、幅広い年齢層の方が来られています。ご高齢の方は、白内障や緑内障をはじめ、加齢黄斑変性などの眼底疾患や加齢による涙液減少など、中高年では生活習慣病に関連した糖尿病網膜症や高血圧性眼底、老眼などの訴えなどが多いです。また、若い方は眼鏡やコンタクトによる視力の矯正やアレルギー疾患などで来院されています。小児眼科にも対応しているため、近隣の小児科の先生からのご紹介もあります。小児科健診で目の異常が疑われた時、当院のような眼科へバトンタッチしていただき、斜視や弱視などの異常がないか、治療が必要かを判断します。困っている患者さんやご家族としっかりお話をして治療の方針を相談し、重症な疾患は大きな病院へつなぐことも当院のようなクリニックの役割だと考えています。
ドライアイに対する新しい治療法を導入されています。詳しく教えてください。
今、ドライアイで悩む方が非常に増えています。メインの治療は点眼ですが、これだけで十分効果が望めないような方には次の一手として、「IPL治療」という新しい治療法を提案しています。マイボーム腺というまつげの根元にある脂を出す腺の機能不全に対する治療法で、ここを整えるよう図ることでドライアイの改善が見込めます。まぶしくないように目にカバーをつけ、基本的には目の下部分、場合によっては目の上部分にも特殊な光を照射します。痛みは少なく、所要時間は約10分。月1回の施術を4~5回続け、これを1セットとして経過を見ていきます。デメリットとしては、自由診療なので費用はかかります。IPL治療用の機器を導入しているクリニックはこの辺りではまだ少ないと思いますので、ドライアイでお悩みの方は一度ご相談ください。
近視矯正「オルソケラトロジー」のニーズも高いそうですね。
こちらも自由診療ですが、当院にもたくさんのお問い合わせをいただいていて関心の高さを実感しています。「オルソケラトロジー」とは、ハードコンタクトレンズのようなものを毎晩つけて寝ることで、睡眠中に角膜の形状を矯正するための方法です。視力矯正は一定時間持続するため、日中は裸眼で過ごすことが見込めます。近視の進行を完全に止めることはできませんが、最終的な進行度合いは緩やかになることが期待できるでしょう。ご両親の近視がかなり強い場合、お子さんの視力が落ち始めたらもう間違いなく近視は進行していくと考えられます。親御さんが子どもの頃近視で悩んだ経験があり、ご自分の子どもにはなるべく長く裸眼で過ごしてほしいとの願いで、こちらの治療を検討される方が多いように思います。メリット、デメリットの両方がありますので詳しい説明を聞いてみてください。
「ここに来て良かった」と思ってもらえるように
待ち時間をなるべく少なくするために、ウェブ予約もできるそうですね。
当院のホームページから、初診の方も再診の方も予約できますのでご利用ください。クリニックにお越しいただいてからも、限られた時間の中で診療がスムーズに進むように全スタッフが尽力しています。眼科は先に検査に通しますから、患者さんは検査スタッフにいろいろと症状を伝えることが多いんですね。そこで伺った内容を、診察時に私がぱっと見て把握できるように工夫してカルテに記載してもらっています。
ところで、院長が眼科の医師を志した理由をお聞かせください。
親が歯科医師で、私も幼い頃から自然と医歯薬系をめざしていました。医師となり眼科に進んだのは、私の性格に合っていたからでしょうか。眼科は、内科のように検査結果の数値を見て診断するというより、いろいろな器械は使いますが、医師が目の病態を直接見て診断することが多いです。そこが眼科の面白いところで、私に向いていたと思います。休日は愛犬と散歩したり、趣味のテニスをしたりして、こちらでの暮らしを楽しんでいます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
眼科は自覚症状が出にくい疾患もありますので、中高年の方は一度検査されることをお勧めします。目に関することでしたら、どんなことでもご相談にいらしてください。開業から4年目になり、私も日々の診療にだいぶなじんできました。これからも「眼科の医師として地域の皆さんのお役に立ちたい」という初心を忘れず、精進してまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とはIPL治療/5500円~、オルソケラトロジー/14万8500円~