樋口 直彦 院長の独自取材記事
なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック
(京都市右京区/西院駅)
最終更新日:2021/10/12

2021年1月に新規開院した「なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック」。阪急西院駅に直結した便利な場所にあり、高齢者から子どもまで幅広い世代が訪れる。和のテイストを取り入れた京都らしさが感じられるモダンな院内には、広々としたリハビリテーション室を完備。院長の樋口直彦先生がモットーとしている、「動かすリハビリ」を実践するためのトレーニング機器が充実し、経験豊富な理学療法士も多く在籍している。得意分野のスポーツ整形外科や先進の運動器リハビリテーション、同院の本院である「なか整形外科京都北野本院」との連携について話を聞いた。
(取材日2021年3月10日)
整形外科とリハビリテーション科の専門性を発揮
開院して間もないクリニックですが、こだわった点はありますか?

スタイリッシュなデザインに和のテイストを加え、京都らしさが感じられる快適な空間づくりをめざしたのと感染予防に適した設備、そして一番は広めのリハビリテーション室を設置して、運動器リハビリテーションに特化した機器や設備を充実させたことです。整形外科のリハビリといえば、けん引や電気治療、マッサージが主流ですが、当院では患者さん自らが体を動かし、痛みが出にくい体をつくっていく「動かすリハビリ」を柱としています。筋力トレーニングマシンやエアロバイクがあって一見スポーツジムのようですが、これからの時代にあるべき「新しい運動器リハビリテーションの形」といえるでしょう。リハビリプログラムはスマートタッチシステムで一括管理され、各マシンの設定も自動で調節される仕組みになっています。
なか整形外科京都北野本院との連携も強みですね。
本院はここから北へ3、4キロの場所にあり、手術や入院治療が可能な有床医療施設となっています。大学病院や基幹病院に劣らない、専門性の高い整形外科治療に対応しており、こちらで手術や専門的な治療が必要だと判断した患者さんには、本院での診療をご案内しています。相互に医師とスタッフが常に連携を取っており、僕も週一度、本院の外来診療や手術に携わっています。患者さんの治療経過も共有されるので、入院手配などは紹介状を介さなくてもすぐに対応が可能です。今は入院前の検査のために入院日の2日前に一度行っていただいていますが、通常は入院当日に行けばワンステップで診療が受けられます。基本的には同じ法人の同じ施設と思っていただき、クリニック診療から手術・入院治療、リハビリまでシームレスに受けられることが大きな特徴です。
理念である「藍整会クオリティ(iQUA:イクア)」の精神とはどのようなものですか?

当院を含め、法人全体で先進の治療技術と設備を備え、あらゆる症例に対してクオリティーの高い治療とリハビリテーションが提供できるチーム医療をめざしています。藍整会の「藍」の字が使われた「青は藍より出でて藍より青し」ということわざは、弟子が師匠の学識や技量を越えることの例えですが、全員が鍛錬して前進し、治療内容だけでなく接遇も含め、より質の高いものを提供していこうという想いで日々励んでいます。チーム力で患者さんを支えることを大切にしており、リハビリでは理学療法士とドクターが密に連携して、個別の症状や治療経過に応じたトレーニングに取り組んでいます。チーム連携は院内のみならず、近隣の接骨院や鍼灸師、整体師ほか、栄養士やスポーツコーチとの協力体制も進めています。やはりこれからのリハビリには、職種の垣根を越えた多角的なアプローチが必要だと考えるからです。
痛みが出にくい体づくりに、新しいリハビリの考え方を
整形外科診療についてお聞かせください。

骨折や捻挫などの一般外傷、スポーツ外傷、高齢者に多い膝や股関節の変形性疾患、骨粗しょう症をはじめ、整形外科の全領域を診ています。リハビリだけでは機能回復が難しく、人工関節置換術が適応となる場合や手術が必要な骨折などは、本院と連携して治療にあたります。本院の院長を務める田巻先生は人工関節置換術のエキスパートで、難易度の高い症例にも対応が可能です。僕の得意分野はスポーツ外傷と肩の治療で、四十肩や五十肩、腱板断裂などの治療に数多く携わってきました。診療では痛みを取り除き、機能回復させることをめざして注力しながらも、患者さんの生活背景に適した治療を心がけています。試合に出たい、孫の結婚式につえなしで出席したいといった希望や、仕事を休めない、ご高齢で一人暮らしをされているといった事情も加味し、手術のタイミングや治療方法を考えるようにしています。
こちらで実践されているという「動かすリハビリ」とはどのようなものですか?
患者さんはじっとしたまま、電気を当てたりマッサージを受けたりして、一時的に痛みが治まったとしても、しばらくするとまた同じ症状に悩まされるという経験がある方もいるのではないでしょうか。当院のリハビリは疼痛をなくすのが目的ではなく、体を動かして痛みが出にくい体をつくる目的でのリハビリを基本としています。正しい動き、体の使い方、呼吸、姿勢を患者さんに伝えて、器具を使って体の角度や負荷を変えながら、エクササイズを行っていきます。マンツーマンで運動指導を行う理学療法士は、エビデンスに基づいて動作の質を評価するスキルを身につけています。共通の評価基準をもとに動作能力を数値化することで、指標が明確になるほか、理学療法士によってアプローチが異なることなく、その方に合った運動器リハビリテーションを効率的に実践することがきます。
スポーツ整形外科・リハビリではどんな方が来られますか?

スポーツが趣味のお年寄りや運動部に入っている学生さんなど、幅広い世代の方がスポーツによって生じた骨折、捻挫、靭帯損傷などの治療やリハビリで来られます。またバレーボールチームのチームドクターを務めており、これまでもサッカーやバスケットボールなど、さまざまなスポーツに関する症例を診療してきました。僕のスタンスとしては、単にスポーツ特有のケガを治すのでなく、将来的に後遺症を出さないようにしながら、試合に間に合うような治療計画を立てたり、スポーツを続けながらできる治療方法を提案したり、スポーツ選手であれば、できるだけ早く最高のパフォーマンスを出せるように工夫して対応するなど、個々の希望や事情など総合的に見て、その方にとって最良の選択をするように心がけています。
整形外科は患者の夢をかなえるための診療科
整形外科に進まれたのはなぜですか?

ラグビー部に所属していたこともあり、たくさんケガをしましてね。また研修医の時にラグビー合宿の聖地である菅平の診療所に手伝いに行った経験も、整形外科を選んだきっかけの一つです。夏休みともなれば全国のラガーマンが集まるのですが、ラグビーにケガはつきもので、骨折や脱臼をした選手が次々に診療所にやってきました。処置を行い、地元に戻ってからも治療を続けてもらうために紹介状を書くのですが、その時「スポーツのケガに詳しい先生に出会えるだろうか?」と気がかりでした。同時に、自分自身が紹介元のドクターに安心してもらえる整形外科医師になりたいと思ったんです。
医師をめざした理由は何だったのでしょう?
実は立命館大学の文学部を中退し、帝京大学医学部に入学したんです。大学時代は料理人になろうと本気で考えた時期もありました。将来人の役に立つ職業に就きたいと考えたとき、南極の観測部隊に必要な職業のどれかなら、いつどんな場所でも必要とされる職業ではないかと思ったんです。そこで浮かんだのが料理人と医師でした。イタリアンレストランでバイトをしたことがあって料理人も考えましたが、医師だった父の影響もあり医学の道を選びました。
最後にメッセージをお願いします。

僕がサポートをしている友人に、スノーボードで世界をめざす選手がいます。自分が関わったスポーツ選手が世界に羽ばたこうとしている、治療を担当した学生さんが将来スター選手になるかもしれない、そう考えるとワクワクしますね。またご高齢であまり体を動かせない方でも、少しずつ運動機能を取り戻して、趣味や仕事に励めるようになってほしいと診療に励んでいます。整形外科はただ痛みを取って動かせるようにするだけでなく、患者さんの夢をかなえるための診療科かもしれませんね。まだ開業したばかりですが、専門性の高い整形外科診療とリハビリで、患者さんの幅広い悩みに対応していきたいと思います。